第2話 何しに来てんだよ

 体入体験入店を経て仮入店のお試し期間も過ぎ、ようやくキャストギルド登録が済んだ。仮入店の保証時給だけじゃ食べて行けず、ネットで断捨離を余儀なくされた。虎視眈々こしたんたんとトップを独走するあいつSランクは今日も猫撫で声で腕を絡ませる。


 許すまじ―――

 

 さてさて相手は歴戦の猛者もさ所謂いわゆるラノベ系の女勇者様なので、正面から戦って勝てる訳がない。先ずは己を知り敵を知る為に、お茶っ引き低ランク達が気になるコスメをスマホで検索しながら待機する席に腰を下ろす。


 私には神様太客女神様ベテランから与えられたチートスキルも無く、ましてや銀髪でも無く令嬢でも乳牛でも無い。ついでに車にも轢かれてないし死んでもいない。試しにステータスオープンと呟いてみればステンレスのオーブン?と友人に訝しげに顔を覗かれてしまう始末。


 今更ながらの中二病末期患者である。


 私には未だ顧客が居ない。業界用語で云う担当が無いのだ、先ずは此処から成り上がらなければなるまいよ。待ってろよ巨乳勇者。お前の上げ底パッドを引き抜いてやるからな、そして嘆き悲しめ禿げ爺ども。生乳はそんな上には付いてない。


 そう言えばと思い出し、大学時代の教授貴族の金魚のフンの中にキャバ王と呼ばれていた男を思い出した。彼女が居る身で有りながら口説いてきた不届き者だ。


 フムフムと少しばかり慮る。


 隣でピンク色の頭をしたお花畑姉ちゃんがツムツムにいそしんでる。ツムツム以前にオツムどうにかならんかね? その色はアキバイズムでしょ? 因みに此処六本木だからね。こうなるまいよと先ずは初級クエスト、薬草採取でもとスマホを探りラインをしてみた……



 悪知恵とは……




 



 悪い奴雑草にこそ行使するものである。

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