第24話 ≪回帰(リープ)≫
この世界を創造せし神―――女神ヴァニティアヌス様の『要望』により他の神の処へと行っていた[勇者]フレニィカさんが戻って来た。
けれどその表情は影を落としていた―――もしかすると『要請』を出した神…クロノス様のお眼鏡に
「おいどうした、失敗する要素はどこにもなかったはずだが?」
「ああーーーいや…それが……
「ん~~~もうーーー折角フレニィカちゃんがクロノス様に認められたからって聞いてたのにぃ~だから私も祝杯の用意をしてたって言うのにさあ~!」
「すまなかったなヘレネ、祝杯は皆に振舞ってやってくれ―――私はしばらく一人になりたい…」
そう―――確かにヴァニティアヌス様が仰ってくれたように、今回は失敗をする要素が一つとしてない…なのに、フレニィカさんはその表情に影を落としている。
そんな彼女を元気づけようとヘレネスの
それを見た
「ああ―――いや…なんでもない、なんでもないんだ…カラタチ、私も今まで会ってきた中で高位の神に会ってしまった事で緊張をし過ぎてしまったみたいだ…だから―――」
「では、この
私は―――“弱い”[勇者]だ…少しの事で
“今の”私は彼女無くしてはいられない、そう言う存在に―――そうした身体に成ってしまった、互いが互いを
私は以前、ヴァニティアヌスの主神格であるエレシュキガル様から
「いかがです?少しは気分が楽になりましたか。」
「ああ―――情けない話しだがカラタチと
「そうでしたか―――ではその勢いで総てを吐きなさいませ、皆さんには言い難い事でしょうから、ならばせめて
「そうだな…ならば聞いてくれるかカラタチ。」
ようやく…ようやく貝の様に固く閉じられた口が開かれた、そしてやはり今回お会いした『クロノス』なる高位神の口車に乗せられ、この人の実力に見合わぬ強敵に会ったと言う事が次第に分かって来た。
「そうでしたか―――ではその『
「ああ、所詮私などは敵ですらなかった…エルフと言えど“ハーフ”の私は18年と言う時間しか
『そんな事』―――と、言う人はいるかも知れない…『そんな事で[勇者]が
「§たいへんよくできました§―――よくぞそんな事をこの私に打ち明けてくれた事を、だからこそ
「すまないな―――カラタチ…本当に、すまない……」
既にお気付きになったかと思うが、これは『二周目』―――『一周目』とはやや経緯・過程が異なりました。
―――ではどの部分が……?―――
『一周目』では、フレニィカは誰にも自分の身に起きた事を語ってはいない―――
けれど『二周目』では、カラタチにのみ話した―――フレニィカ自身が会ったと言う『
そして“最後”に―――彼女に向けて謝罪をしたのは…『一周目』に於いて
―――けれど“その事”を、カラタチは知らない…また、知る由も、ない―――
―――だからこそ迎えてしまう…『二度目』の“絶望”を…―――
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
あれからしばらくして私達はこの
「いや、今回お前達を呼びつけたのはそう言う事じゃない。」
「(ん?)ではどう言った用向きで…」
「定期的に催される『神々の会合』…それに出席する為だよ、本当なら出席なんてしたくなかったんだがエレシュキガル様がなあ…」
「『是非に』もと仰っててねえ、それに“シギル”もここ5000年ほど出席をしていないんじゃ不審がられるのも無理はないってところだよ。」
「ヘレネさん―――」
「それに今回は“ハガル《こいつ》”も同伴てな事になっている、まあ会期中にこの
「あんた達2人なら
女神と[魔王]が
総ての神…ではないにしても神々が一堂に会する、それにヴァニティアヌス様は『変な気を起こす
ヴァニティアヌスとヘルマフロディトスとが―――か…この
それに―――私は一度、私の所為で大切な者を死なせてしまったと言う落ち度がある、だとするなら…『なにもしなければ』いいのではないか―――[
―――けれど―――
その私の
それというのも……
* * * * * * * * * *
ある日の事、突然何の前触れもなくこの
まさか―――…「『
「別に、驚くほどの事でもあるまい、今回私はさある神からの『要望』に応えたまでだ。」
「さある神からの『要望』…それはこの
「(フッ)そこはそなたなりに考え
「お前の目的を
「そう言う事だ、しかもそなたは私と刃を交り合せる前にココロを折られている…はてさて私を
紛れもなく、この
あの方が…『
「フッ―――興醒めだな、幾分か持ち直したと思っていたのだが…まさか持ち直すことなく私と
「……違う―――」
「どこが違う?気持ちを持ち直す
「……。」
「返事は“なし”―――か、ならば本来の私の目的も果たさせてもらおう。」
『
「こちらに『
「
「そなたがそうか、ふうむ…申し分ない―――その
「(…)そう言う事でしたか―――では、あなたがそうだと言うのですね。」
「私の事を、知っていたと?」
「この
