11人の高校
夜中、中々寝付くことができなかった。
明日から学校が始まるので、どうにかして寝ようと試みたが眠れなかった。
ベットに横たわる。
横にあるベットライトを消して暗闇に染まる。
波の音だけが一心不乱に聞こえる。
昼間とは違って穏やかな音。
一定のリズムをずっと永遠に続くBGMのように刻んでいた。
隣の時計の秒針ががカチコチとメトロノーム代わりかのように鳴る。
元々住んでた場所じゃこんなものは聞こえなかった。聞こえていたのは酔っ払いの声とパトカーのサイレン。そんなものは別世界のような夜中だった。
――――――
陽の光が差し込む。
まだカーテンすら取り付けられていなかった窓だったので眩しくてしばらく目が開けられなかった。
日の出を見ようとつけたアラームは消してあった。
…ん?待てよ今何時だ?
すぐに時計を見ると登校時間まであと10分。 ……これは流石にヤバくないか?
ハンガーに掛かった制服を掴み取り、早急に顔を洗う。朝食なんて食べてる暇なんてない。
リュックサックを背負って急いでドアを閉めた。
黒の自転車に乗ってできるだけ早く漕ぐ。
潮の臭いが鼻から離れない。慣れない制服はブカブカで自転車に乗りにくい。
すぐに学校の正門をくぐり、誰もいない階段をダッシュでかけあがる。
先生になんて言おうかも考えずに後のドアを開けてしまった。
…4人だけ?
「だれ?お前」真っ黒に日焼けした目つきの悪い短髪男子が座りながら体ごと後ろへ向けて聞いてきた
「ああ、え、と、」
「立てみんな、体育館行くぞ。入学式だ」小麦色に焼けた肌をしているちょっとワイルドな感じの教師が言った。
唖然と棒立ちをしていたが、ハッと意識が戻った。
何だこれは。4人?そんなこと聞いてない、
―――「うららかな春の日差しが指すこの良き日に5名の新入生を迎えられたことを嬉しく思います。えーみなさん。ご入学おめでとうございます。えー本校は計11人という少ない人数の学校ですが、えー……」と長い校長先生の話を聞いていた。
どうやらこの島は少子高齢化が進んで学校が廃校になっていったそうだ。島には2つしか学校がない。
え…と。どうしようこの高校生活。
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