その4 ゲームセンターでアルバイト(1)
大学進学し、地元を離れる。全く知らない場所、当然知り合いはいない。どこに行くか?そりゃ、ゲーセンでしょ!通学用に駅の場所は調べてたんだけど、商店街があるって知らなくて、一人暮らしを始めた場所から歩いていける距離。まだ大学入学する前に散策していると、小さなゲーセンが駅前と商店街合わせて5店舗あった。それぞれが独立店。初めてづくしの不安な気持ちを隠すように、通うよね、そりゃ。
それから、大学でも知人・友人が出来て話すようになると、バイトの話も出てくるわけで、自分の行動は自分の稼ぎでどうにかしないとね、となるわけでして。
周りの人たちは、コンビニ、飲食店といった確実にシフトに入れたり、時給の高い内容を選んだりする。個人的に体力に自身がないし、慌ただしい職種って向かないことは分かっていた。こういう文章書いてるんだもの察しがつくよね。そう、通っていた5店舗のゲーセンの中から、バイト採用してくれるところでゲーセン店員になれないものかという挑戦。
実際、募集がかかっていたのは3店舗で、まず制服がある店に問い合わせて面接に行った。そこで言われた一言。
「え、バイト経験無いの?」
高校は余程の事情がなければバイト許可下りなかったし、知らない土地で少し慣れるだけでも時間かかった。当時大学2年生になった頃、周りにはバイトしない人もいたんだけどな。
で、結局採用されたんだけど、条件はあった。髪染め禁止、店員制服着用。そもそも、髪染めてなかったけど当時は、茶髪~金髪が非常に増えた時期だったので、接客業だから黒髪でという会社方針だったみたい。他の近隣ゲーセンでは制服なし、髪色自由だった。
この採用されたゲーセンは、その県内に数店舗構えており、家族経営の会社。まぁ方針がコロコロ変わる。その経営者一族は皆高級外車に乗っていたので、他事業でも儲かってた模様。
ゲーセンって、テナント代、光熱費がすごいかかるので維持するの大変なんだよね。大手なら、イベントも多かったみたいだけど、自分がバイトしていた数年で一度もイベントはなかった。ゲームトーナメントはよそのお店であったみたい。だって、この頃って、対戦格闘ゲームに3Dが加わって、「バーチャファイター」や「鉄拳」のシリーズが大人気で、それに他対戦格闘もドンドン新規参入されていた。全国大会も多く開かれてたね。
当時のゲーセン店員は、小さな店舗だと店員もいっしょになってゲームして遊んでいるイメージをもたれていたがバイト先は、勤務時間だとそんなことはとても無理。吸い殻や空き缶片付け、吐き捨ててあるガム取り、椅子並べやること多いんだよ。たまに、対戦で負け、台をバンと叩く人がいるので、牽制する意味で店員がウロウロしていないと無茶苦茶されるんだよ。画面にツバ吐かれてたり、飲み物こぼしてたり。
大体、お客さんであるゲーマーの方々は主戦場となるお店があるので、マナーの悪い客がいると、ゲーマーがお店を離れるか、マナーの悪い客を追い出してくれるかを見かけることがある。自分のバイト先では大きなケンカはなかったけど、騒ぐ客はゲーム内でボコボコに打ちのめされて、二度と来なくなる。こういう点でもゲーセンは社交場だと思う。人付き合いを学ぶし、礼儀も覚える。
お客さんは、友人同士で集まって遊んでいる場合もあれば、ゲーセンでの知り合い、ゲーマー交流が生まれることも多かった。そこから、チームが発生することもあり、攻略チーム、対戦格闘チーム、シューティングゲーム専門チーム等。ワタシはバイト店員として、各チームの方々と挨拶したり、話しができるようになったのはバイトして良かったなと思っている。普段、恐い印象の方もいるんだけどゲームを通じて親しくして頂き、他店ゲームセンターの話題やワタシもゲーマーではあったので、ゲーマー同士としての交流も行われた。
例えば、どこのゲーセンだと何というスコアネームの人が最強とか、どのゲームをするかによってゲーセンを使い分け、よりうまくなり強くなるにはどうしたらいいかを気軽に話し合えた。現在だとインターネットでやりとりするようなことが、実際の会話で行なうので、個々のゲーマーってシャイな方が多く、どう話したらもっと会話に乗ってくれるかな?とか、会話の仕方と距離感を覚えるきっかけだったことを思い出す。
また、仲良くなると、20歳そこそこの店員に、ゲーマー同士のいざこざやチーム内意見対立の愚痴を年齢不詳のおじさんゲーマーが話してくれる。多少の信用を得られたことは理解できるが、聞いたことない対立抗争の展開を長々と話されると、愛想笑いしかできなかった。貴重な体験だったけどね。
さらにゲーマー話。ゲームがうまい人って年齢関係ないんだよ。当時、本当にうまいなって思う方が高校生で店内スコアランキングに常に上位で一目置かれていた。ある程度、バイト経験が慣れてきた頃にワタシがハイスコアランキングの担当となった。店内のランキングボードの記入や雑誌ゲーメストへの投稿文章も任され、その高校生と話す機会があった。何度か担当として応対するうちに、腹ペコ高校生ということが分かって、バイトの休憩時間に「ワタシが通う近くのラーメン店あるけど一緒に行く?」と聞いたら、見事についてきた。誘ったので、もちろん奢る。バイト代があるので。それから、ゲーム話をするためにラーメン屋に行き、またバイト先に戻って
こちらがゲーム攻略を習うことが続いた。今でも思うことは、共通の楽しめることがあると、年齢は関係ない。変なプライド持っていると損をする。面白いと思うことを楽しまないと、もったいない。
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