第25話
ティアの実家で1泊し、俺たちはそろそろ家に帰ろうとしていた。でも、それは建前でこれからアリスの実家に行くところだ。
「レントくん、ティア、そしてアリス殿もまた我が家にいらっしゃい。いつでも来ていいからも歓迎するぞ」
「ありがとうございました。それでは」
俺たちは来るときに使った馬車を街まで行かせるフリをしてその道のりの途中で降ろしてもらうことにした。
「君たち、本当にこんなところで降りても大丈夫なのかい?最近、この辺りで
「え?そんな情報一切聞いてませんけど」
「儂たちみたくこの辺りを仕事で通らなきゃいけない人間には知らされてるさ。でも、もし一般人にこの情報が洩れるようなことがあったら野次馬が来て戦闘に巻き込まれたりして死者が出ちまうだろ?だから一般人には知らされてないんだ」
「まあ、警告ありがとうございます。でも、【炎王】の能力があれば火炎精霊の魔法なんてすぐにでも無力化できますから」
「そうかい、頼もしいねえ。まあ、2人もべっぴんなお嬢ちゃん連れてるんだからそれくらいじゃなきゃね」
*
俺たちが馬車から歩きに切り替えて火炎精霊の里へ向かい始めて十数分が経ったが未だに戦闘らしきものは一切見当たらないし、爆破音やそれらしき音は聞こえない。
もしかしたら、あの運転手のおじさんの冗談だったのかもしれない。そんなことを思っていた時、顔に水のようなものが当たった感覚がした。
何があったかと周りを見渡すと、ティアは驚いたような顔をしながら尻餅をついていた。アリスの方を見ても、何故か引き気味だった。
「え?何かあったの、今」
「何かあったの、じゃなくて、今思いっきり炎の弾がレントくんの顔に…。え?無傷!?あんなマグマみたいなのが当たったのに!?」
「も、もしかしなくてもだけど俺、無意識のうちにスキルで攻撃を防いでたの?」
「そ、そういうことになるけど…」
空を見上げると、2人の
「や、やばいかも!?レントくんもアリスさんも一旦逃げよう」
「待って。あれ片方私のお父さんなんだけど…」
「え!?」
そして、アリスはその火炎精霊のおっさんに近づくと声をかけた。
「お父さん、一体何やってるの?」
「お、お前は、アリス…。なぜお前がここに…?」
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