第12話 フランス2(パリ)

 パリでのハイライトの一つであるルーブル美術館、ロダン博物館を訪ねてみる。ルーブルでは注目の『ミロのヴィーナス』、『モナリザの微笑み』、ロダンでは『考える人』が圧倒的に有名で自分もこれら名作以外、殆ど知らない。これらの名作の前はさぞや黒山の人だかりであろうと思いきや、佇む人が意外に少ない。特に『考える人』は前を素通りする人が多いのに驚いてしまう。名作を何だと思っているのだろうか⁉

 我々日本人は小学校時代から美術の教科書に掲載されているこれら有名な作品には馴染みが深い。美術館でこういった名作にお目にかかると、TVや映画でしか逢ったことのない有名な俳優や歌手に逢うのに近い感覚があるが、外国の人達はどうなんだろう? 名作であろうがなかろうがそんな事には関係なく、自分の感性だけなのかな⁉ 実際のところ、自分にはこれら名作の良さは全く分らない。名作だと信じて、注目して観るだけである。

  

 帰り道、駅近くのスーパーで買い物をしたら、釣銭を50フラン危うくごまかされそうになった。一旦店から出たがおかしいと気づき店に引き返した後、紙に計算式と金額を書き示してやった。店主は何とも言えない表情をし、無言のまま50フラン紙幣をよこした。

 今回は相手はおとなしく返したが、もし『100フランは受け取っていない、受け取ったのは50フランだ』と居直られたらどう対処するか? 警察を呼んで、レジの紙幣の指紋検査をすれば良いか⁉ 面倒なことだが。


 ホテルのシャワーはやはり有料だった。ホテルに帰ったら、英語の話せる人がいたので訊いてみて分った。当然、前の分も払う事になる。


 翌日、パリから日帰りでヴェルサイユ宮殿に行ってみた。宮殿内部はどの部屋も黄金色に輝き美しい。とりわけ目を引いた部屋は長い造りで両サイドにズラリと並べられた黄金の装飾品は圧巻で、その輝きには目を見張らされた。後で分ったが、『鏡の間』と言うらしい。


 広い庭園が美しいので、外に出てゆっくりと歩いてみる。偶然行き当たったのが大トリアノン宮殿、探して見つけたのが小トリアノン宮殿であるが、それよりも興味を引いたのは藁ぶき屋根の石の家である。この家は一体何なのだろう? 霧にまかれてこんな家に当たったら不気味であろう。魔物が棲んでいそうな雰囲気だった。


 夕食はパリに戻ってリヨン駅近くのカフェテリアでパイとコーヒーで済ませた。帰りに女店員に呼び止められがフランス語で全然分らない。どうも勘定を払ったかと言ってるようなので、払ったと英語で言って帰ったが、もしやコーヒー代は別勘だったのかな? だとしたら、飲み逃げになってしまう。でも、まさか…⁉。



 12月も中旬になり、アルプスのスキー情報が気になり始めた。凱旋門近くにある観光案内所を訪ねてみたが情報なし。

 アルプスは棚上げして、ブーローニュの森の一角をのんびり歩いてみる。森の中にも車道が走っているので静かとは言えない。

 

 カナダ以来馴染みの『超人ハルク(英語名:The incredible Hulk)』が上映されているようなので訪れてみたが、期待していたモノとは違っていた。カナダのバンフでよく観た『ビル・ビクスビー』、『ルー・フェリグノ』コンビによる作品を期待していたが、別ヴァージョンのようで興味なし。


 シテ島にある、マリー・アントワネットが捕えられていたという牢獄に行ってみるとガイド付きツァーのみだったので入るのは止めて、隣にある教会に入ってみたら敷地内にある像の頭にはハトが止まり、その顔はフンだらけで少々滑稽であった。ハトは平和のシンボルだし、像は洗ってもキリがないし、ただ笑うしかないか!

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