九話 ヴィクリート行き倒れて嫁と出会う

「自宅の門前で行き倒れた男」と私は随分長いこと嘲笑されたものだ。主にメルバリードに。


 なんでそんな間抜けな事になったのか。最大の原因は、軍の同僚であり友人であるハイフェンに急用が出来、共に行っていた国境視察を途中で切り上げなければならなくなった事にある。


 なんでも婚約者が急病になったとかで、手紙を受け取ったハイフェンは真っ青になり、大至急帰るのだと大騒ぎして取るものもとりあえず、東の国境の砦を馬車で飛び出したのだ。


 この時、私だけ残って視察を続行しても良かったのだが、ハイフェンがあまりに取り乱しているため心配して同行することにしたのだった。


 ハイフェンは私と同い年で、半年前に婚約したばかりだった。婚約者との仲は良いようで、私は視察の旅の間中婚約者についての惚気話を聞かされていた。


 この時の私は結婚には全く興味が無かった。幾つもあった縁談をみんな断ってしまって、母上に嘆かれていたくらいだった。女性と会っても何とも思えず、社交で女性から熱心なアプローチを受けても困惑するしかない。それが嫌で夜会などはいつも早々に切り上げて引き上げていた。帝都を出て領地に行きがちなのはそれが理由の半分だった。


 そんな私だが、ハイフェンが語る惚気話を聞くうちに、少しだけ結婚について興味が湧いていた。そんなに良いモノなのかと。それにハイフェンがしきりに言う「運命の女性」という言葉にも少し心を動かされた。


 そのように思える女性が現れたなら、素晴らしい事だろうな。私も結婚をしなければならないのなら、そういう女性と結婚したいものだ。


 と、柄にも無く思ったのだ。


 さて、国境を出発して五日後には帝都に帰り付いたのだが、ハイフェンは一刻も早く屋敷に帰りたがっていた。それなのに私を公爵邸まで送り届けてしまうと、ハイフェンは礼儀上、公爵である父に挨拶をしないわけにはいかなくなってしまう(ハイフェンは侯爵令息だ)。


 こんなに急いでいるのにそれは可哀想だと思った私は、馬車を公爵邸に入れさせず、門から離れた所に止めさせ、私はそこで降りたのだった。軍の任務の途中だったので、この時私は軍服に外套を羽織っただけの手ぶらだった。そして普通なら身の回りの世話をする従卒がいるのに、急いで帰るためにハイフェンの従卒だけを連れて私の従卒は置いてきてしまっていたのだ。


 こういう偶然が重なった挙句、父と母が旅行に行き、その際に門番にまで休暇を与えるという不幸までが重なった結果、私は自宅を目の前になす術を失ったのである。


 自分で言うのもなんだが私は堅物で、堅実だが応用力が無い方だ。決められた事をこなすのは得意だが、咄嗟の事態に対応するのは上手くない。


 しかし、それにしても近隣の屋敷に行き事情を話すとか、屋敷の周囲を歩いてみて誰かいないか探すとか、通りを歩いて行って見掛けた者を捕まえて軍務省なりに言付けを頼むとか、いくらでもやりようがあった筈なのだが、この時の私には何故か思い付かなかった。


 私が選んだ方法は門前で待つというもので、どうせ半日も待てば誰か訪ねてくるだろう、もしくは帰ってくるだろうと考えたのだった。


 ところがこれが大きな失敗だったのである。


 私はこれまで飢えた事がない。当たり前だ、私は公爵家で生まれ、何一つ不自由無く育った。軍に入って多少は不便な所へ任務に向かいはしたが、それでも周囲は私を丁重に扱い、辺境の砦でも私には十分以上の食事が与えられた。


 なので私は飢える、渇くという事の恐ろしさを良く知らなかったのだ。


 半日も経てば身体中に力が入らなくなり、喉の渇きは耐え難いものになった。飢えがこれほど体力を奪うものだとは私は全く想像もしていなかった。夜になり、朝が来ても状況に変化は無い。当然だが空腹と渇きで寝るに寝られず、私はもうその時点でほとんど動けなくなっていた。


 辛うじて朝露が道端の草や鉄扉の表面に浮かんだのを舐めて少しだが渇きを癒した。草は食えぬものかと考えたが、腹を下せば命取りになると考えたので自重した。私は座り込んで誰か来ぬものかと待ったのだが、結局その日も誰も来ない内にまた夜になってしまった。


 正直、記憶が確かなのはこの二日目までだ。その後は私は倒れてしまい朦朧としていたので記憶も曖昧なのだ。後で私はそれから三日日間倒れていた事が分かったのだが、逆によくそんなに生きていられたと思う。


 その間、何台かの馬車が門前を通った。体力のある内なら声が掛けられたかと思うが、既に声を出すのも苦しい状態だった私はただ馬車を見ることしか出来なかった。もちろん豪奢な馬車は、御者がこちらに一瞥を投げる事もなく通り過ぎた。


 どこかの使いの者が歩いて通り掛かることも、二、三度あったと思う。しかし、彼や彼女らは私を見るとぎょっとした顔をして、近寄るどころか遠巻きに迂回して足早に通り過ぎていった。


 私はつくづく情けなくなった。私はこれでも次期レクセレンテ公爵として周囲からいわばチヤホヤされて育ったのである。何時いかなる時もほとんどの場面で最優先に尊重されていたのだ。


 軍人としても優秀だ。将来の名将だなどと持て囃され、どこへいっても下にも置かれぬ扱いを受けて来た。私はそういう扱いに溺れぬように驕らぬように努めてはいたが、身分的に当然の事だと受け止めていたのも確かだった。


 その私が誰にも一顧だにされず、道端で朽ちようとしている。ここでは誰も私を尊重せず助けようともしない。


 お笑いだ。私は自嘲した。所詮私の価値などこんなものなのだ。次期公爵、皇族、軍の中将だという私の身を包んでいた数々の名誉を剥ぎ取られれば、私は自分一人も生かすことが出来ない無能者で、誰もが助けるに値しない存在なのだ。


 死ぬ前に自分の本当の価値に気が付けて良かったのかも知れぬ。私はそんな事を考えた。もしも生き延びられたのなら、この気付きは生涯忘れまいとも思った。生きられれば、だが。


 もはや身体は痺れ、空腹や渇きは既に感じず、目は開いているのに良く見えぬ。しかし、なぜか気分はどんどん静かになっていった。もうすぐ大地の女神にお会いできるからかも知れないな。私はなんだか穏やかな気分でそう考えた。女神よ、今こそ御許に参ります……。


「もし、大丈夫ですか?」


 その声に目を開けると、太陽に輝く明るい髪が目に入った。その時の私には虹色に輝いているように見えたものだ。朦朧としていた私には、その者は大地の女神の御使だと思えた。女神の元へ私を導いてくれるために来たのかと思ったのだ。


 しかし、気が付いた時には、私はその何者かと深い口付けを交わしていた。


 ……何が起きているのだ? しかし、その口から水が流れ込んできた瞬間、私は悟った。この者は口移しに私に水を飲ませてくれているのだと。


 その水のいかに甘美であった事か。私は喉を通り過ぎる水が愛おしく、惜しくてたまらぬ心地であった。私は夢中でその者の唇に吸い付いた。


 そして水が全て流れ込み、その者が顔を離した瞬間、私は仰天した。


 なんとその者は女性だったからだ。しかもまだ若い。幼いとも見える。


 桃色掛かった金髪を乱暴に後頭部で結え、大きな水色の瞳を有するその可愛らしい顔には化粧気が無い。全く飾り気無いその姿は明らかに貴族では無かった。


 彼女は私が意識を取り戻した事に気が付いたのか、嬉しそうに表情を綻ばせると、屋敷の閉じた門の所へ走っていった。そして何やらしゃがみ込んで何かをしてから、またこちらへやってきた。見ると頬が膨らんでいる。どうやらまた水を口に含んできたらしい。


