第4話 暴かれた“正体”
ある村が襲撃をされている―――その一報でフレニィカは行動しました、己に課せられた[勇者]としての使命を全うする為に、それに行動をしたのはなにもフレニィカだけではありませんでした、最寄りの町の冒険者達も派遣されたのです、けれどフレニィカは彼らとは
そして今―――彼女は己の実力不足を痛感していた…彼女の事を悪く言うようで仕方のない事なのですが、今まで彼女が相手をしてきたのは所詮“格下”―――けれどこの日この時村を襲撃してきた敵は、どれもが彼女よりも“格上”―――とは言ってもその時まで彼女は良く
けれど、白日の下に晒される―――彼女の“正体”…いくらミスリル合金製のフルフェイス・ヘルメット
「お…おい―――な、なんだあの耳は……」 「オレ達の耳より……長い?」 「いや待て、あの耳はエルフのじゃねえか?」
人々が―――ヒューマンが疑問に思った事を口にする、自分達にはない長く尖った耳―――
その途端に
「あ、あ―――ち、違うんだ…こ、これには訳が……」
「ふざけんじゃねえ!何がどう違うんだ、現にお前のその耳はエルフのじゃねえか!」 「おおよ、今まで[勇者]様だと思ってたのに…そうか、そう言う事か、いま村を襲っている化け物共はお前が引き入れたんだな!」
今までの“
「ヤレヤレ―――フレニィカなにをやってんだお前は、よ。」
「ベレロフォン?!丁度いい処に…聞いてくれこのエルフの娘がこの村を襲っている奴らを引き入れたんだ。」 「そうだ、今までオレ達を騙していた報い受けるがいい!」
「おいおい、待て待て―――ちょっと聞くがそいつは本当なのか?」
「何を言っている!あの長く尖った耳が何よりの証拠だろう!」
「ふうん―――じゃ、一つ聞くが…そこの小娘がエルフだって事は間違いないんだな。」
「ああそうだ!だからこいつを……」
「エルフは確か“魔族”の一種属だ、オレ達ヒューマンが使っている言語の形態とはまた違う言語を使う…そう言う事でいいんだな。」
「ああ…そうだ、だから―――」
「にしちゃ随分、疎通出来ているみたいだが?」
そこに現れたのは[英雄]ベレロフォンでした、そしてフレニィカを目の敵にしている者達に向かって
「あ、あれ…?そう言えば何でオレ達―――」「お互いが喋っている事が判ったんだ?」
「ま、そこんところを疑問に思うのは判らんとまでは言わんが―――お前達、身内同士で争っている場合か?オレ達ヒューマンの村が滅ぼされようとしているんだぞ。」
その注意喚起に我に戻る冒険者達、そう今は村を襲ってきている悪しき者達を撃退する為に対処すべき―――
「また…助けられてしまったな、お前に。」
「バカ野郎が…自分一人で出来るもんだと思い上がるな、今までお前が対処できていたのはお前より“格下”だったからだろうが、その事が判っておきながら今回も同じような対処法で臨むなんて…」
「済まない―――反省をしている…それよりどうしてお前が…」
「(…)『虫の知らせ』―――ってヤツさ、それにオレはもう、率先して
* * * * * * * * * *
少し、
それにその能力の一端は垣間見れていた事だろう、実に澱みなく流暢に発せられる発音や言葉遣いはオレですら見習いたいくらいだ(まあ正直を言うと今匿っているヴァヌスが何言っているのかサッパリだからな)。
それに…今吐露したようにオレがフレニィカを
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
その日のオレはいつも通りに[英雄]としての使命を全うしていた、弱者でもあるヒューマンの為に日夜を問わず
そんなある日―――オレがいつものように見回っていると、どこか近くで
だがそんな事はオレの矜持が許さない、オレが育ての親から教わったことは何に置いても曲げられない、オレが取った行動とは
「大丈夫か?おま―――…」
「うわあぁぁ…怖かった、怖かったようぅ……み、皆が、私の事を嫌うの……嫌って、憎んで、その果てに
その事に思い悩んだオレは女神ヴァニティアヌスの下へと赴き、この後の対処をどうすべきかの指示を仰ごうとしたのだが…「なあ女神ヴァニティアヌスよ、オレはこれからどうすれば……」
{“人類族”―――ではないとは言え、よくかそけき生命を救ってくれました。 それは
「あんた、オレが何をしたか判ってんのか?ヒューマンではない―――」
{“魔族”―――だからですか。 どうやら
「何の事を…言っている?」
{
その時オレは
* * * * * * * * * *
そしてこの後、容易にこの度の一件は“中央”に
「[英雄]ベレロフォン、あなたが主の意向に反し人に
「本当も本当だ、オレ自身と女神の名に誓って嘘は言わない。」
「何故なのですベレロフォン…あなたほどの[英雄]が何の気の迷いで―――」
