第11話 見守って欲しいって、難しくない?
「これは…」
「どうした?蜜羽」
「イーグルズ、わたしは、この依頼をどうすべきか、解らないのです」
「お前らしくもないな。一体、どんな依頼だ?」
『【黒魔術師】様。
僕の名前は、
「「…………」」
「どう…思いますか?イーグルズ」
「見守る…のか…」
「はい…。見守るのです…」
「じゃあ、蜜羽は、何もしなくて良いのか?」
「…ということに…なるのでしょうか?」
「「……………」」
「兎に角、逢って、お話を聞いてみましょう」
「そうだな」
*****
「あ、ども。変な手紙出してしまってすみません」
そこに現れたのは、そんな、毎年転んでしまいそうなドジな少年には見えない、多分、モテるであろう、姿かたちの男子が屋上の手すりに寄りかかっていた。
「貴方が、礫さんですか?」
「はい」
「毎年、失格になっている…と言う…」
「はい」
淡々と答えていく礫に、なんだか、妙な感覚がする。
「…悩んで、おられるのですよね?」
「はい」
「ですが、礫さんのお手紙には、『見守っていてくれ』と書いておられました。これはどういった…」
「そのまんまです」
「…と、いいますと?」
「自分の力で、頑張りたいんで、誰かに、見守ってて欲しいな、って」
「はぁ…」
しかし、蜜羽を侮ってはいけない。蜜羽は、その、手紙の文字から、あることをすでに推察していた。
「礫さん、あなた、おすきな方がいらっしゃるんですね?」
「へ?」
これでも、今までで一番、動揺している。イーグルズにも解った。
「これは、貴方のお手紙から感じ取ったものですが、約束をしておられるのでは?」
「あ…へ?」
まただ。また、動揺している。
「インターハイで、良い成績を残せれば、どなたかに告白する…と心に決めておられるか…もしくは、付き合ってあげる…とでも言われているか…どちらかでしょう」
「…っか――――――!!マジか―――――!!【黒魔術師】ってマジ凄いんすね!」
「やはり、そうなのですね?」
「はい。幼馴染の、
「そうでしたか…。そう言うことなら、ピッタリの呪文がありますよ」
「え?だから、呪文使ったら、ズルいって言うか…」
「いいえ。ズルくはありません。きっと、柚子さんも許して下さるのではないか、と思われます」
「マジっすか!?」
⦅こいつ…今までで一番感情出てる…恋する男だなぁ…⦆
イーグルズは、ほくそ笑んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます