その四六 キュウリが枯れた
キュウリが枯れた。
来年用に黄色く熟したキュウリの実を採り、スライスしてプランターに置いておいた。こうしておけば実は自然と土に返り、残った種は土のなかで眠りにつき、来年、春の訪れと共に目を覚まし、発芽する……そのはずだった。ところが――。
しつこい残暑のせいで一〇月だというのに芽を出してしまった。
まさか、このまま育つのか?
そう思って不安にもなったが――。
ここ最近の冷え込みのせいで枯れてしまった。
まあ、そうだよな。いくら、温暖化が進んでいるとは言っても一〇月以降にキュウリが育つわけがない。そんなことになったら、来年の八月には気温八〇度を超えてしまう。もはや、温暖化どころではない。灼熱化だ。
人類滅亡まったなし!
の、事態である。
しかし、最近になって順調に気温がさがり、時季外れのキュウリは枯れた。これで、そこまでの事態には『まだ』至っていないことがわかった。
いや、正直、ホッとした。
まだ、しばらくは人類、生存できそうである。
で、まあ、それはよかったのだが、問題はキュウリの種。早々に発芽してしまって、来年用の種はまだ残っているのだろうか?
キュウリの種は多いから――キュウリのなかの白い粒。あれ全部、種である。念のため――数的にはまだまだ土のなかにあるはずだが、すべての種が発芽するわけではないからなあ。
うちのプランターには虫やらなにやらとにかく生き物が多いから、それらの生き物に食べられてしまうという可能性もあるし……。
果たして、来年、キュウリは自然は発芽してくれるだろうか?
刮目してまて!
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