第4話 恋デハナク、負ケタクナイ
時事系列は大事であり。
僕は結局二つのネット小説投稿サイトで作品を上げるようになり。他にも読み専が多いサイトにも登録したけど一か月半で運営から破門のメールを送られてしまい。自分でSNSを使って宣伝したり、読み合い企画に参加しないとなかなか作品を読んでもらえない日々が続き。二つ目のネット小説投稿サイトはPVが自分にしか見えない仕様であることもあり。しかも自分の作品に星を送ることが出来たり。それも毎日。そんなの自分の作品にバンバン星を送るって恥ずくない?とか思って。こういう時、星を送るのは一万円を送ってもいいぐらいのレベルの作品じゃないと送りたくなく。つまりは仲のいいユーザー間で星の投げ合いをすればランキングの順位もバンバン上がる仕組みであって。ここの運営は頭がいいと思いつつ。そういうサイトを円滑に回す行為に参加したくはなく。それをやってしまうことはもう迎合したと言い切ってよいと自分の中で思って。そしてそのサイトでもその人が書いていることを知り。へえ、ここでも書いてるんだ、とか思ったりして。その人の作品一覧を見たら別のサイトとは違う作品を上げていて。そしてその時思ったこと。その人はネット小説サイトではお決まりのユーザーのフォローを誰一人としてしていなかった。さすがの僕も誰かにフォローされたらフォローを返す。ネット小説投稿サイトではフォローは相互と決めていた。迎合したくない。だからあんまり群れるのは嫌。でもフォローは相互。ふらふらしてるなあ、僕は。その人は小説家志望なのだろう?読んで欲しいを捨てられる人なのか?そんなことを思いながら僕はその人をどちらのサイトでもフォローはしなかった。でも気に入った作品はフォローした。同じ匂いがしたその人の作品は僕の本棚にふさわしいとか思いながら。そして僕は迎合と孤高の両方に足を突っ込みながらネット小説投稿サイトで作品を書き続けた。自分の作品を書いていると他の人の作品のことなど忘れる。当然、その人の作品のこともすっかり忘れてしまい。気が付いた時にその人のページを覗いては、あ、新しい作品を公開したんだ、とか思ったりして。でも自分の作品を書くのに手一杯であることと、僕は本が読めないってことで、その人の新作を読むことを後回しにしていて。今の感情が少しでもその頃の僕にあれば。きっと違う対応をしていたと思う。そうこうしているうちに三年の月日が経ち。僕は僕の意思で書き続けた現代ドラマの枠でそれなりに読んでもらえるようになった。更新すれば必ずPVがついて。それは僕の書く物語を楽しみにしている人がいるってことで。そうなると休んでいる暇はなくなり。ネットで小説を書いていると下手になる。紙の応募に拘っていた頃は毎日何ページ書くという決まりはボンヤリと持っていたけれど。ネットで書いていると毎日更新が当たり前になり。書いても書いても締め切りは毎日やってきて。それから紙で書いていた頃はもう一つ、一作品は長くても十万文字から二十万文字と決めていて。それはアマチュアの書き手としてギリギリ読んでもらえる長さであると聞いていて。僕はプロットというものを書いたことがない。だからネットで毎日書いていると無駄に長い作品も当然増えてきて。僕が気にしているその人は基本的に公募を中心に書いているようで。落選した作品をネットに上げたり、たまにネット用に短編を書いて上げてたりで。長編は見事に十万文字から二十万文字の間に収めていて。でもその人の長編は読むことが出来なくて。ライバルとはちょっと違って。僕が認めている書き手と言えばしっくりきた。ネット小説に偏見を持っていた僕はネットで様々な素晴らしい書き手と出会うことが出来た。その中でも数人、この人はすごい、この人に負けたくない、って人がいて。その人もその中の一人であって。ここで一つだけ。僕はネット小説の世界では性別がとても邪魔なものであると感じていた。それは時に本人が望まなくとも悲しい事態を巻き起こす。
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