第17話 エピソード⑰
銀狼イカロスは、警察犬訓練所も兼ねている施設に連れて行く。
「こんにちは、では彼を又宜しくお願いします」
「わーーーーイカロス、美人さんとお出かけ楽しかったか?」
彼女の手から、規則で首輪に繋がれたリードを渡された飼育員、背の高い揚羽はニコッとイカロスに微笑みかける。
「いーなぁおまえ、俺達の憧れのミオさんとお泊まりデートだろ?
クッソ羨ましいぞ?!なぁイカロス〜〜〜!」
グリグリとモフモフのホッペを、ビロンと伸ばしつつヨシヨシする。
「じゃぁね、イカロス、今度も一緒に頑張ろうね
〜あ、揚羽、これ向こうで購入した渋いお土産
お菓子よりも確実にお腹に溜まるでしょ?
皆でご飯の友で食べてね」
ヒョイッと突き出したのは飛騨牛A5ランクのみ、牛肉を甘辛く煮込んだ和牛の大きな角切りの佃煮の箱である。
ランプの宿の名物で、この施設の皆が心待ちにしている逸品だ。
一口、口に入れればその途端ぱぁぁ〜〜っと天国♡〜な、蕩ける絶妙なショウガ香る味付けがもぅ堪らない。
「あざーーっす♪」
「なんて言ってもこの職業、体が資本だもの、真空パック人数分チャンと入っているから喧嘩しないで分けてね」
「いつもすみません〜〜〜」
スンスンと名残惜しげに、鼻を鳴らすイカロスを姿勢を落としてギューーーッと抱き締める。
べろべろと思いっきり舌で舐められたが、これも定番の何時もの事〜
お別れの儀式だ。
しばしイカロスの好きにさせて、落ちついた頃合いを見計らい訓練施設の揚羽から別れた。
ウォーンと銀狼の発する世にも悲しそうな唸り声が仕方が無いとはいえ、やはり胸にズキンと来る
とはいえ、街中では絶対に飼えないので仕方が無いのだ。
ここに居る限り万全なケアを受け、安全に生活する事が出来る。
後ろ髪を引かれる気分で、イカロスとお別れをした。
ーーーー切ない
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