第31話 やばっ!

今回は乃々佳&未玖視点です。


・・・・・・・・・・・

【乃々佳】


 ヤバい、ヤバい、ヤバい!


 どうしたらいいの?


 この間の事件以来、ひなちゃんと異常に仲が良くなってる。やっぱり、ひなちゃん、告白したんだよね? それでOKしちゃったってことだ。


「あぁああ、私のバカバカバカバカ!」


 ベッドの上で丸くなるけど、良い考えが浮かぶわけがない。


 そりゃさ、他の人にウソ告されたのを黙って見ていた私も悪いし、あの時、笑っちゃったのも悪い。


 でも、でも、でも……


 私に告白したばっかなのに、すなおちゃんの告白をOKしちゃうなんて、どー考えても薄情だよね? そんな風に簡単にOKしちゃうような浮気な人なら、少しは痛い目に遭っても良いって思ったらダメなの?


 私は、前も今も、そして将来だって、みっきーだけなのに!


 誰に告白されても、絶対OKなんてしないよ?


 それなのに、さ、みっきーってば、すなおちゃんばかりか、次々と「ウソ告」にOKしまくってるんだもん。そんな簡単にOKするから、こういうことになるんだよって思うじゃん。


 だって見境ないんだもん。


 女の私が、こんなことを言っていいか分からないけど、富士川中の「巨匠ブス」って言われてる2組の吉田ひのわちゃんにまでOKしちゃうなんて、ありえないと思う。


 あれ、ウソ告だったけど、ひのわちゃんが舞い上がっちゃってたから、そのまま付き合ってたかもしれないんだよ。本気で、ひのわちゃんとお付き合いしちゃうつもりだったの?


 そんなんだったら、もう、誰でもOK状態じゃん。ヤリ〇ンってやつ?


 まさか、みっきーがそんな人だなんて思ってなかった。だから、ウソ告にOKして、みんなから冷やかされてるのを見るたびに、胸がすっとしちゃった。


 正直「ざまぁ」って感じだよね。


 それは反省しようと思うけど、だからと言って、ひなちゃんと付き合っちゃうとか、それに会長とも異常に仲良くなっちゃうなんて、ホント計算違いすぎる。しかも、週が明けてみればつばさちゃんとも仲良くなってるし。


 これは何とかしなくちゃ。でも、どうしよ?


 


・・・・・・・・・・・

【未玖】



 ヤバい、ヤバい、ヤバい!


 いつものように、おにぃと一緒に出ようとしたら「今日からは、大丈夫だよ」と断られてしまった。


「気にしなくていいの! おにぃのクセに!」


 照れてるおにぃの肩を突き飛ばして、ついでに手をグッて引っ張るふりして握って、無理やり一緒に出たら、そこには富士川中・四大美少女の二人がニコニコと待っていた。


 しかも、ダークホースのまでいる!


 前髪パッツンになってるけど、間違いない。


 そして、で学校に向かいながら、衝撃の事実を知る。


「え? あなた、つばさちゃんなの?」


 まさか、まさか、まさかだよ。完全に予定外が多すぎる。やっぱり、私のヤな予感って当たってたじゃん。


 子どもの頃だけど、コロッケのことで、つばさちゃんは「およめさん」って約束をしちゃってる仲だったのは、ちゃんと覚えてるよ。昔、急にいなくなってくれて、ホッとしていたのに。


 すごく可愛いくなってるっていうか、目を出したら余計に清楚系の美少女ぶりが目立つようになってしまった。


 性格だって昔の通りなら絶対におにぃのタイプのはず。


 あ~ どうしよ!


 いくらなんでも、ここにきて強敵ばかりが群がってくるなんて、ないじゃん。


 しかも、三人には何か「もう、私達で決まってますから」的な余裕があるんだよね。


 三人のうちの一人がって感じじゃないけど「私達が彼女で~す、よろしくね、妹ちゃん」的な優しい対応をされまくりなんだもん。


 これは、絶対にヤバい。


 しかも、三人が三人とも、美人な上に優しくて、すご~く性格が良い、思いやりのある人達だから余計に困る。


 私がおにぃの右横に無理やり並んだら、そこはしっかり譲ってくれちゃって、優しい笑顔で「兄妹の仲が良くて良いね」なんて褒めてくれちゃうんだもん。


 注がれるのは温かい目だけだった。


 がびーん。


 私は「張り合う対象」ですらないという、この衝撃の事実。


 これは、なんとかしなくちゃ。でも、どうしたらいい?


 こうなったら、実力行使? 今夜にでも、いっちゃう?


 そ、それはいいかもしれないけど。おにぃがその気になってくれたら…… えっと、あの、私はオールOKだよ。


 優しくしてください…… とか? ううん、おにぃにだったら、乱暴にされても嬉しいと思うけど。


 でも、おにぃの性格からして、さすがにそれは無理。


 かと言って、いくらなんでもラノベにあるみたいな「急な雨に濡れちゃったから、一緒にお風呂に入っちゃおう。兄妹だもん」的な偶然なんて、あるわけないし。


 となったら……


 とにかく、作戦を練り直さなくちゃ、っていうか、私一人じゃ、もう無理かも。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

作者より

妹ちゃんが考える作戦とは。

それにしても、受験期なんですけどね。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





 




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る