第8話 蹂躙された[勇者]

気が付くと、私は私の知らない場所にいた。 一面がショッキングピンクにいろどられどこかかぐわしいにおいさえ漂っている、しかし私はつい先程まで[魔王]ヘルマフロディトスと激しく闘っていたはず…なのに―――なのに気が付けばこんな場所に?そんな周りを警戒している私にこの場所の一段高くなっている場所で私を見つめていた存在が…


{ようこそ―――次元世界せかいへ…いきなりな事でビクリしたでしょうけど、なにも恐れる事はないのよ。}


「あ、あなたは一体何者だ?!それにこの場所は―――…見た事もない知らない場所だが『次元世界せかい』?次元世界せかいとはどういう事なんだ!?」


{うふ、うふふふ―――なあにもそんなに警戒しなくても、あなたの事を気に入っちゃったのでね、だからの下で育ててあげる事にしたの。}


「私を―――『育てる』?おかしな事を言うものだ、親に育ててもらう期間は既に過ぎている、それに私は[勇者]だ―――[勇者]が強くなるには自らの手によって切り拓かれなければならない。」


{ふふふふ―――随分な大口を叩けるものね、…}


「(な、っっ―――!?)」


{あなた―――弱いわよねえ?弱いからこそ強くあらんとしている…その努力は認めてあげるわ?だけど…―――まあ、あの子の使徒の手解てほどきによって強くなってはいるようだけど…だけど、から言わせてみれば―――だから、があの子に成り代わってあなたを強くしてあげようと言うのよ、感謝する事ね。}


「私の為を思って…と言うのは判ったが、それはお断りをさせて頂きたい。 それにあなたのげんによって少しだけ判ったことがある、あなたが『あの子』としていたのはもしかすると女神ヴァニティアヌスの事か?けれどあの方は私達の世界を創造された創世神だ、そんな方を『あの子』と言う事はあなたも女神なのか?!」


{うふふふ―――あらあら勘が良いのね、取り敢えずは『そう』とだけ言っておきましょう。}


「ならば尚更!それにヴァニティアヌスに成り代わって―――と言う事はあの方の許可は得たのか!」


{『許可』……そんなものなんて要らないのよ、。 まあそこはあなたの気にする処ではないわ、それにこれにてお互いの自己紹介はお・わ・り―――}


「いや、まだ終わりではない!大体なんだ、自己紹介とは言っても互いの名前すら明かしていないではないか、それ―――…」


{うふふふ♡なあんて威勢のいいことでしょう、[勇者]フレニィカちゃん。 ひとつだけはっきりと言っておいてあげるわ―――あなたは、『弱い』…あなた先程まであの子の―――ヴァニティアヌスの使徒の1つである“ハガル”と闘っていたようだけれど、あなた“ハガル”と闘っていたら負けていたわよ。}


「(な、っ!)な、ぜ…そんな事が―――」


{『言える』わよ、だって“ハガル”は『いにしえの[勇者]』―――属性アライメントである『混沌』の中でも特に競争の激しい次元世界せかい…ヴァニティアヌスの次元世界せかいを席捲したほどの実力を有しているのだから。}


その、いまだ名すら明かせて貰っていない女神からの証言は、私にとっては衝撃そのものだった。 確かに[魔王ヘルマフロディトス]は―――ヘレナは強敵だ、そんな彼女が昔、私の父さまが話してくれたお伽話に出て来た『いにしえの[勇者]“シギル”』だったとは…それにあの戦闘も順当に行けば私が敗けていた―――?[勇者]に二度の敗北は許されていない…それが同じ相手なら尚更だ、それに私とて敗けるつもりで挑んでいない…だとしたらばだ、あの戦闘はこの女神の介入がなければどうなっていたというのだ?考えたくもない―――想像したくもない…恐らくヘレネは敗北を演じようとしていたのか?!だがそんな事をして私が喜ぶとでも思っていたのか?私は…私は……手加減をされないと―――敵からの温情おなさけがないと勝てないような、そんなにまで『弱』かったのか?!


