第22話 “絶望”への『序章(はじまり)』
―――カラタチが…死んだ―――
彼女は、私の最大にして最強の
―――その“
―――“誰”の所為でもなく、この“私”の
―――けれどしかし…これは、まだほんの『序の口』…『
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
『今日』の私はいつもと変わりなく[勇者]としての経験を積んでいる、ヴァニティアヌスの
そして“今”は―――通算何度目にかになる[魔王]ヘルマフロディトスを退治した後の出来事、私が住んでいる町に一軒しかない酒場ヘレネスに於いて………
「はあ~い、今日も無事[勇者]フレニィカちゃんが[魔王]を退治してくれたって事で、お祝いだよお~♪」
何を隠そう、今この場を盛り上げてくれているのが酒場ヘレネスの
それに―――……
「それは大変喜ばしい事です、しかしながら今回もまた激戦であった事を物語るかのようにフレニィカさんは“ボロボロ”…いつになったら
妙に“ちくちく”と痛い処をつついてくる―――これが私の最大かつ最強の
仕方がないだろう~~~だって
けれど、そう―――カラタチは
「何か、お悩みでも。」
「ああカラタチか―――いや、相も変わらずの人気者だなあ~と…」
「まあそうする為にご奉仕しているようなものですからね、本来の
そう言う処だよ―――そう言う処…妙にあけすけに語る一方で自分の立場と言うものを
「どうかされました?私の方を見つめて…」
「いや―――別に……」
「お悩みがあるのでしたら、またいつもの様に聞いても構いませんよ?多くの
「(…)そうか―――なら、聞いて貰いたい…」
私と彼女とは、“ある一点”では互いを譲らない関係ではあるものの、それ以外では共に分かち合えていた。
そう…“ある一点”―――ベレロフォンの事に関しては互いを譲らない…また譲る気もない、けれどもその事以外ではこうして悩みを聞いて貰っているなど関係としては“浅く”はないのだ。
* * * * * * * * * *
今回の処も勝てましたか…けれどその内容としては自身が納得するような出来ではなかったのでしょう、まあその辺は
それにしても…可愛い
イケナイ事―――をしているという自覚はある、それでも互いに求めて
* * * * * * * * * *
―――明けて翌朝、私は脳天に“
「(!)
「よーやく起きたかこの色ボケが!」
「(イっタあ~い…)って、ヴァニティアヌスぅ?一体どうしてお前が…」
「その前に自分の状況をよぉく見返してみる事だな。」
「(……あれ、裸?―――って)」
「よぉーやく自分が置かれた立場ってものが判ったところで尋問だ…」
―――そこは“質問”じゃなくて“尋問”なんですね?―――
「な―――なんだ…でしょう。」
「おめーカラタチ殿と何があった、正直に言え。」
「カラタチと何かあった…ってえーーー彼女から何か聞いたとか?」
「今朝この部屋から出て行くカラタチ殿を見てなあ、しかも他人の目を
「あ…あああ~この部屋からですか?ちょっと昨夜遅くまで話し込んだりしましてですね?それで遅いからと…泊めたんですが―――」
「ふう~ん……それじゃ、何もなかったって訳だな。」
「は、はい~~~その通りだと思います…」
「それにしちゃ全身
「そ、それはまああーーーカラタチも
「へえーーーそれにしては陰部を特に、念入りに、洗っていたようにも見えたんだが?」
「へっ?!」
「いいか…正直に言えよ、カラタチ殿は
―――あれ…?これって
「ええっと…あの…そのう~~~」
「いいか―――もう一度聞くぞ、そしてこれが最後だ…本当に何もヤっていないんだな?」
“捜査”を行う者は“容疑”のある者が言い逃れ出来ない様に状況証拠を固め、迫って来ました…そこで言い逃れられないと思った“容疑”のある者は“白状”してしまったのです―――他の
「全く…お前と言うヤツは―――」
「申し訳ない事です…」
「(はあ~)まあ唯一の救いは『同性同士』と言う処だろうな、これが
「あの~それって間違いなくどちらかの“混血”って事です?よね…」
「お前の場合は“
「(……)だって、可愛かったんだもん。」
「(なあーにが『可愛かったんだもん』だ…)ヤレヤレ―――まあ、機会としたら良かったのかもしれんな。」
「(ん?)何の事を…言ってるんだ?」
カラタチと“親密”以上に親密になり過ぎている事を知ってしまったヴァニティアヌスは『警告』と言う意味もあったのだろう、私に以下の事を言ってきたのだ。
「とある神が是非ともお前の事を
あっ、これいわゆる『自業自得』と言うヤツですね、それに知られてしまったから私に拒否する権利なんて“ない”と言った処だろう。「あーーーはい、了解した…それに思えば私が神から求められたのはエレシュキガル様に続いて
「あの方の場合の時は有無を言わさずだったからなあ…そこに関して言えば今回はまだ事前の
「(?)なんだ、やけに言葉尻が重たいな。」
「重たくもなると言った処だよ、何せその神は私の主神であるエレシュキガル様以上に
その名を聞いた瞬間―――私は即座に固まってしまった。 て、言うよりナニ?ちょっと待って?ヴァニティアヌスは『私でも聞いた事くらいはある』と
「それはこちらの
う…そこはあーーー私も絶賛痛感中なのではっきりと言わないで欲しいものだが…それにしてもひどくない?私も一応はあなた様の眷属なんですけど?