 私は狼狽した。彼女はまた口付けをして私に水を飲ませる気らしいのだ。ちょ、ちょっと待て。私はこれまで女性と口付けをしたことなど無く、先ほどのアレがファーストキスだったのだ。それはともかく、女性がみだりに夫でも無い男性と唇でキスをするなんて特大の破廉恥行為であり、この女性の名誉に関わる。


「も、もういいもう大丈夫だ!」


 私は叫んだのだが、彼女は水色の目を丸くした後、眉をキュッと逆立てた。そしてまだまだ動けぬ私の頭をガシッと掴むと、有無を言わせず私の唇に自分の唇を吸い付かせた。そして水をゆっくり私の口の中に流し込む。


 その水の美味さたるや今まで食べたあらゆる美食に勝るものだった。私は貪るように飲んだ。彼女の唇を通して流れ込む甘露が尽きた時、私は名残惜しさに泣きたくなるような心地を覚えさえした。


 唇を離した彼女はニーっと笑った。勝ち誇ったような笑みだった。ね? 美味しかったでしょう? そう言われたような気分だった。そう。彼女が正しい。


「意識が戻りましたか?」


 そう言って健康的な笑顔で微笑んだ彼女はもう御使には見えなかったが、それでも私には眩しいくらいに輝いて見えたのである。


 これが私とシルフィンの出会いだった。


  ◇◇◇


 シルフィンはかなり後まで「ヴィクリートは命を助けられた事で誤解しているのよ。私はヴィクリートに愛されるほど大した女じゃないわ」などと言っていたものだ。


 シルフィンは分かっていない。彼女は自分の価値が分かっていないのだ。


 私だって彼女に惹かれたきっかけが、命を救ってもらった事に由来するというのは否定しない。あれはそれほど衝撃的な経験だったと思うからだ。


 しかし、真に彼女の尊い部分は、あの時に他の誰もが助けなかった私を、何を顧みる事無く必死に助けてくれたという点にあるのだ。


 私は後から思い返して考えたものだ。もしも私が、公爵邸の門前で死に掛けて倒れている男を見たら、そいつを自分の身を挺して救うのかどうか。


 そんな者を助けるなどあり得ない。うん。私は結論せざるを得ない。理由は簡単だ。怪し過ぎる。貴族街の、しかも一番大きな公爵邸の門前でなぜか行き倒れている男。そんなの有り得な過ぎて何かの罠に違いないと、私なら思う。


 通り掛かった全ての者がそう考えたが故に、私は誰にも助けられなかったのだ。あの時は世の者どもの冷たさを呪ったものだが、今となればそれは当然の事であったと理解出来るのである。


 しかしシルフィンは私を助けてくれた。それは危険極まりない、お人好しで考え無しの行為であると言う人もあるかもしれない。


 しかし。こうも言える。彼女は危機に陥った他人を、自らが危険を冒してでも助けることが出来る。勇気ある女性であると。


 私が感銘を受けたのはその勇気だった。もちろん彼女だって怖かったに違い無いし、後で「誰でも助けたわけじゃ無い。あなただから助けたのよ」と言ってはくれたが、それは彼女の勇気を否定するものではないだろう。むしろ恐怖を乗り越えて勇気を出して一歩踏み出せるところに、彼女の最も偉大な部分があるのである。


 私は最初に、その勇気ある彼女に惹かれた。しかしながらそれだけが理由で彼女に求婚した訳では無い。


 道端で彼女に口移しで水を与えられた後、私はブゼルバ伯爵邸へと連れて行ってもらった。帝国の上位貴族であれば私の顔は知っている筈だし、面識が無い者であっても紋章院なりに身分の照会を要求する事は出来ると思ったからだ。


