第20話 “あなた”と“私”
オレは今またしても女神ヴァニティアヌスの『要望』によって別の
そう、オレの根底には女神ヴァニティアヌスへの
けれどオレは―――母さん以外の女性を
それにこの事は今でも誰にも知られていない、知られたら知られたで『乳臭い』だの『親離れできていない』だの『
―――それに…今回も大仕事を終わらせて、またいつものように愛情たっぷりと
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
その頃私達は
「まさか…ヴァヌスさんが女神ヴァニティアヌス様だとは。」
「やれやれ全く、
「しかしヴァニティアヌス、いつまであいつを
「仕方がないだろ、それにあの子はこの私が育てたんだ、親が子を大切に思うのは当然じゃないか。 私も昔は
「そんな出来事が…それよりヴァニティアヌスの処女性を奪ったヤツとはどんなヤツなのだ。」
「『アイギパーン』―――元は牧神、牧畜の神だったらしいが、ある
相手の意思や同意なくして処女性を奪う―――そう言う事でしたか、しかし
「[英雄]の“
母親が子を想う―――
「ああ、
「ん?それはどう言う事だ。」
「あいつはな、真面目なだけが取り柄なんだよ、それが悪いって事じゃないんだが―――カラタチ殿の処遇を見ても
「ヴァニティアヌス様は何でも知っておいでなのですね。」
「カラタチ殿の前で言っちゃなんだが、あいつほど色恋に
そう…
* * * * * * * * * *
しかし―――あの言葉には相当な含みがあった、確かにヴァニティアヌスにはベレロフォンに対しての親としての情と言うものがあるのだろう、けれど子はいつしか
「なんだ、のっけから気色悪い呼び方してんな…残念だがお前と話すような事は何もない。」
「そ、そんな事を言わずにお
「やかましい!お前から『お
「あーーー?うんーーーそれより何用かなカラタチ殿。」
「
「おーおー言う事が違うのう、
ギク、盗み聞きをしているのがバレてしまっている…それにしても
「お前にはそう見えんのか?残念だか今はとってもサイアクだよ。」
な、何やら機嫌がよろしくない…それに輪をかけるかのように私が『ご機嫌取り』をしているので凄く睨まれてしまった、し、しかしなぜヴァニティアヌスは機嫌がよろしくないのだ?
「あーーーそりゃ、今回
「なに?珍しい事もあるものだな…」
「実力的には“シギル”の方が圧倒的に
「相性が?そんな事で…」
「いいかいフレニィカちゃん、相性ってなもので勝敗の総てが決まるもんじゃないが、導く事は
「そう言うものなのか…」
今回のヴァニティアヌスの事についてヘレネに相談を持ち掛けたらそう教えられた、圧倒的な力で相手をねじ伏せておきながらもいざ捕縛をしようとした処、油断をしてしまって逃げられてしまったようだ、そこへ私が『
そしてその事は
しかしそれも所詮は“希望”―――
「カラタチか、ヴァニティアヌスが苦戦を強いられているとヘレネから言い聞かされてな、来てみれば…」
「『
「『
「『
それは―――
「フレニィカさん
「しかし、ヴァニティアヌスさえ敵わない相手が…」
「相対的に言えば敵わない相手ではありません、ただ相性が悪いだけ…けれど
「では、と言う事は…」
「多少なりの影響は否めないかも知れませんが、ヴァニティアヌス様と比べれば悲観的ではないとも言えます、その証拠に―――〉招来〈:
体内にある魔素が滞りがちなのかヴァニティアヌスが片膝をつき苦しそうにしている、これが『
―――§「ヴァニティアヌス様をそこまで苦しめた手並みは拝見させてもらいました、その上で判ずるのですが…よくもまあその程度で―――これは『
ん?カラタチの喋り方がいつもとは違う…?それはまあ敵と相対峙ているのも判らなくもないが、私には今のカラタチがいつもとは違うように映ったのだ、そう…いつものカラタチならば敵であろうが見下したような表現はするはずもない、だが私にはまだカラタチの事がよく判ってはいなかった、そう…今の彼女がしている事は―――
