第18話 不相応の処遇―――『次元世界(せかい)からの追放』
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「
―――えっ―――
「ちょ、ちょっと待ちなよ大将!冗談にも程ってものがあるだろう!あたし等が一番苦しんでる時に誰よりも
「そんな事は、
「それじゃあ何かい?あたし等の神様が…カラタチの苦労を一番見て来た
―――この…
その、あまりにも前例のない通告を聞かされた
それは当然だ―――と、
―――なぜならば―――
「我からの通告を聞いたぬしらでさえそうなのだ、直接聞かされた我の身にでもなってみろ、無様にも二度聞きをしてしまったわ。」
「ま、まあーーー信じ難い事を聞かされちゃ判る気もするもんなんだけどさあ…」
「それよりも
「詳しい事は我も知らん、ただ
―――嗚呼、そう言う事だったのですか―――
―――嗚呼、どうしましょう…また頬の緩みが―――
不謹慎と、そう思われても仕方のない―――本来なら理不尽な処罰に対しては激しく抵抗するか異議の申し立てをするものなのに……
* * * * * * * * * *
{
{なんでしょう、
{
{ああ彼女の事ですか、行く末の見えた
{[
{―――はは…何をご冗談を
{
{えっ―――}
{とまあ冗談はこの位にしておいてあげましょう…対外的にはこうした方が面白くなりますからね。}
{はは……
{それに、一見『処罰』に見えるこれも言うならくは『褒美』ですからね。}
{それは―――どう言ったことで?}
{これだから全く―――男の子というものは…よいですか
{カラタチの―――変化に…ですか?}
{ヤレヤレ―――ここまで
{おお!そうだったのですか、
{だからこそ―――あなたに告げたのじゃない…『(カラタチの)この
感謝をしなさいね―――ただ、
* * * * * * * * * *
事の次第はこうだったに違いはない―――ただ
「だ―――大丈夫です、
「本当に大丈夫なのかい?声、震えてるけど…」
嬉しさの余りに生じてしまっている身震い……いけない、抑えなくては―――
「涙…泣いているじゃないか、よくそんな
「大丈夫…大丈夫ですイナリ―――」
だってこれは…嬉しさ余って
「すまんなあ―――我がもう少しばかり至っておれば、ぬしに辛い目に遭わせずに済んだものを。」
最後は領主シノギからの言葉を貰い返事をしたものですが、正直どんな表情をしていたか記憶が定かではありません。
「行っちゃったね、カラタチ。」
「案外だけど―――これで良かったのかもねえ。」
「アマミ…不謹慎だよ、それ。 これから立て直しが必要って時に一番優秀で有能な人材が欠けちゃったんだよ?」
「そいつは聞き捨てがならないねえ?イナリ…そいつはひょっとするとカラタチ以外のあたし等は無能の集まりだと言いたいのかい?」
「そ…そう言う事を言ってるんじゃあーーー」
「それよりアマミ、『これで良かった』とはどうしてそう言えるのだ。」
「あんたのいる前でも話した事はあるんだけどねえ、つまりはさあの子の視線はたった一人だけを追っていた…それだけなのさ、それに気づいたあたしは一度あの子の背中を押した…」
「それが今回の決着戦―――」
「あの子はさあ…あたしらの神様の如く
「(んーーー)あれ?だったら今回の処罰は……」
「まあ、あたし等の神様ったら相当な
「子息殿に無理難題を吹っかけた…と、なんだか
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「なんで、こんな処にいるんだ。」
「あ、あのっ…じ、実は
「『神の不興』?
「い、いえ―――
「(はぁ…)そう言う事な―――それで納得が行った。」
「それはどう言う事でしょう?」
「あんなにも尽くしてきたと言うのに褒められる事はあっても『
「あ、あ、あのぅっ―――わ、
「ああ、嬉しそうだ。 それにしてもなぜオレみたいな野郎に惚れたものなんだか…」
「それよりベレロフォン様はなぜまだここに?」
「オレは、見た目通りの戦士だからな、
オレはこの
* * * * * * * * * *
「ゴメーン遅れちゃっ……あのーーーひとり何気に増えてない?」
「この
「へええーーーふううんーーーそうなんだあ?」
「それよりも、『次元の魔女』とやらは時間に緩いのか、約束された時間に現れもせず―――」
「し、仕方ないでしょう!こっちだって立て込んだ事情ってものがあるのよ!」
『魔女』と言うからにはさぞかし年季の入った
それよりも、ようく考えてみると…
な、なんだか緊張をしてまいりました!ここは恥ずかしくないようにしなければ―――『
「おお、ベレロフォン!ようやく戻って来たか。」
そう―――思っていた時期が、私にもありました……
と、言いますか何やら根拠のなき自信と言うものが根底から打ち砕かれたという感覚…と言うかナニアレ!?『エルフ』?まるで“美麗”を画で描いたような美貌に、私の根拠のなき自信とやらは根底から打ち砕かれてしまったのです。
「出迎えご苦労さん―――とは言え何も出迎えてくれなくてもなあ。」
「何を言っている、お前がいない間こちらは大変だったのだぞ、それを[勇者]たる私が……」
あっ、この
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そして現在―――フレニィカとカラタチの睨みあいは続いている…こう言う事になるのではないかと言う予感はしていたが、『最悪』だ、ただまあ『血の雨』(惨事)までにはなっていないものの、依然として油断は禁物だ…この
「ただい―――なにを見つめ合っているんだ、この2人は…」
「聞いてくれヴァヌス!この鬼ッ娘、ベレロフォンのヤツが出先の
「初めまして―――
「ふうーん礼儀正しいんだな、どこぞかのエルフの小娘とは大きな違いだ、それに―――
「
「えっ?あっ、まあーーーヴァニティアヌス様から聞かされた事があったからな、それよりもベレロフォン一皮剥けてきたって感じだな。」
「ああ、と言うよりはまあ新しく生まれ変わったと言った方がいいかな。」
あ、あれ?なん…でしょうかこの小さなお
完全に読み誤りました…
どうやら気付いたようだな、私達の本来の
それに、この対立構造は決して2対1等などではない…また新たな(厄介な)対抗勢力が出来たと言った具合だ、しかもこの鬼ッ娘、私の不得手な部分も得意そうだしなあ…
そう思っていましたら、そう言う部分はすぐに発覚してきたのです、そう―――今この鬼ッ娘には身寄りがない…からと、しばらくの間ベレロフォンの処に厄介になるのだと言う??
いや、待て、それはまずいだろう!(イロイロと!)もしかするとあの鬼ッ娘、
「ん~?どうしたんだあい、フレニィカちゃん。」
「実は、折り入って相談したい事が…」
* * * * * * * * * *
なんとか、懐には潜り込めましたか―――けれど油断はなりません、現在はベレロフォン様のご
そして私はベレロフォン様の居宅で住まわせてもらうその初日に、早速ながら策を仕込もう―――と、したのですが?
