第7話 傍観者
現在オレは、魔族の
それにヴァヌスは気になる事を言っていた、[勇者]であるフレニィカが[魔王]ヘルマフロディトスに
「いや?さらさらそんな事は思ってはいない、だがこれが女神の方針だ―――私達の主神である女神ヴァニティアヌスの
「ヴァニティアヌス―――オレの育ての親…それにお前達の主神であると言う事は…」
「間違えてもらっては困る、いくら人間離れしているとしてもお前は所詮ヒューマン…ヴァニティアヌス様の“使徒”である私達とは根本的に違う、まあ…
「(
「非常にいい機会だからそれをこれから話してやる、私は現在『ヴァヌス』を名乗っているが、それも所詮は
「“シギル”―――!
「フフッ―――驚いたかね?ヒューマンの間でも伝承として語り継がれている存在が魔族で―――しかも幼い
「それが……ヘレネ?!」
「彼女は私と同じく『
「フレニィカを育てているのがヘレネ…だが彼女は―――」
「そう、今は『[魔王]ヘルマフロディトス』としての役割を果たしている、[英雄]や[勇者]って本当に損な役回りでしかないものだ、それは確かに
「(ふ・う…)耳の痛い話しだが、それが事実だしな。」
「お前も数多くのヒューマン達を
オレが知らないでいた事を『
「なにをまた、余計な考えを
「何故そう言える―――ヴァヌス!使い捨ての道具のどこが名誉な事なんだと!?」
「ほらやはり、言っておくがお前達の様な存在はこの
それはオレにとって衝撃だった、まあ(女)神なる存在がヴァニティアヌス
「そして今お前はこう思っている事だろう…『だとしたらどのような形で競い合わせているのか』と、それは簡単な事なんだよ、互いのユニットを交換し合って能力の差を確かめる…どうだ?
「なるほど、つまり
「そう…それはそのユニットの
『平和的』―――と、『
するとそんなオレの悩みを知ったかのように―――
「お前の
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ベレロフォンと魔族の
私は―――ハーフ・エルフだ、
つまり、私はヒューマンの
今回は≪石化≫の能力を持つ『バジリスク』の討伐―――この魔獣は≪石化≫も厄介なのだが≪毒≫も持っている
とは言え、なんとか
そして私は現在『酒場ヘレネス』にいる―――なんだかんだ言っても私の
「あらあらそれは困った事ですわね。」
「それに愚痴らせてもらうが、バジリスクを相手にする際、準備は欠かさないものではないのか?私だって『毒消し』や『石化解除』のポーションなど沢山用意していたのだぞ、それが討伐終了時には無くなっていたんだ―――全部…それも私が使ったんじゃなくて、仲間の為に使たんだぞ!?なのにあの連中ときたら私が〈
「(メンドクサ…)ええーーー聞いていますわよフレニィカ様。」
まあーーーた愚痴ですよ、正直聞かされる身にもなって欲しいものだわ、とは言え『
* * * * * * * * * * * * * * * * * *
私が酒場ヘレネスで今回の討伐に関して愚痴を垂れていた時、各自の報酬を貰い終えたのだろうか…冒険者達がヘレネスを訪れて来た。 それで私は自分の報酬を貰う為に
「ねえねえお兄さん達ぃ~そう言えば[魔王]が討伐された後の魔王城って今どうなっているんだぁい?」
ん?
「おおマダム、さすがに耳が早いこったなあ。」 「いやここ2・3日前の事だけどよ、調査に向かった奴らの言う事にゃ―――」 「何でも異常な魔力値が観測されたんだとよ!」
ん? ん??