{(ん・ふふふ―――あらあら、真実にあたっちゃって茫然自失と言う処のようね。 だけど、そんな事はにしてみれば都合が好い……それに、さっさと終わらせてしまう始めるわよ。)}


私は―――“真実”と言うものを知ってしまった…“真実”―――なんと残酷なものだろうか、敵からの温情おなさけがないと満足に勝つ事すら出来ない…そんな私の自信は萎えてしまっていた、棒の様に突っ立ち、武器を握る手の力も無くなり―――『茫然自失』…ただ、そんな私に対しても名乗らじの神はなんら容赦なかった。


        * * * * * * * * * *


私は、[勇者]だ―――[勇者]だが同時に“女”でもある、そんな私になんら容赦なく敵性亜人種のゴブリン共が群がりくる、私が無抵抗なのをいい事に数多の手が―――舌が―――肉の“棒”が私の身体を埋め尽くす…私の“穴”と言う“穴”を責め尽くす。

蹂躙―――[勇者]である私の身体はけがれたゴブリン共の手によって徹底的に蹂躙し尽されてしまった…正気に戻り抵抗をしようと身をよじろうとも、けがらわしいゴブリン共の手が―――舌が―――肉の“棒”が私の敏感な部分を嬲り尽くす…ねぶりつくす……あまつさえ私の排泄物さえもよだれを垂らし、粘膜をもすすって来る。

当然のことながら私の処女性はじめてもヤツ等によって破瓜やぶられ―――たのだっだが、次の瞬間になるとなぜか元に戻っていた、しかしまたすぐに破瓜やぶられてしまう…けれどまたすぐ次の瞬間には―――と言う悪循環の下で私はまだ奇蹟的に処女性は保てていると言った具合だ。(これにはさしもののゴブリン共も不思議な顔をしていたが、エルフ―――ハーフではあるもののそうした高潔な種属の処女を何度も奪えると言うのはヤツ等にしては喜ばしい事だったのでさして問題にはしていないようだったが…)

次々に押し寄せる快楽の波によって私の脳幹も痺れ、今、自分の身体がなにをされているか判らなくなってくる事さえある。 そんな時でも私の痴態を名乗らじの女神はただ見つめていた―――…


{(うふふふ―――さすがは[勇者]と言った処ね、この短い期間にすっかりとこやつ等ゴブリン達は付いてきている。 ではお次は…うふふふ、この子達はもっと凄いわよう?ゴブリン達のと比べてまた違った快楽を与えてくる―――そしてこの快楽に耐えた時、あなたは…)}


        ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


一方その頃、[勇者]フレニィカが誘拐“神隠し”に遭った事を知ったオレ達は、その現場を目の当たりにしてしまった“ハガル”―――ヘレナからの報告を聞き、またその事を聞いた“シギル”―――ヴァヌスから事の重大性を知らされた処だった。「な―――なんだって?もう一度言ってくれ!」

「簡単に説明をしてしまうとな、こいつが私に意見を求めてきたと言うのはあながち間違いではないんだ、それは何故か…ヴァニティアヌス様には報告をするまでもないから―――だからこいつが『ヴァニティアヌス様に報告をしなかった』と言うのはある意味正解なんだ、そして『いにしえの[英雄]“シギル”』である私に意見を求めに来たと言うのもな…なぜならそんな事をした方がヴァニティアヌス様の主神だと言ったら?」

「女神ヴァニティアヌスに『主神』?と言う事は…」

「(はあ…)そう、今回事を起こしたのはヴァニティアヌス様ですら従属したがえさせる上位神格をお持ちの方なんだよ。」

「だとしたら―――その名は?」

「(…)残念だけれど、その方の名を口にするのはあの方の従属神であるヴァニティアヌス様の使徒如きである私達ではできない。 全く―――これだから上位の神格を持つ神と言うのは…好きにはなれないんだ。」

「どう言う事だ?ヴァヌス。」

「さすがにこれくらいは言わせてもらおうか。 あのな、神って気紛れなんだよ割かし昔から、基本何でも出来る方達だからご自分の権能の範囲内で出来る事をやる―――だけど中には自由気儘、我が儘な方も多くてな、まあ言ってしまえば今回の事をしでかしてくれた張本人様もそう言う方なんだけれど…とは言え[英雄]や[勇者]を育てる権があるのはなんだよ、それを横取り―――誘拐紛いの事をしてくれるなんて…この事が神々の間に広まりでもしたならヴァニティアヌス様の評価が著しく低下してしまうじゃないか。」

この事が単なる―――種属間や冒険者の間で起こされる問題なら大事おおごとにはならずに済んだのだろう、だが今回はその件を起こしたのは神だと言う、しかもその神もこの次元世界せかいを創造した女神ヴァニティアヌスをも従属させる主神なら尚の事だ、それにしても自分が従属させる神の眷属を誘拐するだなんて何を考えているんだろうか。

