第28話 【無痴】
「オレか…オレの方でも色々あったよ、女神ヴァニティアヌス―――母さんが創造した
「『
「『
「『神々に追放された神』…そんな存在が―――」
「ああ、“いる”―――オレは今回その取っ掛かりになると思われる一人の人物と接触した、名は、『次元の魔女』―――その一人とされている【
「やはりな―――動き出してたって訳か…」
「ヴァヌス?お前は知っていたのか!」
「ああ―――以前にちょこっとだけヴァニティアヌス様からお話しを伺っただけだけどな。」
「その前に…『次元の魔女』とやらは一体どう言った者達なのだ?」
「『次元の魔女』とは、太古の昔に総ての神々と対立し敗れ去った
「ちょ―――おい、ちょっと待て?では何か…お前は
「『そうじゃない』―――って言うんだろう?ベレロフォン。」
「ああ、オレも最初はそう思ったものだ、まあヤツとは今回で二度目、最初はそう言う雰囲気を
「そちらの方とはまた別の状況が発覚したと―――?」
「そう…カラタチの言うとおりだ、先程のオレの説明では確かに『次元の魔女』と言うヤツらはこの
「そう言う事だったのか…それにしても【崩壊】がなあ―――」
「ヴァニティアヌスから話しを伺ったお前でも不思議に思う事があるのか?」
「そう言う訳じゃないんだが……なんでもその【崩壊】ってヤツこそが一番女神エリス様の
「そんな存在が…『他の魔女達と意見を違わせている』?それよりその魔女は今どこにいる。」
「今はまあ…信用が出来る処に預けている、このオレでも言えた事だが、あいつ…ベアトリクスは今の処非常に不安定な存在だ、つまり今どちらかに
ヴァニティアヌスの『要望』に
いや……それにしてもなあーーー頑張ったんだぞう?私達…斯く言う私は一度[勇者]から“転落”してしまったし、カラタチなんぞは私の
―――などと…まあフレニィカさんが思っている事も判らなくはないのですが、それよりも……なんだか
だからそこを
「“現在”までオレが接触出来た『次元の魔女』は3人―――【崩壊】【干渉】【怪復】…最初に接触した時にはオレに協力的だったからそんなに危険性は感じなかった…んだがなあ、それが今回―――再び【崩壊】に接触した時それまでとは違うと感じ始めたんだ。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
あれは、そう―――オレが母さんからの…女神ヴァニティアヌスからの『要望』に
今回の要望は割と簡単で、
* * * * * * * * * *
「ちょ―――ちょっと助けて!お願い!!」
「(ん?なんだ…)……お前、ベアトリクスじゃないか?どうしたって言うんだ一体。」
「(あ…)あんたは―――けど丁度良かった、今私追われているの、だから
“何者か”に“追われている”と言う雰囲気―――しかし正直言うとこの時ちょっとオレは気が乗らなかった、その理由は…と問われると様々あるが、
「あっ、見つけた…どうやら脱走劇もここまでのようね【崩壊】、大人しく私達と一緒に来てもらおうかしら。」
「それより、また
「『ベレロフォン』だ、お互い初対面じゃないんだから名前くらい
「(なあ…ベアトリクス、お前逃げ足に自信はあるか。)」
「ふえ?」
「(『
「……それ、本当に
「(じゃあ決まりだな…このオレに
向うの2人に聞こえるか聞こえないくらいの小声で会話をした、まあ『聞こえるか聞こえないか』と言うのもオレの
「(クス)つ・つ・ぬ・け―――まあ私達に聞こえない様にしていたんでしょうけど、そんなの私の≪盗聴≫の前には無駄と言うものよ。」
「他人の会話に【干渉】をして有用な情報を引き抜く―――相も変わらずイヤな性格をしていますよね、ですがまあ…今回ばかりは『お手柄』と申しおくべきでしょうか。」
「ねえ~え?【怪復】…あとでゆっくりとお話しでもしましょうか?」
「だが、断る―――説教臭いのは
「まあいいわ…それにお生憎様、あなた達の
そう…【干渉】の前では隠し事は出来ない、オレ達の
「(……)随分な事を言っているようですが―――
「ちっ―――面白くもない事を思い出させやがる…仕方がなかったんだよ、このオレだって逃げたかったが『
「なによ―――それ、逆に
確かにオレは『状況の
そう―――思っていた時に…
―――{こっち}―――
この、オレの頭の中に直接語り掛けてくる……≪念話≫?それに見た処、謎の相手からの会話はオレだけにしか聞こえていないみたいだった。
―――{早く しろ… こっち}―――
―――{
―――{一目散に 駆けて来い… そうすれば
ひと通り聞くとかなりな命令口調に時折難しい言葉も使ってくる、しかし今は背に腹は代えられない…そう思い、この謎の言葉のままに行動をする事にした。
「こっちだベアトリクス!ついて来い―――」
いきなり私の手を引いて【干渉】や【怪復】達とは別の方向に全速力で駆け出すベレロフォン、何か考えがあっての事なんでしょうけど―――(※ザンネン!ありませんでした)
この私でさえも【干渉】に考えの先を読まれて逃走先を潰されてたって言うのに……本当に考えがあっての行動なのよね?コレ…
“謎”な声に従うようにして逃走を図ったんだが―――さてこれからどうする…無知・無学なオレにとっては『行き当たりばったり』なんだが、今回はこの“謎”な声の導かれるままに行動を起こした、“謎”な声の言うように『
―――{クックック 上出来だ… では
―――{このワレが示す≪
―――{さすれば視えるであろう お
