機内
ゴーッと音を立てながら、がたがたと揺れながら、飛行機は空をふわりと舞った。
地面ごと、体が上向きになる不思議な感覚に、緊張しながらも、飛行機は空へ上り続けた。徐々に上向きから平行になってゆくと、「ポーン」という間の抜けたような音が機内に鳴り響き、やがてベルト着用サインが消えた。
しかし、乗務員の声が聞こえた。
「ベルト着用サインが消えましたが、このさき、気流が乱れ、揺れが生じる可能性があります。ですのでそのまま、ベルトは着用し続けてください。」
その言葉を証明するように、機体がぐらりと揺れた。少し緊張しながらも、カツサンドが入った箱に手を伸ばすと、展開しておいたテーブルの上に載せ、なるべく音を立てずに箱を開いた。
香ばしいソースの香り、肉厚なカツ、それらをがっちりと挟み込み、きれいなサンドの形を作り出している、パン。それらは食欲をそそり、私を完食へと導いた。
乗務員から、リンゴジュースをもらい、ほっと一息ついた。ふと、窓を見るとクリームのような雲から、山の頂上が少し出ているのが分かった。
すると、機内にまた、乗務員の声が鳴り響いた。
「当機はまもなく新千歳空港に着陸いたします。早めにお手洗いを済ませ、シートベルトを締めてください。」
私は、シートベルトをきつく締め直し、席に深々と座りなおした。まもなくシートベルト着用サインが再び点灯し飛行機も細かく揺れるようになった。
やがて車輪を出す音が響き、地上の風景もはっきり分かるようになっていた。そして、強い衝撃が体に響いた。旅はまだ中盤。そう思いながら、ゆっくりと変わる外の風景を眺めた。
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