(※別に彼女に他意はなく、ただ夕食を作ろうとしただけ)
「なぜ、あなたが、ここに?」
「い、いやあ~別の
む、むう…口ではああ言っていますが、これは威力偵察ですね―――しかも『土産話』とは…さすがはエルフとだけ申しておきましょうか、それに…土産話を聞くだけならばなにも―――
「なんだフレニィカ、お前普段は着ない様な衣服を着ているなあ?なにもベレロフォンからそこのお嬢さんの
し、仕方がないだろう~!ヘレネに相談したら『こうしろ』と言われたんだからあ~!し―――しかし~それにしても…ヤリ過ぎたか?これは。
ははあ~んなるほど、どうやら敵には相当な
「そう言う事ですか…判りました、でしたらば早急にお1人分お作り致しましょう。」
え゛っ―――敵を迎え入れるのぉ?この私をお?出来過ぎだ…この鬼ッ娘―――死角と言うものが全く見当たらない!ヘレナの助言では今回押しかけ同然で鬼ッ娘の
「私がフレニィカさんの分をお作りするまでの間、どうかベレロフォン様達とのご
完・全・敗・北だ―――まさか敵に塩まで送られてしまうとは…私では太刀打ちできなあ~い……
しかもその後にありついた食事と言うのがやけに塩辛かった―――まあ…私の涙がそうさせてしまったのは否めないではいるがな。
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―――それはそれとして、話しは少し前に遡り…―――
私達『次元の魔女』には『相互に対して干渉し合わない』―――と言う不文律がある、しかし今、私の目の前にいるのは【干渉】…ここ最近私が感じて已まない“不穏”について問い
「ねえ【干渉】、少し聞きたい事があるんだけど。」
「どうしたの、そんなに怖い顔をしなくても―――それに『聞きたい事がある』って言っていたけれどそれってもしかすると…あたしがここにいるってことかしらあ?【崩壊】。」
「ええ、そうよ…私達は相互のしている事に干渉はしない―――その『次元の魔女』の不文律に反しているのかもしれないって思えちゃってね。」
「あたしが?あなたのしている事を?干渉?笑えないわね…確かにあたしは【干渉】を名乗ってはいるけど不文律を破るような事はしてはいないわ?それに―――もしあなたがそう思うのだったら…それは見解の相違って言うものよ。」
「なに?どういう意味―――」
「あたしもね、頼まれたからやっただけなの…『邪神と名を変えたアクタイオーン』や『カリストー』『シューリンクス』『オライオン』達の次元転送に、アルテミス自身の転送―――」
「けれど彼ら彼女達は私達の助力がなくても…」
「ええ、出来るわね―――但しタダと言う訳にはいかない…対立している
「そこまで判っててどうして―――それに、だとしたらあなたに依頼をしたのはアルテミスって事になるわよね。」
私がここ最近“不穏”を感じていた原因を
けれどここには私もいる―――だから私は【干渉】が私に対し干渉を行おうとしているのだと思い込み、こうして事情なりの聴取をしようとしたのだ、しかし【干渉】からの言い分は一応筋が通っていた為、私もこれ以上は深入りしないするつもりでいたのだけれど…それにしても今ひとつ腑に落ちない部分が―――それがアルテミスからの依頼は『次元の
まあよくそうした依頼は受ける事はあるけれど、それにしても
――― だけど―――
「なあーにを言っているんだか…所詮アルテミスなんて単なる腰掛けよ。」
「―――え?」
「だって、決まっているでしょう?あたしたちに言う事を聞かせられるのはこの
えっ―――何?ちょっと待って…ひょっとして『
「あれれ~?あんた…もしかするとそんな事も忘れたと言うの?はあぁぁ…なんて面倒な事に―――」
な―――なにっ…これ、あ、頭が……割れるように痛い!
しかし―――この時私は知ってしまった…なぜ私達が『次元の魔女』と呼ばれているのか、その事を私は……
「これは一度他の皆を集める必要があるかもね、所詮副人格であるあたしたちならまだしも…主軸であるあなたがこんな様では―――」
その時、【干渉】は言っていた…『副人格であるあたしたちなら』と―――そして私の事を『主軸』だと…
どういう事?私は私だけでしかないと思っていたのにそれすらも違う?だとしたら私は…私達は一体何だと言うの!?
けれどその
私の脳に作用していた“刺激”―――それこそは主軸である“私”の古来に於ける大罪が起因し、永らくの間神々の眼を欺くために取られた措置……それがこれを機会に主人格が表へと出ようとした証拠に他ならない、そしてかつての災厄は復活する―――かつては神々の中でも最も
そしてその神は、
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