 伯爵邸ではすぐにブゼルバ伯爵と会う事が出来た。幸い伯爵とは面識があった事もあり、すぐに私に気が付いてくれた。


 途端に私の扱いは迷い込んだ厄介者から賓客となる。この時も私は、結局は私が敬われるのは私自身の価値では無く、身分や家柄が理由であることをつくづく思い知ったのだった


 客室に通された私には侍女が付けられることになった。私はこの時、少し迷いながらも侍女にシルフィンを希望した。既にかなり彼女に惹かれ始めていた私は、彼女と離れ難かったからだ。


 同時に、身分が変わってしまった私に彼女が恐れ入ってしまうのは嫌だな、とも思っていた。彼女の飾らない態度が畏まったものに変わるのを見たくないと思ったのである。しかし侍女が主人に遜るのは当たり前だ。


 ところが、これが私も内心驚いた事に、シルフィンの態度はほとんど変わらなかった。私は彼女に椅子を勧め、共にお茶を飲もうと誘った。すると彼女は戸惑いながらもその勧めに応じたのだ。


 普通は身分差が明らかになった相手と同席なぞしないものだろう。まして彼女は侍女で私は仮の主人。主従関係さえ出来ている。そういう身分や主従の関係を重視する者なら絶対に私の勧めを謝絶した事だろう。


 恐らく彼女は私の身分よりも、既に知っている私の実際の姿を優先したのだと思う。行き倒れを助け、口移しで水を飲ませ、食堂で食事を食べさせ、その後一緒に薪運びをした仲ではないか。何を遠慮の必要があるか。そういう風に考えたのだろう。


 それは身分差を弁えないと言われても仕方が無い行為かもしれない。伯爵が見たら青くなって彼女を罰する行為なのかもしれない。しかし今回の事でつくづく自分の虚像を思い知らされていた私にとって、私自身を曇り無く見てくれたシルフィンの行為は、何よりも嬉しい事だったのだ。


 そして、話をすればする程、私は彼女と色々と趣味が合うのを感じた。彼女は地方の農家の出身で、故郷の田舎の村のことをしきりに懐かしがっていた。私も帝都よりも公爵領の方が好きで、田舎である領地で過ごす方を好む。花が好きで木が好きで、屋外に出る事を好むのも私と同じだった。


 これまで、これほど気が合う女性に私は出会った事がなかった。宝石やドレスや社交界のゴシップよりも、花や木や風景や農業の話の方が好きな貴族女性などいるはずがないのだから無理もないのだが。


 私はこの時に、ありとあらゆる意味でシルフィンのことが気に入ってしまった。これほど私に「合う」と感じられる女性は、もう二度と現れまいと思った。


 ハイフェンの言っていた私にとっての「運命の女性」こそシルフィンの事に違いない。私は確信したのだった。


 私は食事のために部屋を出る頃には、シルフィンとの結婚を決意していた。そしてその瞬間から、シルフィンを妻にするにはどうすれば良いか、猛烈に頭を回転させて考え始めていたのだった。


  ◇◇◇


 私とシルフィンの結婚が容易で無いことは、彼女に惹かれ始めた時から分かっていた。


 ブゼルバ伯爵とシルフィン本人から聞いた事情によれば、シルフィンは男爵令嬢でしかも孤児だった。男爵の地位は基本的には世襲出来ない(実際には一族の推薦によって世襲が認められることが多いが)。まして孤児ではシルフィンは今の時点で平民身分だと言える。


 しかしながら一応は貴族の血を引いているという事なので、私の推薦があれば男爵夫人の地位を得る事くらいなら難しくは無いと思う。


 しかしそれでは問題の解決にならない。男爵令嬢と次期公爵の私の結婚などどこの世の誰もが認めるわけがないからだ。これがたとえ子爵令嬢でも無理だ。貴賤結婚として紋章院でも元老院でも却下されてしまう。


 ではどうするか。最低限貴族の血を引いているのだから、彼女を愛妾にする分には何の問題も起こらないだろう。しかし私は彼女を誰憚ることの無い妻に迎えたかった。そうなればもう方法は一つしかなかった。彼女に相応しい身分を与えることだ。


