第8話 ウソ告2号3号


「昼休みは偶然、連中だけになったせいだな」


トップカーストであるサッカー部の連中は「お土産渡し」のミーティングなどしない。


ボッチ仲間達はトップカースト達と自分たちだけになるのが嫌で逃げ出したのだろう。その気持ちは良くわかる。


5時間目の休み時間は、ちょっと警戒したが、トイレに行ってる間に何も起きなかった。


ホッとして、6時間目の国語の教科書を出そうとしたら、手紙が出てきた。


『ん? これって悪役ヒール善玉ベビーじゃん』


ウチのクラスのバレー部コンビだ。野中 妃衣瑠ひいると松井 ベビー


ひいる悪役」に「ベビー善玉」マジか? ウケるw って感じで、初めて聞いた時は、引いちゃうようなドキュンネームだと思ったけど、ウチのクラスの20番と21番で、連続してた運命もひそかに笑っちまった。


名前とは逆に、妃衣瑠あくやくの方がどっちかというと普通の子。ぜんだまの方が、いろいろと企むタイプだ。


その二人から「放課後に体育館の裏で」とのお手紙。


こりゃ、なんかあるってのは考えるまでもない。


放課後、行ってみると二人が揃ってた。


二人とも、オレのコトをどっちかというと嫌っているのは知ってる。二人ともって言うか、主にベビーの方が。


二人が好きなのは山形伶人れいとだろう。バスケ部だけどオレのボッチ仲間でもある。


告白を助けろとでも言うつもりだろうか? 手紙を渡してほしいとか? ってオレを手紙で呼び出すのもどうかと思うがw


コイツらのために動くのは嫌だが、山形のためになるなら手紙を渡すくらいはしても良いか。


「何の用?」

「何の用って、いきなりケンカ売ってるの?」


ムッとした顔の松井さんベビーだ。


松井さんベビー、呼び出したのはそっちだよね?」

「だからと言ってケンカを売って良いってことにならいでしょ!」

「いや、そうじゃなくて」

「ちょっと、ベイビ、やめておきなよ。ケンカするために来てもらったんじゃないでしょ?」


野中さんが取りなそうとしてきた。やっぱりヒール妃衣瑠の方が常識的らしい。


おまえら、明日から名前を取り替えたらどうだ? 納豆と豆腐みたいに。だって、豆が腐って豆腐って、どう考えても、それ納豆のことだろって、やつだ。


逆じゃんw


って、そんなことはどうでもいいよね。で、何の用?


伶人れいとに手紙を渡すくらいならやってもいいが、後で、ウソ告だとか言うなよ。あいつ、豆腐メンタルだから学校来なくなるぞ」

「え? 山形君にウソ告?」


妃衣瑠が目をパチクリ。


「ないないないない」


一瞬、後から、童が顔の前で手を振る。


「じゃあ、なんだよ」


「私達がコクりたいのは、相手が違うよ。ね? 妃衣瑠?」

「うーん。こういうやり方は、あれだと思うんだけど」


松井さんベイビーが「ほら、今さらだろ」と野中さんヒールを肘で小突いた。


あれ? 野中さんが小さくため息をついた。


? ? ?


「ほら、ひぃる。せーのっ」


「「わたしとお付き合いしてください」」

 

二人同時に頭を下げて右手を差し出しててきた。


何いぃい?





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

作者から

このまま、ウソ告された話とイジメを全部書いていくとストレスがたまるだけなので

このウソ告を次回で決着させてから

その次は、第1話の直後の時点に飛びます。


そして、何度もクレクレをしてしまって申し訳ありません。


 ご面倒をおかけしますが

 ★評価は後で減らすことも増やすこともできます。

 続きを読んでみたいと思った方は

 ぜひ、一手間だけご協力をお願いします

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る