「フ・フ―――そうか、あの者は『ベレロフォン』と言っていたか、確かに私と渡り合えるまでの実力は有していたがあれ位の実力はざらにいたものでね…どうやら記憶には残らなかったようだ。」
「そうですか…それよりも、もう一つ
「何かな―――」
「確か先程あなた様は[勇者]もだと…?フレニィカさんと何があったのですか。」
「どうやらその様子では、あの
この者の…『
『一周目』の私との邂逅はクロノスのものだと言う事は判った…けれど、出身の
「待…て―――カラタチを亡き者としようとしている神とは一体誰なのだ。」
「その事を…“敗者”であるそなたに私が話してやる義務があるとでも?“勝者”であるこの私が?フフフハハハ…これはとんだ恥知らずもいたものだ、そなたが“勝者”であるならば判ろうものを、それを“敗者”が…なあ?」
「この
「その“手”には乗らんよ―――私も軽く視られたものだ、まあ好きなだけ邪推したまえ…」
「『悪魔』―――」
「どうとでも言うがいい……それより私の依頼を果たさせてもらうぞ。」
「やっ―――やめろ!『
「(…)ならば、
圧倒的な実力の差により地に伏せた私を
* * * * * * * * * *
また―――まただ……また私は“彼女”を
『一周目』とは違い『二周目』はカラタチにのみ事情の一部を話した―――にも、
『時空』を
けれどクロノスは言っていた―――『納得が出来ないなら君自身が納得いくまでやり直せばいい』…
今やこの私には、そこしか
『次こそは』―――と思いつつ、また私は使う事にした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「あの、ヴァニティアヌス様、フレニィカさんはどこかお出かけになられたのですか。」
「ああカラタチ殿か、あいつならば少し用向きでな。」
―――何か、おかしい…―――
「『用向き』―――と言う事は、[勇者]であるフレニィカさんを求めてくれた神様がいるのだと?」
「さすがに鋭いなカラタチ殿は、まあそう言う事だ…まだ未熟なあいつではあるが、そこを是非にも―――とせがまれてな。」
「(…)あの、よろしければそのご
「『時空』を
―――やはりだ、何かがおかしい…―――
「(クス)何のかんのと言いましても彼女の事が可愛くて仕方がないのですね。」
「(フッ…)昔からよく言うだろう?『出来の悪い子ほど可愛いものはない』と、それにあの子を[勇者]と見込んだのは他ならぬ私だ…変に甘やかしてダメにしたくはないものさ。」
この、今のヴァニティアヌス様とのやり取り…『初めて』ではない?そんなおかしな事があるものかと、いつもと変わらぬ日常を過ごしている人達はそう思うのでしょうが…
『言って』いるはずなのに、どこか『言わせられている』と言う感覚にも似ている、それに…
―――しかし―――
「こちらに『
ある時に、『
「
「そなたがそうか、ふうむ…申し分ない―――その
「(…)そう言う事でしたか―――では、あなたがそうだと言うのですね。」
「私の事を、知っていたと?」
「この
「フ・フ―――そうか、あの者は『ベレロフォン』と言っていたか、確かに私と渡り合えるまでの実力は有していたがあれ位の実力はざらにいたものでね…どうやら記憶には残らなかったようだ。」
「そうですか…それよりも、もう一つ
「何かな―――」
「確か先程あなたは[勇者]もだと…?フレニィカさんと何があったのですか。」
それにしても―――あれ?このやり取り今回が初めてではない? 確かこの後……
「どうやらその様子では、あの
「待…て―――ではカラタチを亡き者としようとしている神とは一体誰なのだ。」
「その事を…“敗者”であるそなたに私が話してやる義務があるとでも?“勝者”であるこの私が?フフフハハハ…これはとんだ恥知らずもいたものだ、そなたが“勝者”であるならば判ろうものを、それを“敗者”が…なあ?」
やはりそうだ!このやり取り覚えがある! けれど―――どうして……それにこの後の結末もどことなく判っている。
「この
「その“手”には乗らんよ―――私も軽く視られたものだ、まあ好きなだけ邪推したまえ…」
「『悪魔』―――」
「どうとでも言うがいい……それより私の依頼を果たさせてもらうぞ。」
「やっ―――やめろ!『
「(…)ならば、
そうだ―――
―――そして『
「(むっ?)ほう…今のをよく避けたな。」
「なるほど…こう言う“流れ”でしたか。」
「カラタチ!お前……」
「ふふふっ…どうやらそこで寝ている
「その位にしておいてもらいましょうか、
「それよりどこで判った?その感じだとまだ『三周目』の様だが…」
「
「フフフッ…いや、その通りだ―――どうやら私も先を
「では、今回は
『
今までは―――その初撃でカラタチの命を奪っていたものの、『
―――これならば、カラタチの命は奪われないと、そう…思ってしまった……―――
「それは余りにも
『
「ぐぶっ―――」
「カラタ―――…」
「『決着がつく』とはこう言う事を言うのだ、
―――ヤツの
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