「あらまあ怖ぁ~い、だったとしたら―――」
「おおよ、何でもあるらしいぜ…[魔王]復活。」
いや、知っていますよ?だって―――ここの
私がヘレネスから出ようとした時、ヘレネ自身が言ったのだ―――『[魔王]復活の予兆』みたいな事を…まあ確かに、あの男の[
ああーーー今から頭が痛い…これから
とは言え、『[魔王]討伐』は[
ヘレネ―――日頃私達が住む町で酒場を経営している
そして当日―――私と一緒に魔王討伐をこなしてくれる仲間は集まった(正直“ホッ”としている)。
それにやはり前回のは私に自身を付けさせるために敢えての芝居を仕込んだものだと言う事が判った、それというのも、今回は初回の討伐と同様に[魔王]の幹部たちがいたからだ。
“初回”とは顔ぶれが違ってきているとは言え、幹部にまで取り立てられた者達―――その実力は折り紙つきだった…[魔王]が腰を据える玉座の間まで犠牲を払い、ようやくたどり着くことが出来た、そして改めての対面となった時―――やはり今回の討伐対象の[魔王]とは…
『ふっふっふっふっふ、ようこそ我が魔王城へ…我の下まで辿り着けたことを褒めてやろう、そこで取り引きだ[勇者]とその仲間達よ、我のモノとなれ…さすれば世界の半分を与えてくれよう―――』
「断る―――!お前の
『よくぞ
ヘレネ…彼女だった、けれど初回の時とは違っていた。 あの時は私との一対一 ―――だからこそヘレネは、私の知っているヘレネの姿で対峙してきた、だけど今回は違う、今回は私にも仲間と言うものがいる、仲間の中にはヘレネに対して淡い恋心を抱く者すらいる、ヘレネの提供してくれる酒を
全体は黒い鱗で覆われ―――時折口からは焔が吐かれていた、尻尾は樹齢数百年の大木よりも太く、ひと
まるでお
「どうしたんだ勇者さんよ。」
「[魔王]は
そして始まる戦闘―――今度ばかりは一切の手を抜かない…そうした気概が伝わって来た、
だが―――異変は既に起こっていたのだった……
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
場面は一転し―――ここは…とある
そう言った場所で、とある者がこの世界―――女神ヴァニティアヌスが創造した
{(あらあら、あの子の眷属の中にも
ある
その神は現在[勇者]フレニィカが[魔王]ヘルマフロディトスを討伐しようと闘っている場面を
しかしながら今フレニィカは戦闘の真っ最中、だとするならフレニィカがヘルマフロディトスを討伐した後で、それと女神ヴァニティアヌスの許可を取り付けた後で行為に及ぼうとしたものか…
―――残念ながらそうではありませんでした、なぜならその神は『混沌にして悪』、神なる存在は元々
* * * * * * * * * * * * * * * * * *
そして早晩その事は伝えられる―――自宅で休養を取っていたベレロフォンとヴァヌスの下に、ヘレネが血相を変えて飛び込んで来た…
「た、大変だよ!」
「どうしたのあんたらしくない、少し落ち着きなさい。」
「これが落ち着いていられるかってんだ!」
「どうしたんだヘレネ、あんたが
「まさかあの子…またあんたに敗れたと言うの?まあーーーその敗れ方にもよるけれどね、例えば味方の
「そんなんじゃないんだよ!確かにあの子は数分前まで私と闘っていたさ、だけど…だけどねえ!」
「敗れたのではないとすれば―――何があったの。」
「あの子が…あの子が私の目の前から消えちまったんだよ!」
「(!)なん、だと?!」
「あんたと闘っている最中に―――消えた?それって、もしかすると…」
「ああ…『神隠し』さ―――だけど…だけどねえ、物事には順序ってものがあるだろう?あの子を貰い受けるにしても最低でも女神ヴァニティアヌス様の許可は取らないといけない―――それに闘争や決闘をしていたら最低でも終わるまで待たないといけない…」
「なのに相手は
「いや…まだだよ―――だけどその前にあんたの意見を聞きたくってね。」
「お、おいヴァヌス。」
「(はあ…)私に意見を『聞く』も何も、あなたの中では既に判っているのでしょう、だからヴァニティアヌス様への報告より私への相談を優先させた…それに―――恐らくだけどヴァニティアヌス様も既に判っていらっしゃる事だと思うわ。」
「どう言う事なんだ?ヴァヌス。」
「私達はね、知っているの…こんな事をする女神様の事を、他のどの神よりも
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます