第12話 有角人族の[巫(かんなぎ)]
オレは今、女神ヴァニティアヌスの前に立っている。
だが、オレも様々な経験をしていくに従い、女神ヴァニティアヌスがオレを育てたのにも理由がある事が次第に分かって来た。 “
{どうしたのベレロフォン、いつになく難しい顔ね。}
「当たり前だろうヴァニティアヌス、オレは“ここ”で[英雄]としての
{(…)
「その事は―――あんたを崇める教会の[司祭]から聞かされた事がある。 確かにオレも段階を踏んで様々な難易度の
{あの人ったら―――
「『
{そう言う事です―――その事が判ったのなら行って
オレがヴァニティアヌスから
オレがこれから
* * * * * * * * * * * * * * * * * *
しかし、疑問として残るのは一体どうしたらその
「あんた―――は?」
「初めまして、私はこれからしばらくあなたと行動を共にする…そうね、取り敢えずは『次元の魔女』としておこうかしら。」
『次元の魔女』…?確か何処かで聞いた事があるな、そう言えば教会の[司祭]が
「そうね、まあ取り敢えずは『道先案内』かしら。 あなた、こことは違う
オレは、『次元の魔女』が
そしてオレは『次元の魔女』に
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「状況の報告を―――!」
「一番隊、二番隊全滅!」 「三番・四番も持ちそうにありません!」 「現在西の
現在
それに…
とは言え思うように事が運ばない、いくら
「いかがされますか[
「(…)撤退を致しましょう、ここはもう
間に、合いませんでしたか…
* * * * * * * * * * * * * * * * * *
そんなオレは『次元の魔女』によってこの
で
来たのはいいんだが―――…
「なあ『次元の魔女』、一応オレがいた
「あなたなら―――自分の目の前に見ず知らずの者が現れたらどう思う?怪しいわよねえ?警戒しちゃうわよねえ?そこを
「そこは、判った―――オレも納得するよう努力しよう…だが、
「(…)ごめんなさい―――実は少し
「だったら近くの人のいる場所に転移出来ないのか?この場所で
「判ってるわよぅ!今
この『次元の魔女』の
くっそおぉぉ~なあんでよりによってこんな時にい~!それに私〈次元転移〉は使えるけれども、そんなに精度は高くないのよ…そのいい(悪い)例がまさに今回なわけでして、私の
ですが
「(これは―――)手遅れ、か? 見た処すでに陥落した後みたいに見えるが…」
「待って―――どうやら北の方角で僅かな数が移動を開始しようとしているみたいよ。」
防壁は崩れ、門は破壊され、所々に黒煙が上がっていた…それに所々には戦死者の屍が放置されたまま、この印象だけでこの
「残ったのはこれだけですか…けれど今は感謝を、今回も敗退はしましたがまだ
「伝令!後方より人影アリ!恐らく敵兵と思われます。」
そんな―――早い!?追手が差し伸べられるのはまだ
その判断は、間違っている―――
だけど、もう…疲れてしまいました、いくら策略を思い付き実行に移したとしても失敗ばかり、その原因も圧倒的に足らない戦力差にあるわけなのですが……ですから、これまでの失策の帳消しとして
―――けれど…―――
「おいちょっと待ってくれ、あんたら『
「(え…)ええ―――
「良かった―――どうやら間に合ったようだな、オレはオレの
「私は彼の
「あ、あなた達が!?ああ…良かった、希望を捨てないで―――」
オレ達が急いで追い付いた集団とは、今まさに陥落したこの
そして今しがたまで敵対勢力と対抗していると見られた人物が―――「それよりあんた、その角の有り様を見た処『
「『
「その言い様だと違うのか?」
「(…)確かに、『
「そうか―――理解した。 それに残ったのはこれだけか、ならば早々に撤退しよう、そして
「いえ、ここは力を合せて
「たったのそれだけでは戦力的に不足過ぎる、
戦況の把握と的確な判断―――それだけで数々の
「(…)オレ一人で十分と言ったはずだったんだが。」
「私はあなたの“
「オレ一人だったら撤退の判断も容易につく―――それが一人増えただけでもその一人の為に気を配らなきゃならんだろうが、そう言った意味…だったんだが、あんたにゃ伝わらなかったみたいだな。」
