第29話 『亜 (デミ・ゴット) 神』
オレは、太古の昔にあった出来事で
「しかしそれにしても―――なぜお前は他の者達と
「『
「“主軸”…つまりお前が仲間であるヤツらの中心となって、この
「そ―――簡単に言っちゃえばね。」
「(…)おかしな事を聞くようだが、お前があの連中の中心人物だと言うなら、何故今更そんな事に
まあーーーそれが普通に抱く疑問よね…けど私からしてみたら普通じゃないんだよなあ……「あのさ―――あんたにも聞いてみるんだけども、だったら『女神エリスの復活』ってどうやるの?」
「(―――ん?)それってどう言う…」
「一口に『復活』って口にするけどさ、一体どうやったらその女神エリスってのは復活するの?太古の古い歴史書にはこうある―――『女神エリスは他の神々とも争いを起こし、
「(!)56―――…」
「そんな存在をさ、一口に『復活させる』って言うけれどだったらどうやって?!直接復活させるっていうのが難しいなら限られた方法でしかない。」
「それって―――…」
そう言う事だ、その女神エリスの由来となるモノを『次元の魔女』の“主軸”と成っている【崩壊】に持たせればいい、そしてある程度の“きっかけ”となるモノが溜ったらそれを引き金として【崩壊】の身体を
「冗談じゃないわよ…確かに私の
「(…)はあーーーわーかった、これも行きずりだ最後まで付き合ってやるよ。」
「…え?いいわよ―――別に…付き合って貰わなくても。」
「オレの母さん…育ててくれた人からも口を酸っぱくして言われた事があった、オレの目の前で困っている人を見かけたなら、『決して見棄てるな』と―――」
「(…)あんた―――おっさん臭い見かけしてる割りには恰好いいことを言うわね。」
「放っとけ―――それより、聞いていたなオレ達の話し。」
「ほう、この
「成り行き上オレ達を
「フッ…
「ちょっと―――あのねえ?」
「だが面白いではないか?
何だろう―――こいつ…不気味だ、不気味過ぎる。 確かに未知なるものを知りたくもなる―――と言うのは魔法使いの“
「それより、以降
「ほおう―――珍しい事もあったもんだな、【怪復】って言う『次元の魔女』は名前なんぞないと言い張っていたが…」
「『名』は、その者の
「そう―――なのか…?」
「けど、あんたは名乗った―――どうして?」
「名を、明かさぬのは他人を信用してはおらぬ証拠、故に知らぬ者に名を明かすのは余程のお人好しか
「へえ…だったらあんたは―――」
「
「妙な言い方をするな、あんた確か【無痴】じゃなかったのか。」
話しの流れで私達はその“少女”が『ジイルガ』と言う名前だと言う事は判った、判ったのはいいのだがその“少女”―――ジイルガが【無痴】だと言う事がどうしてそう呼ばれるようになったのか…それが話されたのだ。
「ああ、
「(ん~?)なんで―――またそんな面倒臭い事を…」
「『無知は、罪』そう言う事ね…」
「(ん?)なんだそれは―――ベアトリクス。」
「『無知は、罪』…知らない事は罪を犯しているに等しい―――そう言う考え方よ、だけどねこの考え方には続きがあるの。」
「その通りだ―――ただ、無知である事は恥ではない、皆誰しもが生を受けた時から『真っ白』な状態であるのだ、なれば
「そんなの―――見た事も、
「『言葉』と言うものは、ある意味他人が発しているのを
言われてみれば、オレは『話している事』『喋っている事』その殆どが周りの大人達の話している事を聞き、そして話すようになった―――それに今現在[英雄]として剣を振っているのも母さんから教えられたからだ、そう―――つまりオレは自分から為した事などない、他人から…大人達から教えて貰う事で『知』ってきた、この少女の言うように『真っ白』な状態から色々な事を『知』って行く事で色々な色に染まって行く…それが今の―――[英雄]としてのオレ……
「『一体どこで覚えた』―――のではない、子供と言うのは『真っ白』だ『純真無垢』であるが故にこそ、その吸収力も半端なものではない、“
『無知の知』―――という言葉がある、その意味は『私は、知らない事を、知っている』…そう言った意味だ、確かにこの少女が言っていたように私達はその最初からなにもかも知っていたわけではない、
それよりも、あれ?どうして私…こんなにも神の事情に詳しいんだろう―――けどまあ、あれね、きっと多くの書物を読んだりしてきから、きっと…記憶の片隅に残ってた事だった―――から…
今はまた、ほんの少しばかり“きっかけ”を与えてやったに過ぎぬ、故にこれで
それとも……1度真っ
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
あれから
「あら出てきたようだわね、と言う事は我慢比べは我等の勝ち―――と言う事なのだわ。」
