その3 学生時代(2)

 もうひとつ初めての事。この大学近くのゲーセンには2階があって、そこは決して広くないものの、すごい人数の男衆が背中を丸めてゲームをしていた。2階部分は昔ながらのテーブル筐体。そう、麻雀と花札、ポーカー。もちろん脱衣。ワタシは麻雀が分からないが花札は知っていたので、花札で脱衣ゲームデビュー。

 元々は、友人が脱衣麻雀でHボタン連射してて、なんだこの世界は!と思っていたが、ワタシは花札でボタン連射。若干大人の階段をのぼりした印象。ゲーセンの1階・2階でこんなに客層違う?ってくらい熱量が違った。学生だけでなくスーツ姿の大人もいた。大人の場合、ボタン連射せず、缶コーヒーを嗜みつつ

画面をまじまじと見ておられました。こういうのも、社交場。プレイ中の人を邪魔せず、騒がず、遠くから友人と静かに見守る。えぇ、距離感大事です。


 この大学近くのゲーセンに通い出した頃は、「ファイナルファイト」等のベルトスクロールアクションが次々に出るようになり、格闘ゲームが面白いんじゃないか?と騒がれだした頃。他には「ウィロー」「コラムス」「ボナンザブラザーズ」も楽しかったし、前記した出た「カベール」のような球体を転がしてキャラクタを動かす

種類が増えていた。サッカーやボウリングのゲームも多くあった。パソコンのマウスをひっくり返せば似たような構造、操作感だから、発想の転換ってやつだね。


 高校生になると電車通学になったので、もっと行動範囲が広がる。しかし、駅と駅の間にゲーセンがあったり繁華街に近いゲーセンだと、1回分の料金が高くなったりして、気軽に遊びにくくなる。

 その頃は、ゲームセンターの雑誌「ゲーメスト」がもっと知られるようになって、攻略記事もこぞって読んだ。対戦格闘ゲームが出たんだよ。ストリートファイターⅡが爆発的に人気となり、全国各地にゲーセン聖地が出来て有名なお店は、かなり盛り上がっていた。でもね、その有名な聖地は駅から遠く、気軽には行けなかった。また、対戦台ばかりで練習台というのがなく、当時は慣れないコマンド入力を練習していると対戦が終わっていることも多かった。

 なので、「テトリス」をコツコツやったり、「クイックス」という陣取りゲームの発展版「ギャルズパニック」をやっていた覚えがある。ちまちました陣取りをして規定範囲を獲得すれば、女の子キャラクタのアハンなシーンが見られる。男子高校生が数人集まれば、そういうもんですよ、えぇ。


 この当時で印象に残っているのは、4人同時に出来るレースゲームが増えた。F1やバイクレースが盛んにテレビ放送されていたし、人気もあった。こういうことからも分かることが、技術進歩が凄まじかったのかな。画面の使える色が増えたとか、音の厚みもすごく変化したように思う。レースゲームだと、実際の音のようなエンジン音が店内に響いていたし機械音じゃなく肉声を流すゲームもこの頃増えたんじゃないのかな?

 そういえば、レーザーディスク(LD)を筐体内に収めたゲームも出たと思う。現物は見たこと無いけどLDって映画やカラオケに導入されてもゲームに使えるんだって驚いたことを覚えている。2000年代前後辺りでセガやカプコンが基板にディスクROMを使って多くのゲームを出しているが、LDって30cmくらいはあるでしょ?

あんな大きな物を筐体に設置するって、ま、大変よねぇ。しかし、ゲームの幅や可能性を広げるためには、実写や音声取り込み等、いろいろ実験していく必要がある。人柱じゃないけど、先駆者の苦労って計り知れない。


 ゲーメストでは新作チェックはしていたものの、次第に受験が近づくと、やはり遊んでいられなくなる。そうして数ヶ月経つと、地元のゲームコーナーが入っていた商業施設が倒産したり、個人書店が閉店。身近にあったアーケードゲームを楽しめる場所が、ちょっとずつ減っていった。ショッピングモールというのがじわじわと地方にも進出して、環境が変わり始めた頃だったと思われる。

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