第31話 地下での戦い5

ノペルが両手に炎を灯しながらコボルトに向かっていった。


「バカな男だ!この数の魔物を見ろ!!」コボルトがそう言うとコボルトの回りに急に魔物が何十匹も現れた。


「この数に、お前一人で勝てるわけないだろう!」


「今、もしかして魔物を出していますか?」

 ノペルが走りながら言った。


「……はぁ?見てわからないのか?………お前、なんだその目は!!何故目を閉じている!!」


 ノペルがコボルトの目の前まで来た。

「生憎……俺は目が見えないんだ…、お前の魔法は効かない!!」

ノペルが炎の玉を至近距離でコボルトにぶつけた。


「ぐわぁぁぁぁぁ!!」


「お前は昔、村に来た時も同じ魔法を使って村のみんなを騙していたな…。あの時は目が見えていたこととまだ幼かったことで見分けがつかなかった。でも今なら分かる!お前は魔法で魔物の幻影を作り出しているだけだ!」


 ノペルは更に風でコボルトを吹き飛ばし、壁に叩きつけた。

「ぐぅぅっ!!!」コボルトが血を吐いた。


「目が見えない俺にはその魔法は効かない。観念しろ。」


「ぐぅ……おのれ、人間の癖に…。だが俺が使えるのは魔物を見せる魔法だけではないぞ。」


「なに?!」


コボルトが手を空中にかざした。

「ゼパード!剣を投げろ!!」


 コボルトに指示を受けたゼパードが直ぐ様自分の剣を投げた。


 剣は回転しながらノペルの方に飛んで来たがノペルはヒラリと躱す。


「こんなもの、どこが魔法だ……っ!?」

 剣を躱したノペルの背中を空中に浮いた剣が切りつけた。


「なにっ!この魔法は!?」


「クックック。先ほどの幻影を見せる魔法がヴィジョン〈虚像〉。そしてこの物を自由自在に浮かせ攻撃する魔法がフローティ〈浮遊〉。貴様にはヴィジョンは見えないから意味がなくてもこれは見えないからこそ貴様には手も足もでないだろう!」


 コボルトは剣をノペルの回りにビュンビュン飛ばし始めた。


「死ねぇぇぇ!!」

 剣がノペルの頭めがけて飛んできた。

しかし


 

 ボゥゥゥゥゥ!という凄まじい風の音がして剣は跳ね上がり天井に突き刺さった。


「……まったく、俺もサト子さんのことを言えないか。」


ノペルは一瞬で下から上に上がる強風を作り上げ飛んでくる剣を吹き上げたのだ。


「油断して背中を切られてしまうとは。」


「なっなっなっ……なんだお前は!!?」コボルトが動揺して尻餅をついている。


 ノペルは背中から血を流しながらコボルトの元へ歩いた。

「……ただの魔法使いさ。お前より強いな。さあ……お前が死ぬ時間だ。」

 ノペルがコボルトに手の平を向けた。


 

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