「まあ取り敢えずの処は私もこの事は『機会』と受け取る事にした、それにあの
そこは敢えての断言をして欲しかったものですけど―――『変な事をするわけがない』って…そんな事を言うものだから、気になるじゃありませんか…そう言うのってナニか含みを持たせる時に使うもんですよ、なので私も変に警戒をしたものでした。
* * * * * * * * * *
「あの、ヴァニティアヌス様、フレニィカさんはどこかお出かけになられたのですか。」
「ああカラタチ殿か、あいつならば少し用向きでな。」
ある日―――“
「さすがに鋭いなカラタチ殿は、まあそう言う事だ…まだ未熟なあいつではあるが、そこを是非にも―――とせがまれてな。」
「(…)あの、よろしければそのご
「『時空』を
「(クス)何のかんのと言いましても彼女の事が可愛くて仕方がないのですね。」
「(フッ…)昔からよく言うだろう?『出来の悪い子ほど可愛いものはない』と、それにあの子を[勇者]と見込んだのは他ならぬ私だ…変に甘やかしてダメにしたくはないものさ。」
今回、『[勇者]フレニィカ』を求めて下さった神の事は
―――フレニィカさん、願わくば目の前の結果だけに惑わされませぬように…―――
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
こうして私は今、『クロノス』と言う高位の神の前に立っている。
{ようこそ―――僕の名は『クロノス』、君だね?ヴァニティアヌス自慢の[勇者]と言うのは、名は、なんて言うんだい?}
「初めましてクロノス様、私は…ハーフ・エルフのフレニィカと申し上げます。」
{そうか、フレニィカ―――素敵な名前だね。}
「そ、それよりもクロノス様は私が『ハーフ・エルフ』と言う事に気にしないものなのですね。」
{ん?ああ―――気に、しないよ?特にする必要もないだろう、君がヴァニティアヌスに認められて[勇者]と成れているのだからそこを
その言葉は、今までのどの言葉よりも嬉しかった。 今までは例え[勇者]であろうとも“
それは本来ならばとても嬉しいものだった―――嬉しいはずだった…けれどなんて言ったらいいのだろうか、素直に喜べない。 どうしてなのだろう?私の事を認めてくれているのだから喜んでもいいはず―――なのに…
―――なのに……―――
―――この…違和感?―――
ほおう、この僕の仕掛けに
“今”―――フレニィカが会っているのは『時空』を
「それよりクロノス様はなぜ私を?」
{君は実に面白い―――いやここは『興味深い』と言い
「(私が持っている『興味深い』モノ?)あの、それは……」
{何でも君は僕達神々でしか
その時私はこの
「な―――なに、を…」
{大丈夫だよ、なにも恐れる事はない……ただ鑑るだけだからね―――どおーれ拝見…}
その時私には判った…先程感じた違和の正体が、この
それに、『時空』を
ふうむ―――やはりな…なにも
では、私も少しばかりのお節介と言うものを焼いてみるとするか…私が授けた
私が感じた時間では1時間か2時間…その位の感覚だったが、『時空』を
それにしても―――何かされたのか?私は…
{やあご苦労だったね、すっかりと
「は…は、あ―――それはどうも…」
{君は実に将来性に
「あの、それより
ほおう、意外に鋭いね―――だ、が、今は
「(…)そうでしたか、何だか疑ってしまって申し訳のない事をしました。」
一応こう言うやり取りは交わしたものの、どこか信じられない―――信用の置けない、そんな感じがした…けれどそんな証拠はどこにある?その疑いは私が気にしているだけであって本当に何もなかった可能性もある、
* * * * * * * * * *
{ああそうそう、そう言えば大切な事を忘れていた、少し頼み事があるのだが…いいかね?}
「えっ?はあ―――まあ…」
ここで本来ならば用が済んだ事で元の
{少し困った事が起きてね、君は『
「『
{そうか―――いや、その『
「そう言う事でしたか…それで?どの様にすれは良いのでしょうか。」
{(フフ…)それはね―――}
クロノス様が私を呼び止めた理由は単純だった、何でも『
―――しかし、私は知らなかった……―――
やはり『時空』を
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