第21話 JSB3戦目 苦闘の富士
7月第2週、梅雨あけとともに富士ラウンドが始まった。ジュリアも試験を無事に終えて日本にもどってきていた。キャンピングカーはジュンとジュリアで運転してくる。鈴鹿から富士までは大した距離ではない。ジュリアも高速道路の運転ならばさして問題ない。名古屋とかの都市部では、さすがに運転したくないと言っていた。ジュンもジュリアを勝利の女神と認めているのだが、あの英語での鉄砲をうつような喋りだけはお手上げだった。
富士は、高速コーナーが多いのでジュンはやっとマシンに乗れた感じがした。金曜日の予選ではトップの野田に0.8秒落ちとなった。また少し接近した。青木は0.2秒落ちで予選3位に入った。ジュンは予選6位だった。予選を終えると、マシンはパルクフェルメに入れられる。日曜日までマシンに触れることはできない。土曜日は、休養とレース観戦である。サーキット横のホテルに入れたので、まるでリゾート感覚だった。ジュリアがジュンの部屋に入り浸っていて、レースのことを考える余裕はなかった。気分転換にはよかったかもしれない。
日曜日の決勝は晴れ。今日も青木の後ろにつく金魚のフン走法だ。青木は、中嶋・野田のY社コンビについていく。二人は、前年度のチャンピオンとランキング2位だ。この二人についていければ、JSBでトップレベルになれるのだ。だが、周回数を重ねるごとにトップの2台の勝負となり、ジュンは第2集団での争いになった。青木・ジュンに続いて、H社の高木・S社の丸山・KW社の熊田といった各メーカーのトップライダーが集団で走っている。そこにジュンも入っているのだから、チーフメカの岡崎は改めてジュンの順応性に感心していた。
結果は、野田・中嶋・青木が表彰台にあがり、高木・丸山そしてジュンとなった。2戦連続で6位となり、走りがまぐれでないことが照明され、チームから祝福された。それ以上に、チームの初表彰台でわき上がっていた。
ジュンは不満だった。レース後半のヘアピンの立ち上がりで二人に抜かれたことに不満だったのだ。まだ、マシンコントロールが課題であった。鈴鹿への帰り道、高速道路はジュリアの運転だったが、ジュンはずっと無口だった。
次は、ジュン念願の鈴鹿8耐。鈴鹿に住んでいるライダーならだれでもあこがれる夢の舞台だ。JSBで不完全燃焼をしているジュンにとっては、最大の関心事になっていた。
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