陰キャ陽キャ関係なくて尊重し合えるかが大事「最高のクランクアップ!」感想

 ノリについていけないと感じて壁を作ってしまう感覚、よくわかります。俗に「人種が違う」なんて言われたりしますが(もちろんプロセカ内でこの表現は出てきません)、他者と勝手に壁を作る意味でも、歴史的な「人種」の分断意識を無自覚に援用している意味でも使うべきではありません。そういう人たちだからと雑に括っては見えない面が沢山あります。


 芸術祭という学校行事で、クラスで映画を作ることにした2-A。映画部であり遊園地のショーで経験も豊富な寧々を監督に、というのは必然ではありますが「明るすぎる人達」をまとめる自信がありません。映画の内容を決めるクラス会議は大盛り上がり、積極的なのは良いですが、面白そうばかりが先行して危うく全盛の「SFホラーアクション青春コメディ動物映画」になりかけます。非現実的と思いながらうまく止められない寧々、ここは冷静に状況を見れる彰人が軌道修正して事なきを得ます。会議終了後、2人にお礼を言う場面での杏の「草薙さんひとりで作るんじゃないんだし」という発言、何気なく発していますがとても大事ですね。


 「私とは正反対」の人達だから壁を感じているという寧々に、レンは違うタイプだからって壁なんてあるのかなあと疑問を示します。ワンダショのみんなとは同じタイプじゃなくても仲良くやっている、それはショーという共通点があるからではなくて、ショーをやるうちに司・えむのことを深く知っていったから。実際、最初のワンダショはとてもチグハグでバチバチやりあっていましたが、今や分かち難い絆で結ばれています。


 クラスメイトも同じように、「正反対の人達」ではなくてその人のことを知っていけば壁もなくなっていく、これは的確だと思います。もちろん得手不得手はありますが、時間が掛かる=不可能ではありません。

 そして、知っていくまでに大事なことは、決めつけて閉ざさないことです。これは内気な側が引っ込んでしまうだけではなく、陽の側が相手を嘲笑したり決めつけたりすることも含まれます。「私とは正反対」を「だから一生相容れない」としてしまうとそれ以上の繋がりはない、これは(俗にいう)陽キャだろうが陰キャだろうが変わりません。他者を他者として尊重し、侮らず、決めつけずに見て接することが大切です。思えば、クラスメイトが監督に推したのも寧々のことをちゃんと見てたからです。

 監督の立場で接さざるを得なくなったことが好機となり、寧々は「正反対の人達」と思っていたクラスメイトそれぞれの夢や好きなこと、人柄などを知っていき、少しずつ接する壁がなくなっていきます。


 撮影は順調に進んだものの、終盤にスタント役が怪我をしてしまいます。完成のためには妥協も仕方ないという雰囲気が広がる中、過去の経験から怪我をした自分のせいで映画をダメにしたと思って欲しくないと思う寧々。自分はやり直すチャンスをもらったけど、クラスの映画はこれっきりだから大切にしたいと考えている所に、寧々の優しさ・ここまでのクラスでの歩みを大事に思っていること・過去に対して「やり直せた」と思えていること等、なんだか色々と嬉しくなりました。妥協したくないとしっかり言葉にして伝え、工夫してより良いものが出来るように各役割の人達に協力を仰ぎます。気づけば立派な監督でした。


 映画は無事完成してお披露目、特別賞を獲得して代表者として壇上に行くよう皆に促される様子がほほえましかったです。寧々のクラスでのあだ名が監督になりました(アフターライブより)。学校におけるあだ名は色々言われることもあって、もちろん相手が嫌がるものやバカにしたものは当然ダメですが、そうでなければ個人的にはあだ名は接する一きっかけとして有用だと思っています。(私は大学時代、あまり顔を出さなくても積極性が無くともあだ名が1つのキャラとして立っていたので、かなり助けられました。)

 寧々も彰人も杏も、というか2-Aみんなが生き生きとそれぞれの良さを尊重し合って発揮し合っていて、すごく良いクラスだと思いました。


★本感想のゲーム画像あり版はnoteで公開中:https://note.com/gakumarui/n/nee99aa9167b7

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