三章 0 たった一つの贖罪
その日の夜、大きく分類された三つの勢力は同時に動いた。
一つ、『MH』と『rk』というアルバカーキを席巻する巨大ギャング組織(ファミリー)。
一つ、アルバカーキ警察特別部隊ギャング対策本部先行および司令本部。
一つ、ディリオン、メリッサ、メムという誰も予想できない第三勢力。
それぞれにそれぞれの思惑があり、この夜に同時に動く。
アルバカーキの街並みは変わらず、夜は静かなものだ。
しかしその中で渦巻く悪意と善意は溶け合うことなく、真正面からぶつかり合って交錯する。
たとえそれが、犠牲なしには収集のつかない事態だったとしても。
個人、組織拘(かかわ)らず、各々の最終目的のために動き出す歯車。
止められず、誰も止めようとしない。そんな戦いが始まった。
この夜、物語は終末へ向かう。
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