「無事…なんだろうかねえ、あの子―――」 

「心配する事はないとは思うけど。」

「(…)あんたはお気楽だよ、こっちはこっちで丁寧に育てて来てるって言うのにさ、なのに何が気に入らなかったんだろうかねえ。」 

「(~~)気休めにしかならないとは思うけど…多分あの方の事だから気に入る気に入らないの問題じゃないとは思うんだけどなあ、ただ単に興味が出て来た―――それだと思うけど。」

「あのさあ~!興味が出て来ただけで手を出されたくないもんだよ!それにあの方…手癖が悪いって言うし―――」

「(ん?)神なのに『手癖が悪い』?ってどう言う事なんだ。」

「(…)はああ~~~いい?これから言う事は本当に気休めだぞ、だからあまりキツい事は言うんじゃないぞ。 、今回は心配するような事はないだろう…それに、今回の事が済むようであれば、あの子―――フレニィカは私達が心配するような存在ではなくなっているだ。」

「(う・う・うぅ~~~)それもなんだか寂しい話しだよ―――あの子にはもうちょっと手をかけて私の手で強くしたかったんだけれどねえ~。」

「それより…ヴァヌスにしてみれば随分と予防線を張っているようにみえるな。」 

「だから言ったじゃないか、『気休め』だって…今私がったのは飽くまでい方に転んだ結果―――フレニィカは見違えるほど成長を果たしているでしょう~と、そう言う事なんだよ。」

「ふむ、それは判ったが―――それは『い方』に転んだ結果なんだよな?だったら『悪い方』は…」


「はーーーい、残念ながらサービスサポートセンターは閉店です。」 

「(は?)な、何を言っているんだ?ヴァヌス…」 

「まあつまり、さ、帰って来ても生温かく迎えてやりなよ―――って事なのさ。」

明確な答えはこの2人からはなされなかったが―――それはそれでオレはどこか判ってしまうようだった…と言うより、答えたくないって何だかその答え自体がそら恐ろしいんだが…それにヘレネも『何があっても生温かく迎えてやれ』って―――ほ、本当に大丈夫なんだろうか…フレニィカ。


          ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


その頃丁度私はゴブリン共から解放され―――また新たな脅威に晒されていた。

その新たな脅威とは、何本もの触手を“うねうね”とさせている『ローパー』―――それも1体だけではない、目に視えるだけで5体はいた…しかも触手は1体につき10本―――実に50本もの触手が代わる代わる私の肢体を舐め回す…撫で回す、肉と肉との摩擦によって私の柔肌が傷付かない様に1本1本の触手には粘膜…潤滑油とも取れなくもないモノがまとわりつき、これまた私の下腹部にある穴2つを執拗に責め立てていた。 ゴブリン共の行為―――それ以上に執拗な責め立てにより私の声も叫び声から嬌声きょうせいに代わるのにそう時間はかからないでいた、それにこの触手共は私の下腹部の穴2つでは満足に至らなかったらしく―――次第に私の耳の穴や鼻の穴でさえもまさぐってきたのだ、しかも次第に私の嬌声きょうせいですら耳障り(?)だと思ったのか…私の口腔内にも割と太めの触手を突っ込んでくる始末、お蔭で私は窒息しそうになったが私を殺す意思まではないものとみえ、どうにか呼吸いきが出来るまでにはしてもらえた…


しかし―――不思議な事もあったものか…こんなにも凌辱、蹂躙されていたとしても私は……正気は保てていたのだ。


{(ン・ふふふ―――すっごお~い♡ ゴブリン共は耐えたとしてもローパーちゃん達まで耐えれたのは久しぶりだわ?それにこの子の喘ぐ姿…このも濡れてきちゃう♡だけど…我慢よ我慢―――折角あの子に事後承諾取り付けたんだもの、が“つまみ食い”しては元も子もない話し…それに―――次が最終段階…見事達の攻めも耐えてみせなさい…そうすればこのからの褒美を授けてあげるのだから―――)}