「なあ『ロクサーヌ』、オレは一体何に対して容疑を掛けられているんだ、『人に
「そんな事が―――けれど、だからと言ってわたくし達“人類族”ではない者を……」
「言っている事は判る―――判るよロクサーヌ、オレも今まではそう理解をしていた、
「ならば―――」
「だが、気付いちまったんだ、この世の
「そうですか―――判りました…わたくしはあなたのその意思を尊重したいと思います。 しかしながらわたくしが所属する『教会』の教義までは変えられる事は適わないでしょう。」
「ああ、世話を掛けるな[異端審問長]ロクサーヌ。」
オレと
それにオレには思う処もある、先程オレは『一部のヒューマンには
『教会』の方では上げられた報告にさぞや憤慨したに違いはない、しかしそこをロクサーヌは説いたのだろう『[英雄]を敵に回す』と言う事の是非を、他人の目から見たら[英雄]にしては不釣合いで不名誉そのものだがロクサーヌには非常に感謝をしている、それに彼女は後衛に収まってただ補助や回復に専念するだけの存在ではない、時には戦線を押し上げもする大胆不敵さを有する事もある、だからこそ主に“魔族”からは畏れられもしたものだ、その因果が巡りに巡って今や異端審問官の長である。 上層部の奴さん共にはない現場の厳しさを知っている―――だからこそ渋る
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
それと話しは変わるが、オレがフレニィカの窮地に駆け付けたのは何も『虫の知らせ』などではない―――そう、やはりそう言った
その時のオレは丁度“休息”を取っていた、[英雄]たるオレでも連日に亘ってそうそう動けるものではない、『戦士も時には休息が必要』と言うヤツだ。 疲れた身体を癒し、擦り減った気力を充実させる…これでまた明日からはこの世の生きとし生ける者の為に―――と、そう思っていた頃合に…
* * * * * * * * * *
「起きて、ベレロフォン。」
「―――ん…ああいつの間にか眠っちまっていたか…それよりどうしたヴァヌス。」
「[勇者]が窮地に立たされようとしている、彼の者がここで
「ああ……そう―――か…(ん?)」
「私の管轄とは違うがそうも言っていられない事態―――
「な…なあ、ヴァヌス―――だよな?お前…どうして―――」
「私の事情は後でよく説明してやる、ただこれは
「いや、そう言う事じゃなくてだなあ…ああいや、言っている事は判るがどうしてお前が人語を流暢に……」
「そんな
『主神ヴァニティアヌス』―――?
そしてオレは―――
「ヤレヤレ―――フレニィカなにをやってんだお前サンは、よ。」
――――〈・〉―――――〈・〉―――――〈・〉―――――
⦅状況、把握―――どうやら最大の危機は回避できたようだな。⦆
⦅ご苦労様“シギル”、手間を煩わせたみたいね。⦆
⦅そう思うのだったらどうして―――⦆
⦅その辺の言い訳をさせてもらうと≪認知の阻害≫を掛けられていたのよ、そんな事が出来るのは一兵卒の
⦅何?≪認知の阻害≫だ、と?では……⦆
⦅ええ、『魔女』が動き始めた…そう見ていいでしょうね。⦆
――――〈・〉―――――〈・〉―――――〈・〉―――――
今回の一連の事はこちらの
そう―――≪認知の阻害≫…そんな事が仕掛けられるのはこの
* * * * * * * * * *
ただ―――こちらとしてはそうも行かないと言った処か…確かに『
それと…自己弁護ではあるのだが私自身こうなるものとは思ってもみなかった……
「さて、それでは説明して貰おうか―――色々と、な。」
「(ウ~~…)その前に、何故この娘が?」
「私は今回もベレロフォンに
「ではとっとと感謝してとっとと去れ、私は彼に今回の事の次第を説明しなければならないのだ。」
「(…)それよりお前―――随分と流暢に話せるんだな人語を、それもこの私よりも“魔族”なのに…どうしてなのだ?」
「(…)やはり私は、お前の事は嫌いだ―――好きになれそうもない、何故なら変に
「(なっ?!)言ってくれるじゃないか、そう言う私もな―――」
「“私”の事が嫌いか?変な処で気が合うな…」
「まあまあーーーそれよりヴァヌス、これからオレに
「(…)仕方がないな、あんたがそう言うなら今回だけは特別だ、それに今私がやろうとしている事自体は本来ならフレニィカ―――お前に付いている“担当”がするべき事なのだ。」
「私の―――“担当”?」
やはりそう言う事か…オレもどことなくだがヴァヌスが流暢な人語で話しかけてきた処からそうではないかと思ったのだが、どうやらオレ達には―――[勇者]や[英雄]には女神よりの
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