三章 9
ニグレイ・マークレイは地上一階の『rk』本拠地の正門から通り(ストリート)に飛び出した。
(まったく、どうなってやがる……。最悪の取引だ……)
悪態をつきながら重い足取りで外で待っているだろう部下達のもとに駆け寄ろうとするが、
「————ッ‼︎ なんだ⁉︎」
暗がりの中で突如として自分を集中的に照らす何かがあった。
同時に、暗い視界が一気に明瞭になる。つまりそれは明かりだった。
しかし通り(ストリート)にそんな光源はないはずなのだが……。
「………………ッ………………‼︎」
しかし考えている暇はなかった。次の瞬間、ニグレイ・マークレイは息を飲んだ。
理由は単純。
「ニグレイ・マークレイ。なぜお前がここにいる……」
光源の奥から顔を覗かせたのは、市長として何度か顔を合わせたことのあるハリソンというアルバカーキのギャング対策を専門に活躍する警察官だった。
そしてその人物の背後からは五〇人を超える警察官がゾロゾロと姿を現してくる。そのうちの数人は衣服に赤い色の液体を染み込ませて負傷しているようだが、彼にその理由は到底理解できない。が、目をしばたたいてしまう程の光源に慣れてきたその時、
「————————‼︎」
彼の『MH』としての正気が搾り取られた。……なぜか。
警察官達の背後。そこには見慣れた『MH』のメンバー達がまるで草原で寝そべって昼寝でもしている様にして、周囲に赤色の液体を撒き散らしている。
「う………………………………」
そしてその光景を見た瞬間、彼の中の大きな糸が切れて、その場に膝をついてしまう。
ハリソンはそんなニグレイの様子を数秒間、ただ黙って見ていたが、やがて口を開く。
「……捕えろ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます