第8話 エピソード⑧
優秀な警視庁科捜研の話では「血液の露出が無かった」
明らかに殺害現場(?)とされる現場に血痕の跡、ルミノールが血液中のヘモグロビンに反応して化学発光するルミノール反応が無かったのだ
「そんな筈は無い」
では!と、威信を賭けてそこら中を大替光源で、特殊専用ゴーグルをはめた技官が必死に最先端光学機器で慎重にライトを当てて広範囲を捜査した
ーーーーだが結局、何も出なかったのだ
色の違いは、単純に言えば「波長の違い」だ
多くの物質は特定の波長で光を発する
だから通常の色=波長では見えない物が、波を少しずらしたりすることで見事フワッと浮かび上がったりする
一般的に藍色は体液系、血液や汗、精液などの分泌物
強い紫外線を含む、文字通り紫色の光は、体液や打撲痕等の発見時に有効だ
だから「常識ではアリエナイ」という、受け入れがたい結論にならざるを得なかった
そして「もう一つ」ーーーー
被害者間の、二人の間に出来た幼い子ども
事件当時、彼等の側にいた筈の〜
明らかに未就学児と思われる幼児が、忽然と行方知れずになっていた事が非情に問題視された
「人身売買を大いに予測される」ビックデータで判定されたのだ
将来の税収をになう筈の彼等丸ごとの消失は、政府的にも「宜しくない」
人心の不安を煽る材料はセンメツせしめるべき
決して被害者を悼む優しい理由なんかじゃない
ヒトデナシな合理的理由
だから予算付きで「依頼」、オシゴトがうちに降りてきたって訳だった
哀れヒモノになって発見された被害者達、若い夫婦には全員幼い幼児か新生児
特に「イヤイヤ期」に当たるまだ乳幼児期といって良い年代
子育て経験のない若夫婦の元には、なかなかに頑固で手こずるお年頃の子どもが例外なく存在した
人の成長として当たり前の「自我の開花」
〜「反抗期」
コレに差し掛かる月齢キッズを授かっていた事ーーーが
私の意識にぶすりと、抜けない棘の如くに奇妙にチクチク引っかかっていた
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