『諦めた』…どころの話しじゃなかった、それどころかオレ達が出てくるまで『我慢比べ』―――やもすれば永遠に出てこないとも限らなかったのに、出てくるまで待ち伏せていたって事だ、しかもこいつら……「厄介な事に新たなる『次元の魔女』様のご登場かい、全く
「有名―――ああ有名だわね、何しろ貴様は大願である主神エリスの復活を邪魔立てしているのだから、だから―――ここは強引でも“主軸”である【崩壊】を連れ帰るまで…なのだわ。」
「いかにも、それに余計な考察をしていると言うのなら一度真っ白な産まれた時の状態にするまで、また“一”からのやり直しは時間がかかるものだけど、ここまで
「
「覚えがない―――逆にお
私達を追い詰めていたのは当初は【干渉】と【怪復】だけだった、けれど私を取り逃がしたことによりあの2人のどちらかが他の者達に協力を要請したのだろう、私達が【無痴】の個人的空間から這い出てきた時、私を確保する為に集まっていた『次元の魔女』は4人に増えていた。
参ったなあ―――これは…さすがに詰んだかも、しかも抵抗するのが『無駄だ』と言わんばかりに他の『次元の魔女』達は
「ほう、随分な歓迎ぶりではないか、久しく
「はあ?何を言ってるの、こんな状況で余裕ぶるなんて逆に
「―――と言うより、
初顔合わせとなる4人もの『次元の魔女』達に加え、後からあの2人…【干渉】と【怪復】も現れて来た、これで現在の処6対1―――状況的にはかなりまずい、周りを囲まれている上に皆一様にして
―――そう、思っていたのだが―――
「
「な、にぃ?わたし達の主神の願望を『児戯』と抜かすのか!」
「(それより…
「ああ―――児戯だとも、その余りの下らなさ故に
「まっ―――まさかこやつ…」
「今の証言が本当だというのなら…」
「この者こそが『存在しえぬ者』?だ、と…」
「ならばこの存在こそが…」
「そう言う事だ―――【
「わ…わたし達の名を―――言い当てるとは…」
「そう言う事でしたか、
「それに…確かにヨルハ達にはあと2人同胞がいたはずなのに、なのになぜか連絡が途絶えた…」
「まさか―――とは思うが貴様、同胞をその手にかけたと!?」
「何と言う恥知らずな、我等が主神の崇高なる意思、それが判らないとは―――」
「しかしそれなら話しが早い、今この状況は6対3―――いや戦力的には6対1と言うべきか、ならばここは先手を打って…」
オレ達に対し敵意を剥き出しにしている6人もの『次元の魔女』達、オレ達だけでは彼女達の名前まで突き当たるのに大変な苦労をしても
けれどここで事態が一気に動き出した、自分達の『真の名』を明らかにされてしまった魔女達が圧倒的数的不利に陥っているジイルガに制裁を加えようとしていたのだ、それを見たからこそオレは……
「ほう―――この
「そう言う訳にはいかないだろう、先程の数字にオレは加えられていないかも知れんが、それでもオレは…」
「なにかね?すると
そこで―――私は息を
「バ―――バカな、ヨルハ達の魔法が!」
「あやつの掌の上で展開しおる“
「集約―――され、た?」
「(それも圧縮されて…)ここまで―――と言うのですか、
「わたしは認めない…認めてなるものですか!“今”はダメでもいずれ機会は訪れる、その時まで首を洗って待っている事ね。」
「これ以上不毛な争いは望まぬ―――と言うのか、それは賢明だ…だが絶望的な事を敢えて聞かせてやろう【
「な―――何よ…それ、あんたも生きとし生ける者ならば寿命の概念はあるでしょう、なのに『どうにもならない
「『寿命』……そうであったな、ああ、確かにあったよ―――随分な
「ちょ、ちょっと待つのだわ、その言い方だと今はないような―――」
「おや、そう言わなんだか?
「待って…下さい―――では何ですか、
「“人”の身でありながら“神”に?
「ヨルハ達の計画が―――発覚し《バレ》ているだと?!」
「しかし妙な…貴様に寿命の概念がないのだとするのならば、貴様は一体何だというのだ!」
彼女達のやり取りで一つだけ私の内で思い当たる節があった、そもそも神には寿命の概念はない―――が、しかし『死ぬ』ことは
ただ―――その昔…興味本位で弟子の手伝いをしたことがある…“人”にして『人』に
―――「『
その、
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「我が
「これは
「フフ…可愛い子―――私の教えを
「
「『案』……どれどれ―――ふうむ」
「
「(……)ジイルガ―――これは?」
「まだ論説としては未熟な部分もありはするのですが、そこはわたくしと
「愉快だ―――全く、愉快だよ…眷属達は
―――これは“記憶”…遠い日の、在りし日の私の“
遠い日の、在りし日の“私”が
けれど重要なのはそこではなく、“私”の
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