第24話 エピソード④

新人達は、分厚いAIテキストと過去のヴァンパイア戦の記録媒体をドサッと渡される


「一応テストあるから

〜本音ではやりたくないけどね」


言われたから「ハイっ」


アリサは素速く大きな動作で挙手し、理由を聞いた


「どうしてですか?やりたくないって」


「だって無意味でしょ?

最初っから答えなんか決まってるし?」


「???」


「こんなに多い資料でもね、出題者が生徒に答えさせたいポイントはハナから最初っから予め決まってるの


だからそれを出題者に示せばいい


でもそれが現場で正しいかと云えばそうともいえない

本能に勝る正答はないから」


「???」


「じゃぁ答え教えて下さい」


「いいわよ」

「?!?!」


ミオ教官はアッサリ細い首で頷く


彼女はピーッと銀色の特殊警棒を、指示棒代わりに魔法のようにひと息に伸ばす


彼等の頭上に浮かぶ立体映像にブスッと突き刺し、さも当たり前〜


ドンドン目的箇所を表示させまくりピタピタと光点でマーキングする



「取りあえずココとココとココが出るわね〜

確率的に80〜90%?ううんもっとかな?


去年とおととしも一寸言葉尻を変えただけで出題されてたからね


そこの辺りをやっとけば、合格ラインの80点は余裕で堅いわ」


「配点は?」


「全問正解で100点計算

だけどパートによっては傾斜配点の部分もあるから、どこがそうか気をつけて

問題数はよって少ないの

学生じゃ無いから」


「!!」


「まぁテストスコアの記録作りが目当てで、それ以上のハイスコアが欲しかったら私は知らないわ?


80点分を確実に取れる勉強をバチッとやって

余力を体と神経を休める方に廻すのも社会人としての世渡りのうちよ?


何と言っても命あってこその物種の職種だから

長生きしたかったらね」



毒気を抜かれたヒヨッコヴァンパイアハンター達は、兎に角言われた箇所を遮二無二猛勉強した



中央からリアルタイムで転送されてくるリモートで行う「テスト」

(体力テスト含む)


トーキョーの本部の「どう考えても環境が優遇されている」新人研修中の数多の新人よりも


この地方支部の数人の方が、ずっと成績は座学・体力共に上位だった



特にミオにゴゥゴゥムカついていたアリサは、自分でも予想外


〜トップテンに堂々名前を連ねることが出来たことには信じられなかった



学生時代、自慢では無いが〜

バレーボールに青春を捧げる余り、常に赤点すれすれだったのだ



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