第7話 結婚前のご挨拶にて衝撃の事実発覚

「初めまして。よろしくお願いいたします」


 本日は、ニコルソン侯爵家へご挨拶に伺いました。


 侯爵家は我が伯爵家とは違って大変広い敷地に大きなお屋敷、内装は豪華にして上品。


 歴史とお金を感じさせる高位貴族の香りがするお家です。


 素晴らしい。実に素晴らしい。


 実家への援助を、よろしくお願いいたします。


「そう言う事だから。父上、母上。これでいいね?」


 無駄に美形な大男は、私の隣で無駄に緊張しております。


 緊張したお顔も無駄に美形なのがムカつく。


 あんまり緊張しないで貰えます?


 結婚の真実味が増して、こちらまで緊張してしまいます。


 まるで本当の結婚をするみたいではないですか。


 チロリと隣を見上げれば、無駄に高い所にある整ったお顔は緊張でこわばっておりました。


 なのに、金色の髪は艶やかで。澄んだ緑色の瞳がキラキラと光り大層美しく……。


 ムカつき度が増したんで、後で一発殴ってもよろしいでしょうか?


 どうせ痛い思いをするのは非力な私だけでしょうから問題ないと思いますよ?


「貴女がマリー・フォットセット伯爵令嬢ですか。こちらこそ、愚息をよろしくおねがいしますよ」

「ほほほ」

「……」

「まぁまぁ。優しそうなお嬢さんで良かったわ」

「ふふふ」

「……」


 よく晴れた麗らかにして華麗なる日は、つつがなく流れるように過ぎていく。 


 と、思われたが。


「結婚式のことは気にしなくていいから。費用も手配もコチラで責任を持ちます」

「ええ、こちらでキチンと準備しますわ。大事な跡取り息子の結婚式だもの。侯爵家らしい盛大なものになるように頑張りますわ」


「……ふへ?」


 結婚式?


 ご夫婦揃って大変盛り上がっている所を恐縮ですが……。


 結婚式って?


 えぇ?


 形だけだから、特別なことはしないのでは?


 隣の大男を見上げれば、なんだか苦い顔をして目を背けています。


 あぁ、これは。


 誤魔化されて強引に話を進められてしまう流れですね?


 そういうことですか?


 後で一発殴ります。


 これは決定事項です。


 でも、結婚式ですか……。


 と、いう事は、私がウエディングドレスを着るわけですか?


 あんな重たいものを?


 私……生き延びられる気がしないですっ!

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