第4話 エピソード④
「ぁ~~疲れた~~~」
レッドの愛車から出るなりベルギリウスは、ひゅーっと急に哀れっぽい情けない声を出し私にしな垂れつく
「頭使ったからしにそーー」
「嘘ばっか」
何言ってんのッッ!
ほぼ不死のハーフのヴァンパイアがそう簡単に死ぬ訳無いし?
スッポリと腕の中に閉じ込められてチュウと唇を奪われる
「ぅふぅ」
「口開けて?」
堪らない蕩けそうな甘い言葉が吐息と共に囁かれる
ハンターの粘膜から直接生体エネルギーを奪うのが純度が最も良質かつ、肉体に満ちる効率も言う事無しらしい
「駄目」
「うわぁ〜〜ん、だって1ヶ月目だもん!!
僕だってこのタイミングでお仕事はとっても疲れるんだよー
それに今から重度の肉体労働の猟犬のお仕事でしょ
ちょっと我慢してー
我にお慈悲を~~~~~~!」
あ〜〜〜〜もぅ……っっっ
プンッと唇を尖らせ拗ねたような顔をされると、しょーがないなーと溜息をつく
これも給料の内だし?
ーーー黄昏までまだ少しあるし
まいっか
「やたっっ♪」
……だからそんなに愛おしくピタッと抱き締めないでったら!
ーーーーーーー
ーーーー
ーーー
「きゃん!!」
「しつこいのは嫌い」
私は限度を超えてずぅずぅしい、図に乗りまくるベルギリウスの金的、股間を膝蹴りで軽くキックする
「〜〜〜〜〜〜!」
「だから調子に乗りすぎよ!」
ベルギリウスはキャウンキャウン、大きな両掌~
両手で押さえながら体を折り曲げ悶絶した
「酷いよぅ、これから『猟犬』~仕事
僕、使い物にならなくなったらどうすんの
ミオ困るでしょ?!」
「それはコッチの台詞でしょ」
何やってるのって呆れ果てた私は、愛車トランクを開けるレバー
〜つまり後部トランクルーム壁面にある車のロゴマークをガシッと持つと、勢い良く上向きに引っ張り上げる
しょうもないエロスに走った自業自得の彼をほっておき、最大限に荷物置き場を開放
〜先ず一番に、内蔵の小型クーラーボックスより目的物をつかみ出す
「んーーーもぅコレコレ♡」
きゃぁ、イイ感じに飲み頃にひえひえのエナジードリンク♡
キュキュッ蓋を開け、ガーーーっと一気に飲み干した
あービタミンとカフェイン、脳みそへの糖分が効くぅ!!
もぅ適量の水分補給がたまんない
あんなに生体エネルギー調子に乗って好きなようにぶんどられたら、こっちだってガス欠だ
肝心の時に身動き取れなけりゃどうしようもない
~うーん一本じゃ足りなくない?
しかし取りあえず欲張らずに、これだけにする
専用の分別ゴミ箱に空き瓶をゴロンと放り込む
さぁお仕事開始だ
横長に、トランク空間を結構な割合でドッシリ占領しているジェラルミンケースの鍵を開ける
途端にパチッ、金属特有の心地よい音が響いた
内部にはしっかり~
専門家に依頼し研ぎたてたばかりの、ベルギリウスの愛用剣
実際のオリジナル剣は、既に金属疲労で戦闘中とっくの昔にバッキリ破損、折れて役目を終えている
だから科学捜査研究所に依頼し、ボロッボロの素材を残らず搔き集めて『調査』
成分一緒、見かけも製造方法も出来うる限り一緒、科学力の粋を凝らして見事に再現
「本物ソックリ」
〜実戦に耐えうる上質なレプリカを製造したって水上所長は言っていた
だけど見れば見る程~かなり長い
でもってズッシリ
ゾクゾクする程美しい刀身に、思わず頬がニンマリ緩む
世界中で彼で無ければダレも使いこなせない、長いわ重たいわ~な、本当に独特な武器だ
涙目でプンプンふくれっ面の彼も、この自身の相棒達の最高な仕上がりに機嫌が直ったようだ
見た瞬間、双眸がキラキラキラッと天の星の様に耀いた
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