 そう。シルフィンを上位貴族の養子にすれば良い。幸い、彼女はブゼルバ伯爵家の一族だ。本家が一族の者から何らかの理由で養子を迎えるのは良くあることである。ブゼルバ伯爵にシルフィンを養子にさせ、それから慣例に従って公爵家の養子扱いにするのだ。そうすれば身分はロンダリングされて私とシルフィンの結婚には身分的な問題が無くなる。


 そう計画を定めた私は、シルフィン本人とブゼルバ伯爵に私の希望を打ち明けた。シルフィンもブゼルバ伯爵もそれはもう驚いていたが、口に出したからには私はもう止まる気はなかった。


 私は翌日から即座に動き出した。まず旅先の(父と母は冬の間南の離宮に良く旅行に行くことを思いだしたのだ)父と母に向けて書簡を出す。「妻にするべき女性を見つけた」と書けば何事かとすぐに帰郷してくれるだろう。続けて公爵邸にも使いを出した(伯爵家の者が走った結果、屋敷の裏門は開いていた事が判明した。間抜けな話だ)。「婚約予定の女性を連れ帰るから準備をするように」と。シルフィンの部屋と身の回りの品の準備をさせるのだ。


 そして皇帝陛下と元老院、紋章院にも婚約申請を提出する。これはわざわざ公爵邸から私の印章を取り寄せて正式な書類を作成して提出した。これを出してしまえばもう私とシルフィンの縁談は公になる。社交界でも噂になるだろう。もみ消して無かった事には出来ない。


 父や母や皇帝陛下としてみれば、庶民同然の男爵令嬢との貴賤結婚のような不名誉な事は、検討するまでもなく無かった事にしてもみ消したがるだろうと思ったのだ。その牽制の意味合いがあったのである。わざわざ正式な書類を仰々しく提出したすることで、私の本気を示す意味合いもあった。


 そして、私はブゼルバ伯爵を懐柔に掛かった。公爵邸と連絡が付いたにも関わらず、その後三日間も伯爵邸に滞在したのは、公爵邸でシルフィンの部屋の準備をさせるためと、伯爵との話を詰めるためだったのだ。


 ブゼルバ伯爵家は以前はかなり格が高い家だったのだが、ここ数代で勢力を落としていた。伯爵家にとって公爵家の後ろ盾で貴族界における勢力を回復させるのは悪い話では無い筈である。


 私はシルフィンを養子にして私に嫁がせれば必ず伯爵家を重用すると約束した。そして婚姻に関わる費用は公爵家が全て持つこと。それどころか伯爵家には私個人の資産から多大な援助をし、事によればご令嬢の良縁の口利きもすると言った。


 伯爵は最初、そんな貴賤結婚の後押しをすれば私の父や皇帝陛下に罰せられるのではないかと危惧してなかなか首を縦に振らなかったが、私の執拗な要請についに折れてシルフィンを養子にする事を承諾した。


 私は即座に養子縁組の手続き書類を作らせ大至急で紋章院に提出させたのだった。これで事前に準備出来る事は全て終わったと判断した私は、戸惑うシルフィンを連れて公爵邸へと帰還した。


 この時点で私がシルフィンとの結婚の障害になると考えていたのは主に、父と皇帝陛下だった。父は当然貴賤結婚に反対するだろうと思っていたし、皇帝陛下は第二皇女であるイーメリア様と私の婚姻を強くお望みだったからだ。


 だが、私は引く気はなかった。必ず全員を説得して私はシルフィンを妻に迎えるのだ。私は既にそう固く決心していたのである。ただ、結果的にはその最大の二つの障害の説得には、私の力はほとんど必要なかった。私はまだまだシルフィンの魅力を過小評価していたようである。

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「私をそんな二つ名で呼ばないで下さい! じゃじゃ馬姫の天下取り 」(SQEXノベル)イラストは碧風羽様。「貧乏騎士に嫁入りしたはずが!? 」(PASH!ブックス)イラストはののまろ様です。好評発売中です! 買ってねー(o゜▽゜) 

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