第11話


 名付けも終わり、マシロが仲間になった。

 神狼であるマシロは私の中では戦力ではなく、癒し担当である。

 この世界最強種らしい私は守護される側ではなくする側だ。


「これからどうしようかな」


 あの綿毛もどきは世界に蔓延る瘴気をどうにかしてくれって言ってたな。

 世界に蔓延るって何処にあるとか地道に調べて消滅させていけって事なんだろうか。

 私の「待って」という言葉に耳も貸さずに半ば無理やりこの世界に送り込まれただけでも腹正しいのに、私に面倒ごとも丸投げしている。


 綿毛モドキ、次見かけたらアイツこそ消滅させてやる!!


 ≪綿毛モドキ……は存じ上げませんが、瘴気の発生場所をお知りになりたいのであれば、私が発生場所をマスターにお伝えする事は可能です。≫


(えっ、泉くんホント!?)


 ≪はい。世界全体を把握する能力である『ワールドマップ』を知識の泉は有しておりますので、お探しの人や物の場所もすぐにサーチする事も可能です。≫


(お、おお……凄いね。私、地図とか読めないタイプだから、ナビしてくれるのは助かるよ!)


 泉くんの高性能さを知って、綿毛モドキへの腹正しさは少し落ち着いた。

 何処にあるか分からない首をギリギリと締めあげる程ではなくなったが、毛は大量に毟る事は決めている。それも大量に。


(泉くん、洞窟暮らしもすぐ止めたいって程イヤな訳じゃないんだけどさ、そろそろ人が住む街とかに行きたいんだけど、近くに街とかあるかな?)


 マシロが伏せをしている傍に寄り、その艶々な毛をナデナデしながら泉くんに話しかける。

 泉くんは自分のスキルというより、もう頼れる相棒のように感じて始めている。

 この世界で右も左も分からず、最強種だってことだけ教えられて放り出された私の心細さを救ってくれたのだから。


 ≪了解しました。街ですね。規模はどれくらいをご希望でしょうか。≫

(街の規模かぁ……んー、冒険者ギルドとかってある?)


 ≪ギルドは存在しております。冒険者ギルドの他に商業ギルドや錬金ギルド、鍛冶ギルドに彫金ギルド。変わり種として闇ギルドなどもございます。≫

(闇ギルド……暗殺とか、後ろ暗い依頼を請け負うギルド?)

 ≪表向きは諜報などを請け負っているようですが。裏では色々とあるようですね。≫

(な、なるほど……物騒なギルドってことだね。関わるのは止めておこう)


 それにしても、冒険者ギルドと商業ギルドくらいかなって考えていたけれど、この世界には色々なギルドが用途別にあるようだ。

 他のギルドに興味がでて知りたくなったら泉くんに聞けばいいか。


 ≪マスターは冒険者ギルドにご興味が?≫

(うん。金策を兼ねて冒険者登録したいなって思って。アイテムボックスに魔物の死骸いっぱいあるし……ずっと持っておくのも気持ち悪いから売ってしまいたいし、折角すごーい戦闘能力を持ってるんだから有効利用しようと思って!)


 ≪確かにマスターの力があれば、この世界の冒険者の頂点に立つ事も容易いことでしょう。お金を稼いで何か得たい物があるのですか?≫


(色んな街を歩いて前の世界との違いを見たり、どんなものが売ってるのかお店を覗いたりしたいかな。気に入った物があれば買いたいし。美味しそうな物があれば食べたい。あと、調味料が欲しい……切実に)


 ≪マスターは人族の暮らしに興味があるのですね。≫


(うん、そうだね! 元の世界では人族だったからね。いきなり竜生ですって言われてもその暮らしがしたいって思わないかな……魔物を生で丸かじりとかしたくないし……)


 ≪承知しました。では、ここから460キロほど先に中規模の街がありますので、そちらへ向かいましょう。そこには冒険者ギルドもございますし、賑やかな市場や商店街もございますので、マスターの要望を満たせるでしょう。≫


(おお! いいね! 賑やかな市場に商店街! 楽しみ!)


 ≪現在の人化された姿ですとその街までは身体強化して駆け抜けても7日程掛かります。本来の姿ですと飛ぶスピードで変わりますので予測時間にズレがありますが数時間といった所です。どちらで向かわれますか?≫


(竜の姿で近づくと街が大混乱に陥りそうだから、50キロ程手前で人化しようかな。そこまでは竜の姿でびゅーんと飛んでっちゃおう!)


 という訳で、私はこの魔窟の森とも魔王の森とも呼ばれ伝承されている森とおさらばする事にしたのだった。


 名付けも終わり、マシロが仲間になった。

 神狼であるマシロは私の中では戦力ではなく、癒し担当である。

 この世界最強種らしい私は守護される側ではなくする側だ。


「これからどうしようかな」


 あの綿毛もどきは世界に蔓延る瘴気をどうにかしてくれって言ってたな。

 世界に蔓延るって何処にあるとか地道に調べて消滅させていけって事なんだろうか。

 私の「待って」という言葉に耳も貸さずに半ば無理やりこの世界に送り込まれただけでも腹正しいのに、私に面倒ごとも丸投げしている。


 綿毛モドキ、次見かけたらアイツこそ消滅させてやる!!


 ≪綿毛モドキ……は存じ上げませんが、瘴気の発生場所をお知りになりたいのであれば、私が発生場所をマスターにお伝えする事は可能です。≫


(えっ、泉くんホント!?)


 ≪はい。世界全体を把握する能力である『ワールドマップ』を知識の泉は有しておりますので、お探しの人や物の場所もすぐにサーチする事も可能です。≫


(お、おお……凄いね。私、地図とか読めないタイプだから、ナビしてくれるのは助かるよ!)


 泉くんの高性能さを知って、綿毛モドキへの腹正しさは少し落ち着いた。

 何処にあるか分からない首をギリギリと締めあげる程ではなくなったが、毛は大量に毟る事は決めている。それも大量に。


(泉くん、洞窟暮らしもすぐ止めたいって程イヤな訳じゃないんだけどさ、そろそろ人が住む街とかに行きたいんだけど、近くに街とかあるかな?)


 マシロが伏せをしている傍に寄り、その艶々な毛をナデナデしながら泉くんに話しかける。

 泉くんは自分のスキルというより、もう頼れる相棒のように感じて始めている。

 この世界で右も左も分からず、最強種だってことだけ教えられて放り出された私の心細さを救ってくれたのだから。


 ≪了解しました。街ですね。規模はどれくらいをご希望でしょうか。≫

(街の規模かぁ……んー、冒険者ギルドとかってある?)


 ≪ギルドは存在しております。冒険者ギルドの他に商業ギルドや錬金ギルド、鍛冶ギルドに彫金ギルド。変わり種として闇ギルドなどもございます。≫

(闇ギルド……暗殺とか、後ろ暗い依頼を請け負うギルド?)

 ≪表向きは諜報などを請け負っているようですが。裏では色々とあるようですね。≫

(な、なるほど……物騒なギルドってことだね。関わるのは止めておこう)


 それにしても、冒険者ギルドと商業ギルドくらいかなって考えていたけれど、この世界には色々なギルドが用途別にあるようだ。

 他のギルドに興味がでて知りたくなったら泉くんに聞けばいいか。


 ≪マスターは冒険者ギルドにご興味が?≫

(うん。金策を兼ねて冒険者登録したいなって思って。アイテムボックスに魔物の死骸いっぱいあるし……ずっと持っておくのも気持ち悪いから売ってしまいたいし、折角すごーい戦闘能力を持ってるんだから有効利用しようと思って!)


 ≪確かにマスターの力があれば、この世界の冒険者の頂点に立つ事も容易いことでしょう。お金を稼いで何か得たい物があるのですか?≫


(色んな街を歩いて前の世界との違いを見たり、どんなものが売ってるのかお店を覗いたりしたいかな。気に入った物があれば買いたいし。美味しそうな物があれば食べたい。あと、調味料が欲しい……切実に)


 ≪マスターは人族の暮らしに興味があるのですね。≫


(うん、そうだね! 元の世界では人族だったからね。いきなり竜生ですって言われてもその暮らしがしたいって思わないかな……魔物を生で丸かじりとかしたくないし……)


 ≪承知しました。では、ここから460キロほど先に中規模の街がありますので、そちらへ向かいましょう。そこには冒険者ギルドもございますし、賑やかな市場や商店街もございますので、マスターの要望を満たせるでしょう。≫


(おお! いいね! 賑やかな市場に商店街! 楽しみ!)


 ≪現在の人化された姿ですとその街までは身体強化して駆け抜けても7日程掛かります。本来の姿ですと飛ぶスピードで変わりますので予測時間にズレがありますが数時間といった所です。どちらで向かわれますか?≫


(竜の姿で近づくと街が大混乱に陥りそうだから、50キロ程手前で人化しようかな。そこまでは竜の姿でびゅーんと飛んでっちゃおう!)


 という訳で、私はこの魔窟の森とも魔王の森とも呼ばれ伝承されている森とおさらばする事にしたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る