焼きそばと壮也

「なあ、お前本土出身なんだな」

さっきの目つき悪めの男子が自己紹介の後話しかけてきた。

「そうだよ。島に来てまだ少ししか経ってない」

「珍しいな。こんな田舎に。なんて名前だっけ?お前」…まじで?もう忘れたのかよこいつ

「涼太。立花涼太。でー…君は壮也だっけ」

「そーそ。この学年のやつはほとんど同じ中学の繰り上がりなんだよ。外部だけは受験しなきゃ何だけど。謎だよな」だから本土の人が珍しいのか。

「なあ今日放課後うちに寄って来いよ」壮也が言う

まあ、新学期早々友達と仲良くなれるのも嬉しい。

「ああ。いいよ」

「じゃ、せっかくなんだし連絡先交換しようぜ」

……「えっと、スマホ…本土の家に置いてきちゃって」あぁ。しまったーと思いながら頭を掻く。

「お前面白い奴だな!電話手段ないとかマジ?」

「マジ。すまん。」

初めて見た印象よりもいい奴そうで良かったよ。本当に。だって怖かったもん、最初。

結局一緒に彼の家に行くことになった。

「お邪魔しますー。」 「お邪魔されまーす。」

「何だよお邪魔されますって…」意味深な奴だ。

「ちょっと待ってな、腹減ってるだろ?」何故か三角巾&エプロンをつけだす壮也。

「うん。そーだなー確かに。」今日は朝も昼もパンしか食ってない。

畳の間で何分か待つ。しばらくすると台所の方からいい匂いがしてきた。

「ほい、お待たせー」熱々の焼きそばを用意してくれた。まだ湯気がたっている。

「おおっー!うまそ!いただきます。」

お腹が空いていたせいか、どんどん口に入る。

「俺の父ちゃんが焼きそば屋やってんのよ。だからレシピ伝授してもらった。」

「まじでうまい。さんきゅーな。」

「あとな、一個言っとく。うちの学年5人じゃん、今日言った通り、そのうち俺含む3人は同じ中学からの繰り上がり。だから、さ、友達づくりがんばれよ、まあ既に俺が友達1号だけどな!ぼっち回避だ!」

焼きそばを食ってる俺を見ながらニッと笑う。

その壮也の顔を見てると安心して、この学校で良かったと少し思えた。





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