「へえ~一応私の事を心配してくれてたんだ、でもそれって私の事を“
そうこうしている内に撤退している対抗勢力を
「すまないがここから先へは進ませる事は出来ない、オレとしては大人しく引き上げてくれる方が良いんだがな。」
こんなオレの
そして本来なら―――オレ一人だったら上手く事を運べたんだが…残念だが今はそうではない、オレを
「まあ予想通りね、勝利に酔ってしまってこのままの勢いなら自分達の最大の障害ともなっている『ヱミシ』とやらの本拠も眼中に置いていたんでしょう。 だから―――交渉には応じられない…でも、ここは素直に引き上げておくべきだと助言をしてあげるわ、え?だってあなた達の頭上―――何があるのか判っているの?」
「お、おい―――『次元の魔女』、あれは一体何なんだ…!?」
「“彼ら”が私達と別れてから私は少しずつ魔力を練り上げ―――それを上空へと待機させていたの、それに
『次元の魔女』ベアトリクスはこうなる事を想定していて、オレとはまた違う方法を
「これが落ちたら、タダじゃすまないでしょうね…軽く見積もってあなた達は全滅―――悪くしちゃうとこの辺一帯の地形が変わっちゃうかもね。 さあ~どうする?決めないなら決めないでいいけれど、そうした場合これは
『恐喝』『恫喝』『威圧外交』とでも言えばいいのだろうか、もしかするとこの魔女の言うようにそうなるかもしれない―――し、そうならないかもしれない……けれど
結局ヤツ等が取った方策とは『撤退』だった―――けれどその想いには
それはそうと、例の魔力の塊は『次元の魔女』ベアトリクスが更に上空に上げ―――そこで爆発させたそうだが…「なあ―――『次元の魔女』、今回はあいつらが応じてくれたからいいが、もし応じてくれなかったらどうしていたんだ。」
「私は―――何も出来ない事を実行に移したりしないわ、今回あいつらが応じてくれなかったとしたら私が言っていた通りになっていた事でしょうね。」
「あのなあお前―――」
「それに、なまじ“
「それが今回は上手く行った―――だが毎回通用するものとは思わない事だ。」
「判ってる、それに今回は“最初の
* * * * * * * * * * * * * * * * * *
こうしてオレ達も
「お待ちしておりました、それにお2人が無事と言う事は、敵は退き上げてくれたみたいですね。」
「ああーーーまあ…実際それをしたのはオレじゃないがな、オレは飽くまであんた方がここまで退き上げる為の時間を稼ぐつもりだったんだが…オレの“
「ここからも視えましたあの巨大な炎の塊―――あれはやはりそう言う事なのですか。」
「あれくらいは出来て普通でしょう、それにあんなの落したりしたらここもどうなってた事だか。」
「お、おい!『次元の魔女』!お前、先程はそうは言っていたなかっただろう!」
「あらあ~?そうだったっけかあ?」
「(あはは…)ま、まあ結果的には
ようやく―――ここまでこぎつけたか…思っていた以上にすんなりとは運ばなかったな。 だが、この勢力を取り纏めている代表と会い、これからの事を話し合わなくては―――当然その思いは『次元の魔女』ベアトリクスも同じだと思っていた、しかしここで問題が―――それはオレも同様だった…
この
なぜ―――?別の
「初めまして―――私はこの『五稜』にある『
その[神主]とは女性だった―――長く腰まであろうかという
それにしても、なぜ―――なぜ……この女が“ここ”に!?いくら他の者を
だけど思い止まった―――思いを留めた…この女が
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
これは2人が『五稜』に着くまでの“一コマ”―――
「それより、なあ…『次元の魔女』、なんなんだ?『ベアトリクス』って…」
「(ちっ)聞き逃してくれなかったみたいね、まあ考えても見なさいよ、『次元の魔女』だと言われるとアヤシサだけでしかないと思わない?言わばあの名前は
(※本当は本名です)
「ふうーん…『偽名』、ねえ。」
「何、文句あんの。」
「いや別に、
「ほ、ほ放っといてよ!それに『可愛い』なんて
どうやら『次元の魔女』ベアトリクスは
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