どうにか―――耐えうることが出来たか…しかし、度重なる快楽の波によって足腰が立たなくなってきている。 最初に信じられぬ真実を突き付けられ茫然自失となったところをゴブリン共に蹂躙されてしまったのがここにきて影響を及ぼしてしまっているみたいだ、次にあの触手以上の攻めをされたら受け切れる自信がない…そう思っていた処に―――この部屋の一部が蠢き、勢いよく私の身体目掛けて飛びかかって来た。 『この部屋の一部』―――?!いや、おかしい、部屋と言う無機質なものが私に『飛びかかって来る』などと…そう、部屋自体は私に飛びかかっては来なかった、ただ―――部屋の一部に存在が私を襲ってきたのだ。 半透明の軟体生物―――『スライム』…一般的には雑魚魔獣として知られているが私に襲い掛かって来たスライムは違っていた、恐らく今までの私の痴態をじっくりと眺めていたのだろう…私の身体のどの部分が弱点よわいのか、まるで知ったが如くに攻め立ててくる、四肢は身動みじろぎ出来ないようスライムの軟体に取り込まれ、まさに無抵抗になった私の弱点を徹底的に嬲り尽くして来た、ローパー共の責め苦にも耐え、どうにか正気を保てていた私の目も次第に虚ろとなり…口の端からはよだれ―――声もだらしのない嬌声きょうせいしか出せないでいる。


私は[勇者]―――だが、『弱い』…本来なら幼い頃の私を窮地から救済すくってくれた[英雄あいつ]のように『強くありたい』と願った私だったが……


済まない―――ベレロフォン…私はどうやらこれまでだ、抵抗虚しく私はこのスライムの一部と生り果てて…成って、果ててしまうのだろう。


そしてそうした私の気を汲んだものか―――スライムは私の下腹部にある2つの内の1つの穴から侵入し、一気に―――!口腔まで貫いてきた…文字通りの『串刺し』にされた処で私の意識は次第に薄らいでいった……


           * * * * * * * * * *


それからしばらくして、私は目覚めた―――するとどうした事か、今までの淫靡いんび饗宴きょうえんはどこへやら…私は、私をさらって来たという女神の前で立ちすくんだままの状態でいた。「(あ…)わ、私は―――?今まで…何を……」何とも、なっていない?ゴブリン共によって引き剥がされた鎧も、スライムによって溶解とかされた衣服も、……?

だが私の記憶は、あのおぞましい存在達に蹂躙何をされてしまったのかを憶えている、謎の作用によって何度も破瓜やぶられた処女の痛み―――身体の内部からまさぐられる気色の悪い感覚、泣いて許しを乞うたとしても止む事はない凌辱の数々……なのに、だと―――?

すると間抜けな私の対応をこれまで見続けていた名乗らじの女神から―――

{あっははは―――!いいわあ~あなたのその、今の反応…あなたは今、さぞや混乱をしている事でしょう『あんなにもけがらわしくもおぞましい存在共に辱められたのに、?』ってね、その種明かしをしてあげるとね、の権能によって幻を視せただけなのよ…それにしてもよく出来た幻でしょう?まるで、嬲り尽くされる―――それにね、あなたの事を視ていたのよ、あの子…ヴァニティアヌスちゃんの使徒“ハガル”があなたの育成を開始した時から、それで視させてもらった感想としては、あなたは“強い”―――戦闘面に関しては“ハガル”に匹敵するくらいの強さは得ている、直前の対決にしてもそう、“ハガル”は最終調整の為に企画・計画をしたのだろうけど―――そこを運悪く運良くに見つかってしまった…あなたは[勇者]であると同時に『女』でもある―――しかも一度もけがされた事のない『処女』…と、くればある心配をしないといけない。 それに、最終調整と称してなされたあの闘争には不思議となぜかは組み込まれていなかった…そこを危惧したは老婆心ながらあの子達に成り代わって“耐性”を付けてあげようと思ったのよ。}


「な…何の事を?『最終調整』?『私が“強い”』?『組み込まれていなかった』?『老婆心』?『“耐性”』? 一体――― 一体何の事を?」


あなたが『男』の[勇者]なら、八つ裂きにされてお仕舞い―――だけど『女』なら、『性の快楽を知らしめられる』と言う項目が付加ついてくる。 だから、本来ならも見込んで育成しなければならないのにね、“ハガル”ともあろう者が余程にあなたのことが可愛かったのでしょう―――可愛かったからこそ…壊れない、壊さない様に実に丁寧に、ね。 だけど、丁寧それは過保護にもなる、本当に可愛いと思うなら例え嫌われたっていい―――こうした事もしなければあなたはいつかがしてあげた事よりも、もっと酷い目に遭わされた事でしょう。}


