その三六 夏野菜初物祭り
キュウリ。
ナス。
オクラ。
夏野菜の今期、初物が出そろった。
と言うわけでさっそくいただいた。味がはっきりわかるようにまずはすべて生でいただく。
まずはキュウリ。
甘い。
一口、食べてそう思う。それぐらい、甘味がある。と言って、果物や砂糖のいわゆる『糖』の甘さではない。ベタベタしない、くどくない。あとに残らない、それなのにしっかりとした甘さ。
なんとも不思議な甘さだが、これが野菜の甘さなのだろう。そう。野菜は本来、甘いのだ。
そして、甘いだけではない。特筆すべきはその香り。食べると口のなかいっぱいに香りが広がる。これもまたキュウリ独特の香りであって、メロンなど果物扱いのウリ科植物とはまたちがう。
さらに、身が締まっていて水っぽくない。しっかりと食べでがあって味が濃い。
そして、うまい。
そりゃあ、こんなの食べたら市販の水っぽいキュウリなんて食う気なくなるわ、と言うレベル。と言うか、自分でキュウリを作るようになってから市販のキュウリは本当に食べていない。と言うか、食べられない。それぐらい、別物なのだ。
次は、ナス。
ナスって生で食べるものだっけ? とか思いながらよく生で食べているが、別になんともないからいいのだろう。
さて、このナス。生で食べるとやはり少々のアクを感じる。しかし、そのアクの後からしっかりとした味わいがやってくる。キュウリのような甘さや香りはないが、このアクが逆に特徴となって『これがナスの味か』と言いたくなるほど、はっきりした味になっている。
そして、オクラ。
ポリポリした食感とネバつく感触。噛んでいるとネバネバの奥からジワジワと旨味と味わいが湧き出てくる。
噛むほどに味わいがます。
これこそ、まさに本物の証。味だけをとってつけた二級品は口に入れたときはおいしいが、噛んでいるうちに味も素っ気もなくなっていく。本物はその逆。口に入れたときにはさほど感じないが噛めばかむほどうまくなっていくのだ。
総評としてキュウリ、ナス、オクラともに味が濃い、身が締まっている。水っぽくない、と言う特徴がある。さすがに効率を無視してじっくり育てただけのことはある。これぞ、ベランダ菜園の醍醐味。そこらの市販品では決して味わえない風味である。
さて、これから夏本番を迎え、これらの夏野菜が本格的に採れだすわけだが、この時期にこれらの野菜を使ってよく作るのがヨーグルトスープ。
作り方は至って簡単。好みのヨーグルトをボウルにあけ、同量の水で溶き、そこに、トマト、キュウリ、ナス、オクラなどの夏野菜に、リンゴやキウイなどの好みの果物をすべてざく切りにして放り込む。さらに、オリーブオイル、ニンニク、レモン汁、塩、コショウをそれぞれ適量ずつ加えてよく混ぜる。あとは冷蔵庫で冷やして出来上がり。
簡単に作れる上に火を使わなくてすむという夏には実にありがたい一品。ボウルひとつで作れるので洗い物が少なくてすむのもいい。ひとりで食べるならボウルから直接、食べてしまえばいいから食器を洗う必要もなくなるし……。
甘くしたいなら好みの甘味料を混ぜた上で、皿に盛りつけたあとにハチミツをかける。ハチミツは好みでいいが、手に入るならオレンジハチミツなど柑橘系の香りのハチミツを使うと果物類とよく合うだろう。甘味を強くすればそのままデザートにもなるし、健康的な夏場のひんやりスイーツにもなるという便利な一品である。
このヨーグルトスープ、たいていの料理に合う上に、野菜と果物がたっぷり入っているので豊富なビタミンと各種機能性成分とを補給できる。さらに、ヨーグルトなのでとりにくいタンパク質とカルシウムも簡単に摂取できる。水で溶いて薄めてあるので胃への負担も軽い。
とくに、肉や揚げ物など脂っこい料理に合わせるとさっぱり風味がよく生きるので、総菜を買ってきて合わせれば、火を一切、使うことなくボリュームたっぷりで栄養バランスも良いという立派な食事が出来上がる。
こんな暑い日に火を使った料理なんてしたくない!
というときにはぜひ、お試しあれ!
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