第2話
ティアにある程度【炎王】について教えてもらった後、俺は書斎にいるセリオスのところへ行った。
「お父様、ティア
「どうした、急に。【炎王】について何が知りたい?」
「その、できれば発動できる魔法やこのスキルの能力を教えてもらいたいんですが」
「誰か、今日のステータス計測で発動している子でもいたのか?」
「いえ、発動したのは俺です」
「おいおい、さすがに大人相手にそんな冗談は通用しないぞ」
「じゃあ、【鑑定眼】が使えるお母様に見てもらえば本当かどうか分かりますし、見てもらいますか?」
「そこまでの自信が…。まさか、本当に発動したのか!?」
「だから、さっきからそう言ってるじゃないですか」
「そ、そうか。じゃあ、【炎王】について教えよう。ティアからは【炎王】が本来人間に発生しないスキルだってことは聞いたな?」
「はい」
「その理由は、そもそも人間が火炎魔法を得意としない種族だからだ。これが常識になっている所為で人間はそもそも火炎魔法を覚えようとしない」
「つまり、他種族との交流や何かしら特別な理由がない限り人間が火炎魔法を覚えることはないとおいうことですね」
「そうだ。しかも、火炎魔法が使える種族でも【炎王】の発動率は低い上にもしも発動すれば
「そういえば、火炎精霊は人間など他種族に触ると火傷させるから人間と関わるのを避けてるって義姉様が言ってました」
「だがしかし、【炎王】持ちは寒さにも暑さにも異常な耐性がつく。故に火炎精霊とも交流が持てるのだ」
「そうですか。つまり、俺が火炎精霊と人間の橋渡しになることもできるんですね」
「だが、火炎精霊の体温は100度か500度くらいで個人差がある。お前がどれくらいの温度まで耐えられるかは知らないが、全ての火炎精霊と交流することができるとは思うなよ」
「はい。それで、火炎魔法にはどのようなものがありますか?」
「手や口から火を出すだけの【炎王】が使える者なら簡単に習得できるものから、たくさんの魔力を炎に込めて標的に飛ばして爆発させる魔法まである。まずは、自分でイメージして撃ってろ」
*
俺とセリオス、そして暇そうだったティアの3人でどこかの広大な草原に来ていた。
「この近くには
「はい!」
そうだな…。折角だし、ここは一発全力でぶちかますか。魔力を炎に込める…。いや、それよりも炎を圧縮しよう。それなりに多くの炎が圧縮できたら魔力をコーティングして…。
「できた!」
手の中にはハンドボールくらいの大きさの火の玉があった。
「これ投げるから、見ていてください」
俺がそれを力いっぱい遠くに投げると、一瞬それが消滅したように見えた後、物凄い音とともに広範囲を巻き込む大爆発が起こった。
「さ、さすがは俺の息子…。こんな威力は初めて見た…」
「レントくん、すごいよ!」
2人はそう褒めてくれた。前世はあんな終わり方をしたけど、今世はこの力を活用して大切な人たちを守っていこう。
魔力を使い過ぎた所為なのか、俺は倒れてしまった
*
目を覚ますと、そこは光に包まれた謎の空間だった。まさか、俺はまた死んだのか?
「すまない、強引な手段で君をここに連れてきてしまった」
「すみません、あなたは誰ですか?」
「私は創造神だが、名乗る名などない。好きなように呼んでくれ」
「じゃあ、創造神様って呼びますね」
「そうか。そして、今君をここに連れてきたのには訳がある」
「【炎王】に関することですね」
「ああ。【炎王】が発動したことは君の死因に関係がある」
「それって、俺が火事に巻き込まれて死んだことですか?」
「ああ。俺は炎に呑まれながらも勇敢に死んだ君に【炎王】だけ与えて記憶は消してこの世界に転生させるつもりだったんだがな。私が君の記憶を消そうとした時に転生待ちの誰かが私に言ったのだ。『レンさんの記憶を消すのはやめて!』と」
「その呼び方…。まさか、愛梨沙も死んだんですか!?」
「私は私が転生させた者の顔は覚えるが名前は覚えていない。すまないな」
「そうですか…。それで、その人はどうなったんですか!?」
「さぁ。その者は前世のような悲しい別れを迎えるくらいならば人間に関わりたくないと言っていたから火炎精霊に転生させてやったことは覚えている」
「そうですか」
「君、私と約束してほしい。その力で人を傷つけるようなことは絶対にしてはならないぞ」
「はい。この恩恵に感謝し、約束いたしましょう」
*
目を覚ますと、セリオスとティアが俺の顔を覗き込んでいた。
「ごめんなさい、お父様、義姉様。心配かけましたね」
「いいさ。それより、帰ったら冒険者学校の合否通知が届いているはずだ。帰ろう」
「はい」
俺は無事に合格していたことが分かり、冒険者学校で6年に及ぶ学びの6年が始まっ
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