信じられなかった―――なによりあの“ハガル”が…ヘレネが『私の事を可愛い』と思っていたなど!いや…それよりこの女神かたの為され様より『酷い目』―――って…想像したくもないなあ…「あ、あのひとつご質問が…『あれ』より酷い目ってあるのでしょうか?」

{なあに?いいわよ―――ああ、まあ…経験がなかったのだからこれから言ってあげる事は酷なのかもしれないのだけれどね。 『想像力の欠乏は下の下のそのまた下』…想像力は豊かにしておきなさい、そうすればどんな艱難辛苦な状況に遭遇しても対応出来ることもある―――が経験してきた…或いは視て来た事を言ってあげるとまずはそう言った者から退場して死んでいるわね。}

「な―――なるほど…肝に銘じておきます。」


結局最後までその女神は自ら名乗る事はなかった。 だがまた一つの事を経験したお蔭でどこか私も一回り成長出来たと思われた。


そして、別離わかれの時に―――


{それでは―――見事我が与えた試練を突破した事によりあなたに褒美を授けてあげましょう…。}

「…は?『褒美』―――ですか?」

{ええ、そうよ。 あなたが与えた試練―――}

「あのーーー初耳、ですが?」

{へ?あら?言っていなかったっけ?}

「今初めて聞きました…」

{(あっ…ちゃあ~)あ、そう―――まあいいわ、それよりあなたの…神が与え給うた試練を見事に突破出来た、ならばそれに見合う褒美は与えなければいけない…}

「(―――)あ、ああーーー冒険者みたいな事ですか、あの連中も組合ギルドから提供される数々の依頼クエストを解いてそれに見合った報酬を得たりしますから。 それに…私も一つの事を成し遂げるには彼らの助力チカラは欠かせないと思った…だから3度目となる『[魔王]ヘルマフロディトスの討伐』に於いても私は協力を募る為に『徒党PT募集』の依頼を立てたのです、しかしその半ばにあなたによってさらわれてしまった…けれど今となってはそれが神がお与えになった試練だとは―――感謝いたしております。」

{あ…ああ~~~そ、そうね。(と、言うか『依頼クエスト』ねえ~何だか妙に懐かしい気がするわね、とあの人達が組んで色んな世界で暴れ回った―――あれも今思えばいい経験だったわ…)}


「(…?)あのおーーー女神様?」


{(それにあの人達から無茶難題を吹っかけられて、その度毎たびごとにあの人から『お前のヤラカシがなければああ~!』なあんて言われた事もあったわねえ~まあそれも、今となっちゃいい思い出のひとつなんだけれども。)}


「あ、の!女、神、様!?」

{えっ?あっ、はいなんでしょう。}

「あの、『褒美』の件はどうなったんで?」

{ああ~ごめんなさいね?ちょっと感傷に浸っちゃって―――コホン!では改めて…[勇者]フレニィカ、見事の試練を突破した事によりを授けましょう。}


肝心な事は話されないでまたもスルーされるものかと思っていたが…なにやらこの女神様の試練を突破した私に対して与える『褒美』の段になった時、この女神様はいささかの感傷に浸っていた様だった、女神様が浸っていた感傷―――それも気になるものだったが、それにもして驚かされるものがあった。 それが私に与えられた『褒美』…一見すると頭に装着する装飾具の様にも見えたものだったが―――「あの、は?」

{それは『美と愛と豊饒の女神の額冠ティアラ』と呼ばれるモノ…使い方を教えてあげるから装着してみなさい。}

言われるがままに装着した『美と愛と豊饒の女神の額冠ティアラ』…額冠ティアラと呼ばれるだけあって私の額を美しく飾ってくれるものだったが―――

{それともう一つ、『事後承諾』とは言えあの子に内緒で借りたからね、その事のお詫びも兼ねてあなたにはからの『恩恵ファルナ』を授ける事にしたわ、からの『恩恵ファルナ』―――≪通力≫…あなたの身体をめぐ魔素マナの力をその額冠ティアラに収束―――“通”じさせるようにしてみなさい。}

女神ヴァニティアヌスの許可なく私を連れ去った―――その事を反省しているものと見えその女神様はお詫びのしるしとして別のモノを授けてくれた。 それが『恩恵ファルナ』と言うものであり、≪通力≫と呼ばれる新たな技能スキルだったのだ。




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