恐らくヴァニティアヌス様が苦しめられているのは一種の“
「判った―――さあヴァニティアヌスこちらへ…」
無事ヴァニティアヌスを確保出来た処へカラタチが対処に移った、それも私達の知る『魔術』の対処法とは違う…手を打つ『
「フレニィカさん―――」
「ヴァニティアヌスの無事は確保されている、それにお前も己の為せることをしている…ならば、私は私の為せれる事をするまでだ。」
徐々に彼女の周りを光の粒子が取り巻いている…これはもしかすると『魔力の可視化』ですか!?そしてそれを取り込んで実体を露わにする光輝の鎧―――なるほど…アルテミス様ほどの
互いの協力により侵入者は撃退出来た、今回はヴァニティアヌスが不覚を取ったものだったがカラタチと私達が協力をすれば或いは―――
「ヤレヤレ、とんだ不様を見せちまったもんだ。」
「とは言え『
「まあ―――『
「敵状を探る者がいたやもしれません、ヴァニティアヌス様どうか
「―――いや、それはダメだ。」
「何故だヴァニティアヌス、カラタチの実力は見ただろう!」
「この
「では―――!」
「私は、知らない…私の知らない内で眷属達が勝手にしている事をわざわざエレシュキガル様に報告をするまでもない―――まあ、あの方はそう言う事を面倒がる
「全く―――素直じゃないんだから。」
ヴァニティアヌスが敷設している結界の外側に新たにカラタチの結界を敷設する許可を直接申し立てた処、却下された―――しかしヴァニティアヌスが言うのには自分が創造した
* * * * * * * * * *
そして今、私はそうした作業に付き合っている―――「以前にも思ったが…それは一体何だ?」
「これは『式神』と言うものです、以前アルテミス様の眷属達に対処した折には簡易的なものを使用しましたが今回は時間があります、時間があれば簡易的ではないもの…この
カラタチが敷設しようとしている結界に使用したのはどこからどう見ても
「そうですね、様々な状態異常を仕込んであります、例えば“
「む、むう…『公表してもよい』と言う事は『公表したくない』というものもあるのか…それはそれで怖いものだな。」それに―――敵として相手にしたくないものだ…いやはや味方であってくれて良かったあ~
フレニィカさんに『公表した』のは飽くまでその効果が軽微なものである為、本来の効果は口外してはならない…それは
そしてこうした風聞が広まれば危険を冒してまでこの
* * * * * * * * * *
―――それは、そうと―――
「ふうむ色々聞いてみたがカラタチの“
「『万能』と言うほどの事でもありませんが、まあ出来る事が多くなると言うのは良い事にも繋がりますよね。」
「それにしても大したものだよ、今までは物理的に対処をしていた私達だったが“術”が使えるとなるとこうも違うものなのだな。」
「い、いやです―――止めて下さい…恥ずかしくなってしまいます。」
「ははは、そう照れなくても―――」
『照れ隠し』をしている処で“照れ”ている―――こう言うのを『可愛げ』と言うのだろうなあ、私にはない
と、本来ならここで止めておけは良かったものをまたもや私の口が
「え?いえ、フレニィカさん達にも“
エ……ナニソレコワイ、私がまた余計な事を聞いたお蔭でカラタチの“
「ああとは言っても侵入者に対しているのとは違いますよ。」
「ち、違うの?それは良かったあーーー…」
「“あちら”に対しては『
「『
「あーーーっとですね、『
えっ?そんな有効な効果が付与されていたの?(それも複数も)この娘ったら凄く優秀―――こう言う娘は『手離したらアカン』と私の本能が告げている、この際ベレロフォンを争っていると言う事は省いてでも仲良くしておく―――べきだろうなあ…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます