第27話
俺は考えたが、さすがに戦わずに論破だの何だのして終わらせることは無理だと確信した。だから、ある程度挑発して簡単に決着が着くようにすることにした。
「おい、お前。お前は最低なヤツだな。やっぱり何があってもアリスは渡せないし、アリスも渡されたくないはずだ」
「おい、どういうつもりだァ?まさかとは思うが挑発でこっちの判断力を削って有利に戦おうとかいう卑怯な作戦だったりしねぇよな?」
「そうじゃない。俺は事実を言っているだけだ。お前は、今からアリスを賭けて決闘するって言ったがそれはアリスを賭けの道具としてか、俺を殺す動機を作るきっかけとして見ているようなものだぞ。純粋に愛してるなら正面から奪いに来いよ」
「やっぱり挑発のつもりかァ、ガキ。それとも、お前の方こそアリスのことを純粋に愛してなんかねぇんじゃねぇの?」
「どのみち、アリスを賭けて争うつもりはない。奪えるもんならどんな手段でも使ってみな」
「お前、ちょっと表に出な」
俺がそのネローダとやら少年について外に出て行くと、急に火炎弾を両手からぶっ放してきた。俺は避けることなく敢えて直撃した。それでも無傷なことに驚きもせず、俺の方に殴りかかってこようとする彼に対し、俺は特別な一撃を用意してやった。
「これ、初めて使うからうまくいかないかもしれないけど、多分そう大した怪我にはならないだろうしこのまま喰らわせても問題ないよね」
「な、何で人間ごときに蒼い炎が出せ…」
俺はそのまま蒼い火炎放射を放った。少しの間、彼は無反応で立ち尽くしていたが急に地面を転がり始めた。
「熱いッ、熱い…!!何でアリス以外の俺たち
「さあね。前にアリスと僕が顔見知り程度だった頃に一緒に戦ってくれた時があったんだけど、その時に蒼い炎がどれくらいの熱さか確かめて、やってみただけだよ。お前らに蒼い炎は出せない。でも、俺とアリスには出せる。それに俺とアリスは両想いだ。もうお前が俺たちに関わることはできないぞ」
「ま、まともに決闘もしてないクセにその条件が通用するとでも思ったか」
「この条件を提示したのはお前、俺に外出るように言ったのもお前、先制攻撃したのもお前だ。だからこれは十分決闘だ。まあ、あとはアリス自身の意見次第だけど」
俺は傍で俺たちのやりとりを見ていたアリスの方を見た。アリスは薄笑いを浮かべながら俺のところに駆け寄ってきて、頬にキスをした。
「これで、レントさんは私のものだね。あなたは私のものじゃないから」
「こ、こんなはずじゃ…。クソッ、覚えてろ!」
ネローダは結局何っもできずに退散していった。これでハッピーエンディング…と思ったが、ティアの姿が見当たらない。
「あれ?すみません、
「その
「ありがとうございます」
アリスと抱きしめ合ったりしたいところだけど、とりあえず俺はその家の裏に行った。すると、ティアはしゃがみ込んで泣いていた。
「どうした、ティア」
「…やっぱり、まだ諦めないの。私、やっぱりレントくんがいい。アリスさんとは結婚してほしいんだけどな…。ねぇ、私はどうすればいいの?」
「大丈夫だ、アリスと結婚してもティアは俺の家族だ。だから結婚しなくてっも傍に居れるよ。だから問題ないだろ」
「え?別居したりしないの?」
「別居なんかする必要もないし、俺はティアが一緒に居て欲しいって思うなら結婚はしなくても傍にはいるぞ」
「レ、レントくん…」
「どれだけお願いされてもレントさんはあげないぞ~」
「アリスさんまで…。私、2人のこと応援するし、これからも一緒にモンスターの討伐とかしようね」
ティアは泣き止んだ。その瞳には、今までとは違う何かが湛えられていた。
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