第5話 旅立ち
「うん、こんなもんでいいかな」
1日中泣いていた私はやっと動く気になり、アイザックを森の中に埋葬した。
墓と言うより土に埋めただけだったが火葬するわけにもいかず埋めることにした。
墓の前には[アイザックの墓]と書いた立て札を置いた。
(アイザックさん……私には何が起きてるかわからないけど…きっと魔王をどうにかしないといけないんだよね?私は行くよ。見守ってて。)
私はアイザックの言うとおり魔王を倒す旅に出ることにした。
私なんかが魔王を倒すなんて大それたことができるとは思わないが、きっと私がこの世界に来たことも意味があり、私にも何かできるかもしれないと思えたからだ。
……ここでじっとしていても自分の世界へ帰る手がかりもないしね。
それにしても私は一つ気がかりなことがあった。
アイザックさんは魔王を倒せ。と言った。
倒せとは殺せと言う意味なのだろうか?
あのモンスターも殺すのを嫌がっていたアイザックさんが?
………考えても仕方ない。荷物をまとめて出発しよう。
いざ、冒険へ。
……私は持っていく荷物などないことに気がついた。
カバンもないしスマホもない。
あるのはランラビと何週間も着ていてだいぶ臭いがきつくなった制服だけだ。
そういえばアイザックさんも服は2、3着くらいしかなかったな…
私はアイザックさんの乱雑に置かれている衣類を見た。
……………ただの布切れだった。
そういえば風呂もないし、トイレもない。(川か森の中でしていた)
そういう所だと思って気にしなかったが、城に行くのなら人は多いんじゃないか?
私は臭いが気になったが布切れを纏うのも嫌だったので臭い制服のままで行くことにした。
後は………何かあるかな。
………うん。なーんにもないや。
私はスカートのポケットにパンを一つねじ込んで腰に回した紐に棒を差し込んで出発することにした。
まってろ魔王!勇者サト子の出陣だ!
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