ストーリー、プロット、ナラティブ、三幕構成、起承転結、シンデレラ曲線、ミステリーとサスペンスの違い

1/6 ストーリーとプロットの違い

※用語集的なメモです。タイトル通り、物語の構成的な面についてまとめたものです。

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 廣野由美子は『批評理論入門』において、ストーリーとプロットの違いを次のように定義しています。


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「ストーリー」と「プロット」は、一般に粗筋というような意味合いで、ほぼ同義に用いられる傾向がある。しかし、ロシア・フォルマリズム(Russian Formalism)から構造主義(structuralism)、物語論(narratology)へと至る文学研究においては、二つの概念は厳密に区別される。ストーリー(仏:histoire/露:fabula)とは、出来事を、起こった「時間順」に並べた物語内容である。他方、プロット(仏:discours/露:sjuzet)とは、物語が語られる順に出来事を再編成したものを指す。

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 この定義そのものは、きわめて明快であると言っていいでしょう。しかしながら、プロットという用語の扱い方は人によってだいぶ違っているようで、たとえばE.M.フォースターが『小説の諸相』で行なった定義を持ち出す人もいます。


 私はフォースターの本を読んでいないので、これは孫引きになってしまいますが、キーティングは『ミステリの書き方』でフォースターの言葉を引用しつつ、次のように述べています。


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「プロットについて定義しよう。物語ストーリーとは、時間の経過にしたがって事件を語ることである、とすでに定義した。プロットもまた事件を語るものだが、因果関係に重点がおかれる。"王が死に、次に王妃が死んだ"というのはストーリーである。"王が死に、悲しみのあまり王妃が死んだ"というのがプロットである」

 フォースターはさらにべつの例をあげている。

「王妃が死んだ。しかしだれにもその原因がわからなかった。だが、あとになってそれが王の死を悲しむあまりだということが明らかになった」プロットとは、このように、内に謎をふくみ、発展する可能性をもったものである、と彼は言っている。これは心にとめておくべきだ。

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 ストーリーの定義については同じものと見なしてよいでしょう。いずれも時系列を重視し、起こった出来事なり事件なりを順番通りに並べたものをストーリーと呼んでいます。


 一方で、プロットのほうにはズレがあって一致しません。前者は語られる順番が重視され、後者は出来事の因果関係を重視しており、同じ意味とは到底呼べません。

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