第4話 嘉虹弥が改心!?

『【黒魔術師】様。

私、3年B組の桃北ももきた嘉虹弥でぇす!!実はぁ、今度の月曜に、小テストってのがあって、それを30点以上取らないと、赤点で、補修になっちゃうんですけどぉ、なんか、良い手ありませんか?出来れば、楽できるの。

おねがいしまーす!!』



「………こいつ、ふざけてんのか?俺は、蒼崖家の遣いだが、家系には属してない。〇してやろうか?」


「…物騒なことを言うのは余りよろしくありませんよ、イーグルズ。嘉虹弥は、決して、ふざけてなどいません」


「ならば、何なんだ、このスッゲーむかつく文章と、頼みごとをしているとは思えない軽々しい口調は!!」


段々、沸々とイーグルズの怒りが沸き上がって来た。


「イーグルズ、ごめんなさい。これは、ふざけているわけでも、挑発的なわけでも、説明不足なわけでもありません」


「じゃあ、なんなんだ!!」


「嘉虹弥は…………馬鹿、なんです」


「………納得した」


「それは良かったです」


「で?どうするんだ?この馬鹿女の願い、叶えるのか?必ず、絶対、確実に、本人の為にならんぞ?」


「はい。そこはもう考えてあります。ご安心を。イーグルス」




*****




「うっわー!!マジいたんだー!!【黒魔術師】様ーー!!いっがーい!!嘘かと思ってたーー!!なんか記念に写メ撮って良いー!?」


「帰りますよ?」


「うっわ!待って!!冗談です!!」


「…。貴女には、最初に、言って置かなければならないことがございいます。願いを叶えることは、大体可能ですが、この願いを、すんなり聞いてしまっては、貴女の為になりません。何でも楽に手に入れようとするのは、最も愚かなことですよ?その為、貴女には、努力を身につける呪文をお教えします」


「え?そんなの要らない」


「…はい?」


「楽して勉強できるようになりたいのよ、私!だめぇ?」


⦅やっぱり〇そう…⦆


⦅イーグルズ、落ち着いてください!⦆


「…まぁ、良いでしょう。この呪文を唱えれば、なんの、どんな形になっても、貴女は勉強ができるようになることでしょう」


「マジ!?やったぁー!!じゃあ、手紙、くださーい♡」


「どうぞ。一回、この呪文を唱えれば、貴女はもう、勉強の虫…ですよ…」


こそっと、蜜羽が言った言葉は、浮かれた嘉虹弥には、もう聴こえていなかった。




*****





嘉虹弥は、家に帰ると、早速、【黒魔術師】の手紙を鞄から出した。


「う~ん…。これで、私…」


嘉虹弥が、小難しい顔をしている。何だろう?【黒魔術師】の『何でも楽に手に入れよとするのは、最も愚かなことですよ?』と言う言葉を、気にしているのだろうか?


「チョー天才になれる―――――――!!!」


嘉虹弥は、何処までも、愚かなのだった。





「えっとー…いっくぞー!!〔勉学服従ユーダーキャルインペリオ!!」



すると、頭の中が急に静かになり、真っ白になってゆくのが解った。そして、それだけではない。どんどん、どんどん、勉強がしたい!!と言う意欲が湧いてきたのだ。



「よっしゃー!!!今度の小テスト!目標80点よ!!センコーども!待ってやがれい!!」



…なんだか、テンションがおかしいが、とりあえず、嘉虹弥は、勉強をやる気になったらしい。




―次の日―


「蜜羽、おはよう」


「おはよございます。嘉虹弥。何だか神妙な面持ちですが、どうかなさったのですか?」


「私、解ったの」


「何がでしょう?」


「勉強するのって……………すんごく大切よね!!!!」


教室中に嘉虹弥の声が響き渡った。


「「「「「え―――――――――――!!!???」」」」」


クラス中が、どよめき、地震でも起きそうな勢いで、嘉虹弥の所にクラスメイトが集まってきた。


「「「どうした!!桃北!!!!」」」



蜜羽は、嘉虹弥に向かって、小さく、


「これからですよ、嘉虹弥…」


と、呟いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る