転生課パニック④
「あ、あの……?」
「……っ! しっ、失礼。どうやら神気に当てられてしまったようで」
「神気?」
管制官はハッとした表情を見せると、急いで深々と首を垂れながら謝罪の言葉を口にした。
その謝罪の中で出てきた『神気』という言葉。
これは確か、天界人が放つ『精神力』というか『オーラ』というか……
とにかく有り難〜い『
(でも、ここに、そんな
いないはず……と、そこまで考えて、ボクは思い出した。
確か、神気を発する有り難さMAXの『護符アイテム』ってものがあったはずだ。
交通祈願や健康祈願、金運に出世に厄除けにと、下界の御守りのようにいろんな種類があり、嘘か
急いで周囲を取り囲む資材に向かって、片っ端から『鑑定』をかけて、護符アイテムっぽいものを探してみた。
……あれ? 見つからないんだけど……
『護符アイテム』を探して、キョロキョロと辺りを見まわし、座っている椅子にまで『鑑定』をかけ始めたボクに対して、管制官が問いかけてきた。
「やはり、気付いておられないのですね?」
「気付いて?……何が、ですか……?」
(ぬっ? それはボクが『護符アイテム』を見つけられないことを言ってるの? それとも別の何かなの? むぅ、……ボクはハッキリ言ってもらわないと分からないんだよ)
謎かけのような言い回しにモヤっとして、つい、訝しげな顔をしてしまったが、ボクは慌てて表情を取り繕った。いけない、いけない……
「機内でスタッフが声をお掛けしたと思いますが、その時も今のように神気を感じたそうです」
管制官が表情を引き締めながら、そう告げた。
確かに、あの時の乗務員の反応も管制官同様、こんな感じではあったけど、だけど、そうすると……
「その言い方だと、まるで……まるでボクから発せられたみたいじゃないですか」
「その通りでございます!」
キリッと真剣な表情になった管制官が、ひときわ大きな声でボクの言葉を肯定した。
いやいや、天界人じゃあるまいし……ボクに神気なんか出せるはずないじゃないか。
頬を引き攣らせながら、管制官の言葉に反論しようと口を開きかけた時……
「ガッロル様は覚醒者なのです」
「か、覚醒者……?」
『覚醒者』という耳慣れない単語を聞いて、ボクの脳内に再生されたのは、『怒りをきっかけに変身し、大幅に戦闘能力の上がる野菜っぽい名前の宇宙人』の姿だ。
いやいや、あれはマンガのお話だ。ふざけている場合じゃない。
急いで脳内からその映像を追い出すと、改めて『覚醒者』について考えた。
会話の流れ的に、『覚醒者』は神気を出せる存在らしい。そして、管制官は、ボクがその『覚醒者』だと言っている。
……まあ、よく分からないけど、転生の可能性が下がったってことだけは分かった。
参ったなぁ……と、顎に手を当てながら、何とか転生するための抜け道はないかと思考をめぐらせていたボクの前に、フッ、と影が落ちた。
ん?……と思って顔を上げると、相変わらず硬い表情をした管制官がすぐ目の前で佇んでいた。
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