第19話 ジュンJSBに挑戦 20才 オートポリス

 今年の開幕戦は、九州のオートポリスとなった。4月中旬の開催となった。サクラの季節が過ぎ、穏やかな日々となっていた。ジュンは、スーパーバイクのテスト走行を重ねるとともに、大型二輪の免許もとった。契約金でKT社のバイクを購入し、テスト走行がない日は、近くのミニサーキットで重いバイクの操作に慣れる練習をしていた。

 4月になるとジュリアが鈴鹿の家にやってきて、景子の部屋に入った。とたんに賑やかになった。母親は娘が一人増えたと喜んでいた。景子とは毎日TV電話で話ができた。ハインツもゼッケン1番のマシンで頑張っているとのこと。左手の薬指だけは、まだ不自由のようだが、チームが工夫してクラッチを操作できるようにしたとのこと。さすがチャンピオンマシンである。

 ジュンのチームメイトは、青木大輔(30才)だ。おととし、J-GP3で走っていた青木拓人の弟で、JSB3年目のライダーだ。今まではS社のマシンに乗っていたのだが、チーム若返り策でシートを失い、KT社のライダーになった。知り合いのメカ二人を連れてきたが、KT社のマシンは初めてということで、岡崎さんは2台のマシンの面倒を見ることになった。

 予選は青木が10位。ジュンが15位となった。ジュンは立ち上がりで苦労していた。パワーがあるので、アクセルを開けるとすぐにリアが流れる感じがするのである。

 決勝は、第1戦ということで荒れた展開となった。ジュンは、無理をせず金魚のフン走法に徹した。おかげで10位でフィニッシュできた。JSB初参戦で、10位は御の字と言われた。青木は8位でマシンの特性をつかみかけたと言っていた。


 次戦は、ジュンにとっては因縁の岡山。でも、コースレイアウトは好きなコースだ。雨さえ降らなければ上位に行けると思っていた。

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