圧が強い演劇部部長がリア充になった件について

もぉるる

第一章

第1話

「おっはー!」

「おはよ!麻里亜!」

「いやぁ、今日も朝から圧ガンガンだねぇ。流石だわ」

「何それ!私圧出したくて出してるわけじゃないんだけどー」

「声でかいし、声通るし、流石演劇部部長」

「いやぁ、それほどでも〜」

今話してるのは親友の笹子麻里亜。8年来の付き合い。なんか私、よく圧が強いって言われるんだよね。……なんでだろ。目力が強い……とか……?そんなことないと思うけどなぁ……。

「さっちー!おはよー!」

「おはよ!たんぽぽ!」

「私の名前はたんぽぽじゃなーい!」

「ごめんてー」

この子は加藤華。こいつの特徴は背が小さいってこと。なんて言うんだろ、たんぽぽみたいに小さいって言えばいいかな?まあ、だからあだ名がたんぽぽなんだけどね。

「さちこ!おはよ!」

「私の名前はさちこじゃない」

「えー、さっちゃんの歌にあるじゃん、『さっちゃんはね、さちこってゆーんだほんとはね』って」

「何言ってんだか……」

こいつは大和沙耶。私はさちです、さちこじゃありません。ちょっとこの子、ぶりっ子っぽいとゆーか、なんとゆーか……。男子の前ではちょっとぶりっ子っぽくなる、みたいな子いるじゃん?恋愛アニメとかによく出てくるキャラのような……まあ、そんな感じ。

突然だが、私には好きな人がいる。ちなみによく沙耶がぶりっ子になるのはその人の前が多い。私の友達の誰かに好きな人を話したら、もう終わりだ。まあ、つまり、学年中に広まって大炎上、みたいな感じになってしまう、ということだ。

「さちってさー、好きな人とかいないの?」

「何さ、急に。男に興味ないし。てか、私らの学年の男子とかイケメンいないでしょ」

「分かる、華もそう思う」

嘘です。私が好きなのはイケメンです。すみませんでした。……とは言えず。

「そろそろチャイム鳴るね。またね、さち」

「うん、また」


――10分後……

「おはよ」

「おはよー、今日は遅いね、どしたの?」

「朝練長引いちゃってさ」

「あ、そーなのね」

……まさにこの人こそ、私の好きな人、神楽壮良くんだ。ちなみに神楽くんも部長。ちなみにバスケ部。

「桐谷、今日英語の宿題忘れたから見せて」

「えぇ?また?」

「この通り!一生のお願い」

「何回目?それ」

「いいじゃん」

「ま、いいけどさ」

……可愛くないですか?天使じゃんっ!……やばい、オタク本能が……。もしやこいつ、私に好意持ってたりして……はないか。こんな可愛い神楽くんなんだもん、私のこと好きなわけない。

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