ガンバレ!努力くん

怪人トウフ男

“科学は現実にあわせて理論を変えていくんだよ。理論にあわせて現実を変えるのは神学っていうんだよ。真逆のアプローチだよ馬鹿”の巻〜

努力くん「みにくいアヒルの子って努力してないよね?」

ゼンナミちゃん「わっ、びっくりしたぁ。突然でてきてどうしたの努力くん」

努力くんはゼンナミ・アスカ・ラングレーちゃんの頭の中にすんでいます。お昼の3時になるとゼンナミちゃんの頭からでてきて、2人でおやつを食べます。今みたいに世の中になにか物申したいときもでてきます。


努力「醜いアヒルの子って努力してないくせに幸せになっててムカツク」

ゼンナミちゃん「そうなの?」

努力「だってあいつ、漫然と池で暮らしてただけだぜ。それなのに綺麗な白鳥になるなんて良くないよ!ぼく、努力してないのに幸せになる奴がこの世でいちばん許せないんだ」

そう喋る努力くんの拳は怒りでぶるぶる震えていました。


ゼンナミ「でも努力くんこの前、自分で言ってたよ。『努力しても成功するとは限らない。でも成功者は須く努力している』って得意気に。その論理でいくと、醜いアヒルの子は成功者なんだから、『隠れて努力してました』って結論になるんじゃないの?」

努力「ンならないッッ!なぜならッ醜いアヒルの子はつくり話だからッ!現実の話じゃ、ないからァアアッッ」

ゼンナミ「釈然としないなあ」


ゼンナミちゃんは考えました。(努力くんの問いって根本からおかしいんだよな…この前は“浦島太郎って努力してないよね?”だったし、その前は“のび太じゃなくて出来杉の元にドラえもんが来るべきだよね?”だったし…優秀な出来杉だったらそもそもドラえもんは来ねえだろ…なに言ってんだ…なんもかんも目的論的に考えやがって……社会福祉の観点がゴソッと抜けおちてんだよな…メンドクサイなぁ…付き合ってあげる私も私だけどさ。私って努力くんのことが好きなのかな…友達だから…大切な友達だからだ…ううん、きっとそう。)と、ここまで考えたあと、ゼンナミちゃんは重い口を開きます。


ゼンナミ「醜いアヒルも悩んで苦しんで…自分から幸せを掴もうとしてたじゃない。だから水面に映る自分の姿に気づけたし、最後は新天地を目指して飛び立ったわけだ。それって醜いアヒルなりの努力といえるんじゃない?」

努力「あ、それは努力じゃないですね。悩んだり葛藤したりは努力じゃないんで。時間の無駄なので。解決手段以外は努力じゃないんで」

ゼンナミ「悩みや葛藤は努力じゃないんだ…解決に時間がかかる問題もあるんじゃないのかな…まるっきり無駄な機能が淘汰されずに残ってるなんてあるのかな…なんか合理的な機能があるんじゃないかな…」


努力「あと自分を変えずに周りを変えようとするのは僕的にNGかな。環境とか社会とか周りの誰かのせいにする奴はぼく嫌いなんだ。異世界に転生するのは努力とは認められないよ。ホラ、少佐も言ってただろ。“世の中に不満があるなら自分を変えろそれも無理ならウンタラカンタラ…」

努力くんは腹の立つシタリ顔で草薙素子の台詞をそらんじます。


ゼンナミ「努力くんって選挙の意義とか考えたことなさそう。(あと攻殻もライ麦畑も読んだことなさそう…)」

努力「いや、ミクロとマクロの話は違うからね。あくまで個人の他責思考についての話ね。社会問題とかそんな話じゃないから」

ゼンナミ「(努力くんってミクロとマクロをどこで区切ってるのかな…?個人的なことは政治的なことってこの間いってたのに…)」

努力くんもゼンナミちゃんも物理学に明るくないのです。


努力「もらった力もゆるせないかなー」

ゼンナミ「ああ、だからうちはサスケに怒ってたんだ」

努力「そうだよ。大蛇丸に貰ったチカラで威張るのは僕的にNG」

ゼンナミ「でも、どんな能力だって元を正せばどこかの誰かに貰ったものだと思うけどなぁ。現に勉強は先生に教わってるよ。誰かから力を貰おうとするのは自然なことなんじゃないかな」

努力「でも指導者のせいにする奴がぜったいでるからね。ぜったいでるからね。良い力を得るために良い指導者を探すなんて僕はゆるさない」

ゼンナミ「努力くんはとにかく他人の他責思考が許せないんだね…(努力くんは別に指導者でもなんでもないのになんで指導者側の肩をもつんだ…)」


ゼンナミ「努力くんってべつに努力してないよね?」

努力「…し、し、してないけど?だからなに?努力してなかったら努力を語っちゃ駄目なんてきまりがあるの?法律?どの法律?法律に書いてあっても駄目だよ憲法にかいてないもの!」

ゼンナミ「愉快なくらい動揺するじゃん。そこは努力してるって言い張りなよ」

努力「寿司を握れなかったら寿司の味を批判しちゃだめなんですか!?ほならね理論はただしいんですか??」

ゼンナミ「もういいよ」

努力「寿司を握れなくても寿司の話はできる!寿司を握れないなら寿司を握れないなりの観点でモノを言えるから!!寿司を握る技術と寿司を食べる技術は別だから!」

ゼンナミ「寿司の話はしてない」(パァアン!パァアン!パァアン!【発砲音】)

ゼンナミのオートマグVは3発の.50AE弾を発射して、努力くんの肉体を文字通り粉微塵にしました。さっきまで努力くんの体の一部だったものは粒子になって空を舞いました。

ゼンナミ「くしゅん!…そうだ、わたし努力アレルギーなんだったわ」


ホウネンエビ「モンスターが現れたぞ!変質するよワグィィちゃん!」

ワグィィ「よしきたっ!」

♪キラキラ〜(SE)

説明しよう!鎮魂学園中等部1年出席番号1番ズルムケ・ワグィィちゃんは魔法で体を変質させることができる変質者(トランスフォーマー)なのだ!


ワグィィ「そこまでよモンスター!やたらめったらガソリンを注入するのはおやめなさい!」

ホールデン「…」

ホウネンエビ「あいつ、耳と目を閉じてガソリン撒いてるぞ…」

ワグィィ「要求があるならちゃんと言いなさいっ」

ホールデン「…」

ワグィィ「口もつぐんでる」

ホウネンエビ「ヘレンケラー型モンスターだ。ワグィィちゃん用心して」

ワグィィ「攻撃型のヘレンケラーはただの無敵の人でしかないのよっ!」

ホールデン「ニンゲン…ナゼカ…オデニ…銃ムケル…」

ホウネンエビ「喋った!」

ワグィィ「もう遅いっっ!(ドガッ)」

ババババ婆ァアン!

ホウネンエビ「すごいや木っ端微塵だ」

ワグィィ「サリバン先生に出会えなかった哀れな怪人……安らかに眠れ」


魔法変質者ラジカル★ワグィィ第3話「この世に不満があるから耳と目を閉じ口をつぐんでガソリンを注入する怪人」(終)


ワグィィ「やたらと内省的な怪人だったわね…」

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