第2話

ちなみに、私と神楽くんは席が隣同士である。

……正直、席替えしたくない。

「壮良くん、休み時間なのに勉強してるんだね!さすがだなぁ」

「……」

まーた絡んでるよ、沙耶……もう嫌になっちゃってんじゃん、神楽くん。ここは私が助けてあげようではないか。

「沙耶ー」

「んー?」

「昨日の『稲架珈琲』見た?」

「みたみた!まじでやばかったよねぇ〜!」

よし、気を引くのは成功。グッドポーズしてる、神楽くん。可愛い……。ちなみに『稲架珈琲』は最近流行ってるドラマである。

「ってゆーか、いつも思うけどやばくない?廣目華夜ちゃん!」

「それな!まじで可愛い!」

「沙耶たちとはなんか人種違うよねー」

「分かる分かる!」

よしよし、このままチャイム鳴れ……!


キーンコーンカーンコーン


よし、ナイスタイミング!

「じゃーね、さちー」

「うん、またね」



――放課後


ザーザー……


えっ?雨降ってんの?今日傘持ってないし……どーしよ……。

「ほら」

「えっ?」

「使えよ」

「え、でも、神楽くん濡れちゃうよ?」

「……いらねっつってんのに、母さんがリュックに入れんだよ。返すのはいつでもいいから」

「え、えぇ?」


タッタッタッタッ


「あっ、ありがとー……」

やばっ、こんな優しかったんだ……神楽くん……。

こっ、これはっ、やばい……。

「あれっ、さちじゃん」

「あ、華」

あれ、なんでこんなとこにいるんだろ、華。

「さっきの、見てたよ」

「……えっ?」

「いやぁ、人の恋愛を見てるのっていいですなぁ」

「……はっ、はぁ?!」

な、何を言っているんだこいつは……。……私をからかう気?

「顔赤いよ、さーち!」

「……うるさい」

「……ねぇ、好きなんでしょ、神楽くんのこと」

「……まあ、ね……誰にも言わないでよ?」

「えー、どーしよっかなー?」

「ね!一生のお願いだから!ほんとに!」

「……分かったよ、親友だからね。秘密は守るよ」

「ありがとう、華!心の友よ〜」

「私、恋愛マスターだから何でも聞いてね!」

「そんなの初めて聞いたけどなぁ……」

「ふっふっふ〜……これまで隠してきたけど、結構詳しいんだからね!我が妹が恋愛マスターだから」

「……そうなんだ……」

……って妹かい!……まあ、相談相手ができたことはいいことだけど。

「ってか、最近部活の方はどうなの?」

「部活?いつも通り過疎ってるけど?3年は私1人、2年は3人の計4人しかいないよ」

「あれ?そんないなかったっけ?」

「いないよー。あーあ、今年は1年、いっぱい入るといいなー」

「だね。勧誘、頑張って!」

「ありがと」

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