声のするまま―――導かれるままに速度を落とすことなく路地を駆けまわった先には不自然なまでの“
* * * * * * * * * *
「はああ~~~なんとか逃げ切ったみたいだけど―――ここ、どこ?」
「さあな、オレにも判らん。」
「……でしょうね、あんた見た処まんまの戦士系だし、魔法なんて使えたもんじゃないだろうし…」
「おい、ベアトリクス、オレに
「今のは私が悪かったわ、ごめんなさい―――それよりもここどこなの?見るからに通常空間とは違うわよね。」
「オレも“謎”な声からの言うがままに従ってきたが…『魔女』であるお前ですらも知らない処なのか。」
『知らない』―――わけじゃない…ただ、似たような場所なら『知っている』…そう、私達『次元の魔女』と称している者達が
するとこの『通常空間じゃない場所』に私達より先にいた存在が姿を見せた。
「よく来たお客人、まあ何もない所だがゆっくりとしていきたまえ。」
“一見”して『少女』―――に、見られた存在だがその“声”を聞くなり耳を疑うしかなかった、オレは現在38だ、
「この、
「それって―――私達が『
「(…)あたしはね?そうは言っていないの―――だって…あたしはあたしだから。 それともおーーーボクはね、ひとつの事に捉われ過ぎるのが愚かな事じゃないのかと思ってね、だから今は“お気に入り”を使っているだけなのさ―――
これで、満足かね?」
“可愛さ”を前面に出した『少女』の喋り方から“生意気”な『少年』の喋り方に取って変わり、そして最終的には40近くになるオレよりも年齢が上のあの喋り方に落ち着いた…それにしてもなんなんだ?この―――『少女』?
ベレロフォンが戸惑っている一方で私は惑わなかった、確かに怪しさ全開だけどこの“謎”な誰かさんの機転のお蔭で私達は救われている―――「ええ、まあ取り敢えず納得はしておくわ…それよりもあなたは“誰”?ただ善意で私達を導いたようには思わないのだけど、あとそれとここは“どこ”なの?」
私は直接疑問に思っている事をそのまま口に乗せた…それだけ、けれどこの行為は私の師匠からの受け売りに過ぎない、まず自分の疑問としている事から始める―――そうする事で知見を、知識を得て行くのが私の師匠のやり方だったから……けれど“彼女”の方からは意外な答えが導き出されたのだ。
「ふむ、
「え…『次元の狭間』に
「おや、そうだったか、では次に
「おいちょっと待て、まだベアトリクスの質問の一つに答えていない気がするが?」
「案ずるな、その答えも次に総てが
私は…『次元の魔女』だ―――ただ、
私は『
『次元の
―――けれど―――
「
「お前が―――?だが、ならどうして…」
「待って、その前に…え?【無痴】?聞いた事なんてない―――私、その名前に心当たりなんてないんだけど?!」
「なんだと?!おい、一体どう言う事なんだ!」
「『知らぬ』…か、まあ当然であろうな、
「あなたが…『存在しえない者』?どうしてだろう…それなら聞き覚えがある―――」
「なんだと?だがお前を含む『次元の魔女』共が
「知らなくて当然、存在しないから私達でも知らないのは理屈が通っているわ…けれど、どうしてそんな存在が今になって―――」
「
「オレの名を…まだちゃんと言っていないと言うのに―――」
「『知』っているからな、
「(……)ちょっと、待ってくれ―――あんた確か自分の事を【無痴】だと言わなかったか?無知な者がどうして…」
そう…その一見して少女の様に視える者は自分の事を【無痴】だと名乗ったのだ、ただそれにしては妙だった―――ベレロフォンも感じたように『無知』と言うのはその言葉通り『何も知らない事』…なのに、【無痴】を“自称”した少女は何もかもを知っていた―――そう言えば私が他の『次元の魔女』達から逃げて来た事情もそうだし、いまだ【無痴】の前では自分の事など名乗っていないベレロフォンの事を
「ああ…そうだ、その通りだよ。
あれ…?何だか今の話し―――聞き覚えが、ある?どうしてなんだろう……太古の昔にエリスと言う神が追放される前だから気の遠くなるような時間軸のはずよね?なのにどうして―――聞き、覚えが…?
「それから、だったな…
これで
【無痴】の言葉には妙な説得力があった、私達の知らないことだらけなのに…どうしてなのだろう、それに―――
なぜ―――どうして―――?確かに私は【干渉】や【怪復】の言うようにエリスの意向の大半を
怖い…怖いよ―――私…どうなっちゃうんだろう……この
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
今回の処は―――ここまででよいか…それにしても封印値が随分とまた低くなっておるな、まあそれも致し方のない事か…なにしろあの
それに今回はあの者自身が
“今”の独白は【無痴】のモノ、それに【無痴】が言って聞かせた言葉は【無痴】自身が太古に実際に耳にしていた事実―――ただ、その対象は違っていました。
そう【無痴】は『次元の魔女』の一人である【崩壊】に―――では、なく……自らに優しく説いてくれた自らの師自身に、だったのです。
ふふ―――それよりも、
“皮肉”―――としか言いようがあるまいよ、『真っ白』だった…『何も知らなかった』わたくしが、エリス―――あなたのお蔭でその
―――我が魔法の師エリス……―――
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