第7話 杉山素直の後悔

どうしよう。


ウソ告だって誤解されたままだ。私は本気で告白したのに。何とか誤解を解きたくても、石田君は逃げちゃうし。


好きな人は秘密にしていたのに寛太にバレたのが悪かったんだよ。


本気で告白しようとしたのを気付かれてしまった。


そもそも須藤さんが「誰にも見つからないようにお手紙渡してあげるよ」と言ってきたのだって、寛太の差し金に違いない。

 

それを信じた私がいけなかった。

 

確かに手紙を渡してくれた。「誰にも見られてないようにするね」って約束してくれた。


ただ「途中で中身を読んでない」とは言ってなかっただけだ。


その意味で、須藤さんはウソはついてないから仕方ない…… 


な~んて思うわけがないでしょがぁあ!!!!


あのメギツネ、一度、シバキ倒したろかぁああ! アタシの手紙を盗み見やがった上に、寛太バカにバラしたんだ。


 あのつり上がった目に指をツッコんで、満月にしてやりゃにゃあ、気が収まらんだろが!


コホン。


私ときたら、いけません。うちに帰ったら呪いの藁人形を作るだけにいたしましょう。


でも、実は内向的な私としては、この事態に困ってしまっています。


心から謝りたいのに避けられてます。仕方のないことです。傷付けてしまったのですから。


何度か、チャンスを見て、あれは本告だと言おうとしましたが、石田君に避けられてしまうので、なかなかタイミングがつかめません。いえ、謝るのが先ですね。私の不注意で寛太バカにバレてしまったのがいけないのですから。


元々、寛太バカと幼なじみなのは本当でも、好きになったこともなければ、ましてやカレカノになったこともありません。子どもの頃から、何十回も告白されてきましたけど、受け入れる気持ちになどまったくなりませんでした。


そう……


ウチで飼ってるレトリバーのジョリィに告白される方が、まだ受け入れられるかも知れません。


ムダに騒ぐばかりで、ちっとも私の気持ちを考えないバカ寛太の、あ、えっと寛太バカの気持ちなど知ったことではないのです。


とは言え、困ったのは、私の告白に嫉妬して、攻撃の刃が彼に向かってしまったこと。


いくらお詫びしても、お詫びしきれないかも知れませんが、ちゃんとお詫びして彼とお付き合いできるようになったら、この身体で償うとしましょう。


ふふふ。


お詫びになるかしら?


最大のライバルである乃々佳が、なぜか私以上に避けられてる今がチャンスです。


なんとしてもお詫びキスを受け取っていただかねば!


いえ、彼さえ望むなら、それ以上でも、どこまでも。だって「お詫び」なんですもの。求められたら私からは拒めませんよね?


ええ、拒めませんとも。だから彼の手が伸びてきたら、私は断れません。例え、どこを弄られようと。たとえ求められても断れないのです…… ゴクリ。


あぁ! ともかく、早く、もう一度彼と話をしなくては!


せめてクラスLINEに入ってくれていれば、連絡のしようもあるのに彼は、そういうところは個人主義。


IDを知っているのは、男子の一部と、乃々佳だけという話です。乃々佳が教えてくれるはずもないから、男子の誰かを落とさなきゃかしら?


それとも、やはり正面突破で、校舎裏に呼び出す方が良い?


ともかく、昼休みが終わったら、なんとかして彼と話さないといけませんね。今度こそ、メギツネに邪魔されないように注意しなくちゃ。





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

作者より

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