第52話「神と悪魔」
ゼウス「まずお主に一番最初に話すことは感謝じゃな」
オメガ「感謝?誰に?」
ゼウス「お主じゃ」
オメガ「俺に?感謝されるようなことしたっけ?」
ゼウス「まぁ黙って話を聞け。少し話が長くなる、付き合ってくれ」
オメガ「お、おう」
ゼウス「わしら神と悪魔は生まれつき本能で敵対しておった。交わることは許されん存在じゃと本能で分かるからじゃ。実質、神と悪魔で仲のいい者がいてな、その二人は次の日病に侵され死んだ。それが全ての神と悪魔に絶対に交わってはいけないと言う印になった。一度交わればどちらかが不幸になり、長く交わればどちらも死ぬ。わしら神と悪魔は近しい存在ではあるが手を取り合うことが出来ぬ対の存在じゃった」
場変
魔界
サターン「それでも馬鹿が何人かいてな。悪魔と神が必ず仲良くなれる日が来る。仲良くできる手段があるはずと研究するもの、行動するものが少人数いた。今となってはそんなものが居れば処刑するがあの頃の俺とゼウスは若かった。馬鹿なことだ、そんなことはできるはずないと思っていても、片隅には希望を夢見ていた。俺も神と仲良くしたいと…手を取り合いたいと思っていたのさ」
場変
天界
ゼウス「じゃがやはりそれは叶わぬ夢であった。行動するものも研究するものも全員死んでいった。それだけならまだ救いはあった。じゃが残酷な現実は我々を痛めつける。行動したものと研究したものの身内までもが死んでいったのじゃ」
場変
魔界
サタン「身内も?」
サターン「そうだ、お前も心当たりあるんじゃないのか?」
サタン「…」
サターン「なぜおまえが死なず、お前の周りの者が死んでいったか…」
サタン「…」
場変
天界
ゼウス「その亀裂は神も悪魔も顔を青ざめるほど恐怖に陥った。この浸食は我々を絶滅させるのではないか?次は自分なのではないかと…回避する方法を必死に考えた結果、両者とも行き着いた答えが片方を抹殺すること」
オメガ「抹殺…」
ゼウス「それが神魔戦争の始まりじゃ」
オメガ「1万年前の!」
ゼウス「うむ、戦いは100年続いた」
オメガ「100年も?!!」
場変
魔界
サターン「それほど激しい戦いであり、両者命を懸けた殺し合いだった。星も惑星もいくつも消えた。そして戦いの結末は…両者の長の死で引き分けとなった」
サタン「それがあんたとゼウスか?」
サターン「そう、俺はゼウスを殺した!だが神というのは頑丈でな、殺したはずのゼウスが最後の力を振り絞り俺を殺した。油断、だな」
場変
天界
ゼウス「長を無くした神と悪魔は生物を作り出すことに専念した、そして人間を作り出すことに成功した。だが人間は脆い。この天界や魔界にいるだけで肉がつぶれすぐに死んでしまう。生物は形が変化するだけでこの場所に慣れるものが多かった。人間だけがどうしてもこの場所に釣り合わなかったのじゃ」
場変
魔界
サターン「悩んだ挙句に作り出されたのがアースと言う惑星だ。人間が必ず生きていける場所を作り出したのだ。俺には理解できんな。そこまでしてなぜ弱いやつの住処を作ってやるのか、弱いやつを作り出して何がしたいのか…」
サタン「…」
場変
天界
ゼウス「きっと生き残った神も悪魔もわしらのようにはなってほしくなかったんじゃろう」
場変
魔界
サターン「人間など、我らより愚かな生き物だ。平和を望むものなど少ない、戦争をすぐに片隅に入れる。生き残った奴らは失敗作だ!俺が生きていればこんなことはなかった!」
場変
天界
ゼウス「どこで間違えたのかのぉ…人間がここまで愚かになるとは。」
オメガ「…」
ゼウス「じゃが、それでもわし等が創った者たちを愛そう。いつか平和が来ると信じて!そのためにわしは消えるつもりじゃった」
オメガ「つもり?」
ゼウス「うむ、つもりだったんじゃが。悪魔の長サターンが肉体を取り戻すための転生を繰り返しておると耳に入ってな」
場変
魔界
サターン「人間も生き残りも失敗作だが一つだけ感謝することがある。俺の細胞と100%完全に一致するものに転生すれば、俺の肉体は少しずつ復活し蘇ることが出来る!まぁ本の浅知恵だろうと思っていたが一度目の転生ですべて理解できた。これは本当だとな。おかげで1000年も彷徨ったわ」
場変
天界
ゼウス「奴が復活するなら話は別!わし以外に止められる者はおらんからのぉ。そこで、わしも転生を繰り返した。何度も何度も…何度も何度も何度も何度も…じゃが100%細胞が一致しておるものなど簡単に見つかるわけはない。10%にも満たないものばかりじゃった。それにそれだけじゃない、転生に失敗したものは必ず死ぬ」
オメガ「な!!!」
ゼウス「何千、何万人と殺してしまった…じゃが分かってほしい。命を無駄にしようとしてるのではない、その事だけは分かってほしい」
場変
魔界
サターン「転生に失敗し人が死する様は何とも滑稽なものだった。俺の楽しみに変わったくらいにな」
サタン「外道が」
サターン「何とでも言え、耳に入らぬ」
サタン「それであんたは俺に転生し、成功してここにいるのか?」
サターン「あぁそう言うことだ。だが例外が一人いたな」
サタン「例外?」
サターン「あぁ。転生が失敗したのに死んでないやつが一人いる」
場変
天界
オメガ「失敗したのに死んでないやつがいるのか?!」
ゼウス「あぁ、お主のよく知っておる人物じゃぞ」
オメガ「お、俺がよく知ってる?」
ゼウス「うむ。その者の名はグランツェ・エルティック、今はブラフマーと名乗っておったか?」
場変
魔界
サターン「ルービア・グルゼリア、シヴァルビアという名で今は行動してるらしいなぁ」
サタン「ラグナロクにそんな名前の奴がいたな」
サターン「そいつが例外人物だ」
場変
天界
オメガ「グランツェが…失敗から逃れた転生者!」
ゼウス「わしの細胞と50%合っておってな。100ではないが50%は初めてじゃから行けると舞い上がってしまったわい」
オメガ「…」(あいつが使ってたゴッドソウルはあいつの能力で創造してた偽物だと思ってた。あれは…本物なのか?)
ゼウス「そして次にお主に転生したら成功したというわけじゃ!数年お主の中におり、ようやく肉体を取り戻すことが出来たわしは天界には戻れたもののしばらく動くことはできなかった。そして感謝に繋がる。お主のおかげでわしは復活できたのじゃ、礼を言うぞ」
オメガ「…長かったなw」
ゼウス「最初に言うたじゃろw」
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