第21話 顔ト名前ッテ出会イ二必要?

 これは言い訳でもない。僕の正論だ。実はいうと、僕は昔に、出会い系サイトを利用したことがある。利用した理由は単純であり。人間観察という名の取材だ。実際にお金を払ってポイントも購入した。ああいう出会い系サイトに登録するには身分証確認もあって。それも顔入りのやつ。その最初のハードルを越えてしまえば実に面白い世界が見れて。よくよく考えてみる。昔の出会い系サイトって、本名を使わない。男も、女も。ニックネームや偽名を使う。それっぽい名前を見かけることもあるけど、絶対に偽名であり。顔を登録、つまり、運営に対する顔入りの身分証を呈示するのとは別で、サイトを利用している人が誰でも見られる形で顔を登録している人は少なかった。出会い系サイト、文字通り、男女が、出会いを目的として使っているサイトですら、実際に出会うまでに、顔、と、名前を知らないことは多いと思う。出会い系サイトで実際に出会ったことはないけれど。考えれば考える程、顔と名前って特別なんだな、と思う。デスノートの設定は完璧であり、天才的発想であり。顔と名前を知られるって、ある意味、ネットが当たり前のこの時代では、それを発信した人の顔と名前を出すって、リスクが高い。小説家も本名を使っている人は少ない。ペンネームを使う。そういうことだと思う。じゃあ、ネット小説投稿サイトで出会った、何をもってして出会ったというかは分からないけれど、その人と、出会い系サイトで出会った異性と、好きになる気持ちって何が違うんだろう。結局、お互いの合意の認識だと思う。出会い系サイトは、お互いが、出会うことを目的としている。そしてネット小説投稿サイトは、書いた作品を読んでもらうことが目的であり。ネット小説投稿サイトで作品を読んだ読者から、あなたのことが好きです、と言われても困るのも分かる。でも。出会い系サイトでも、最初から出会う気がない、会うことはありません、と公言している女性は結構いた。でもそういう女性も、かなりの男性からチヤホヤされていたわけで。そう、僕が出会い系サイトを利用した目的。僕は、男女不平等の出会い系サイトの世界の日記ランキングで、一位を取ってやろうと思って登録した。出会い系サイトでは、利用料金も男性が有料、女性は無料が当たり前であり。その時点で平等ではない。男性が女性のプロフィールを見るのにもポイントが必要となり。足跡がついた女性のプロフィールを見るのに一回十円。最初に購入した五千円のポイント五百ポイント、百ポイントはサービスが、最初にかなりなくなった記憶がある。女性にメールを送るのにもポイントが必要であり。メールも二種類あり。通常メールと本気メール。本気メールは倍ぐらいポイントが必要で。その代わり、僕はかなり本気の気持ちでメールしてますよ、って意味があって。単なる搾取だけど。日記ランキングには閲覧者数、いいねの数が表示され。見た瞬間に分かる。女性の書いた日記には、どんなに手抜きの日記だろうと、いいねが山ほどつく。


 今日は疲れました。


 それだけの日記、一行だけの日記の閲覧者数が一瞬で三桁を超え、いいねの数も二桁を超える。ちなみに、いいねを押すのは無料であり。


 今日は突かれました。


 なら分かるけど。僕がどんなに長文で日記を書こうと、閲覧者数0、いいね0も普通であり。だから東スポのようにタイトルで釣ることを覚え。


 ツイッター、足跡が分かる方法


 とか


 昨夜は3Pで燃えました


 とか。


 そんなタイトルをつけると、閲覧者数は一気に爆あがりする。3Pで前から、後ろから。挟まれちゃって。燃えちゃった。ボンバーマンの話だけどね、と。閲覧者数が爆あがりするってことは興味を持ったってことであり。でも、いいね、は貰えなくて。心の中で思う。ふん、どんなプライドだ、と。でも、そういうのは絶対に表に出さない。僕はそのサイトで結構修行に励んだ。そう、出会い系サイトでの修行。

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