第3話 例えば、こんなお仕事しております
『【黒魔術師】様へ。
私、
昨日、親友の
「ふ~ん…。どう思いますか?イブリーズ」
「そうだな…。あれでいこう」
「ですね。比較的、簡単なお仕事ですね」
その日の放課後、裏庭でソワソワしている女子が1人、立っていた。
そこへ現れたのが、ピンクのマントと、ウサギのお面をつけた、【黒魔術師】、蒼崖蜜羽だった。
「あなたが、仁恵さん、ですね?」
「!あ!は!はい!!」
「貴女の願いを叶えるべく、お返事の手紙に、一つの呪文を添えてまいりました。この手紙に添えた呪文は、一度しか使えません。あなたが、心から望み、信じられる心を持ち、この呪文を、初さんの前で唱えてください。そうすれば、あなたの願いは叶うでしょう…」
「…本当に、初と…仲直り…できますか?」
仁恵、と名乗った女子は、今にも泣きそうだ。相当、大切な友達だったのだろう…。
「大丈夫です。信じて、唱えるだけです…。では」
そう言うと、蜜羽…いや、【黒魔術師】は、その場を去った。
*****
「こんなところに呼び出して何の用?」
初は、怒った様子で、仁恵を見ようともしない。仁恵は、【黒魔術師】の言葉が段々信じられなくなってくる…と言うより、自分の中の、今まで親友であった…と言う確信が、薄れていた。
そんな状況下で、仁恵がまた初と仲直りできる方法は、一つしかなかった。そして、思いっきり、叫んだ。
「
ドクンッ!!
初の鼓動が、仁恵にさえ聞こえた気がした。
「ふ…ふふふふ…あははははっ!!私、何怒ってたんだろう?すきな人が同じでも、友情は成立するよね!2人で切磋琢磨して行けばいいんだし?もう!ごめんね!仁恵!教室、戻ろ!授業、始まっちゃう!!……仁恵?」
「…か…った…」
「へ?」
「良かった…。友達いに…戻れて…。ありがとう…初…」
そう言いながら、心の中では、
『ありがとうございました!!【黒魔術師】様!!』
と叫ぶ、仁恵だった。
「上手く行ったようですね。あのお二人」
「そうだな。まぁ、あのくらい、一族最強の魔術力を持つ蜜羽なら、当然だがな…」
「まぁ、ありがとう。イーグルズ。あなたも、もうかれこれ300年、この蒼崖家の仕事に励んでくれていますが、そのイーグルスにお褒め頂けるとは、わたしも嬉しいです。これからも、頑張らなくてはなりませんんね」
「まぁ、くだらない依頼も、数少なくはないがな…。昨日の朝の嘉虹弥とか言う女も本当に勉強の術を頼みに来るのか?」
「…はい…。彼女は恐らく…イエ、確実に本気で、楽をしようとしています。お仕置きせねばなりませんね」
「だが、蒼崖家では、悪事に【黒魔術師】を使うのは禁止だろう?どうするんだ」
「簡単です。本当に、頑張ってもらうだけですので…」
そう言うと、蜜羽はにっこり、微笑んだ。
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